【特別インタビュー:モトヤ 社長 古門慶造氏】顧客と共に新しいビジネスの創造へ 従来型の印刷業界ビジネスを超えて、可能性にチャレンジする
総合印刷機材商社の株式会社モトヤは、『顧客と共に栄える』を社是とし、2002年から「モトヤコラボレーションフェア」を大阪と東京の2か所で継続的に開催してきた。しかし2019年末、世界中がコロナ禍という未曽有宇の状況を迎え、それによりイベントそのものが開催できない、まさに世界全体が“自粛期間中”となり、印刷業界におけるビジネスも大きな影響を受けた。そうしたコロナ禍中を超えて、昨年、顧客からの熱い要望に応える形でモトヤは「コラボレーションフェア」を復活させた。
今年も2月13日・14日の2日間にわたり、大阪・梅田で「モトヤコラボレーションフェア2025大阪」を開催し、昨年を上回る多くの人が来場した。そして今年7月10日と11日、JR秋葉原駅前のアキバ・スクエアで「モトヤコラボレーションフェア2025東京」を開催する。会場では、企業が抱える課題解決のための施策や、従来のビジネスを超えた新しいビジネスチャンスのヒントが提供される。モトヤコラボレーションフェア開催前の同社・古門慶造社長に話を伺った。

“元気な印刷業界”実現のお手伝い「モトヤコラボレーションフェア」
モトヤでは、“元気な印刷業界” 実現のお手伝いをすべく、2002年から「モトヤコラボレーションフェア」を開催してきました。しかし、2019年末以降のコロナ禍により、世界中のイベントが自粛されたのと同様に、「モトヤコラボレーションフェア」も休止となりました。
しかし、コロナ禍を超え、印刷業界が再び元気を取り戻すべく、2024年、3年のブランクを経て「モトヤコラボレーションフェア」を復活させました。2月には大阪で、7月には東京で開催し、多くの方にご来場いただきました。そして今年も2月に大阪で「コラボレーションフェア」を開催し、これからのビジネスに必要なヒントをご提供できたのではないかと思っています。
コラボレーションフェアが開催できなかった間に、社会全体の意識やニーズも、デジタル技術をベースとした技術も大きく変わりました。それに影響されて、お客様である印刷会社様のビジネスも大きく変化していると感じています。昨年頃から、缶バッチやアクリルグッズなどグッズビジネスにシフトする企業も目立ってきています。これはコンテンツ加工という基盤となるビジネスをさらに広げることで新しい市場を獲得した結果であるのと同時に、紙メディアだけでは売上を維持することが厳しい状況になっていることも意味していると思います。
こうした顧客企業の変化を間近に拝見し、我々も、お客様と触れ合い、情報を発信できるコラボレーションフェアには、さらに進化できる伸びシロがあると思っています。モトヤとしても皆で知恵を出し合い、出来るところからチャレンジしていきたいと思います。
特に、若い世代に期待しています。従来にはない、新しい価値観で、新しい道を見出してもらい、新しいことに取り組むことも必要だと思うからです。
新しいことにチャレンジする目的は、印刷業界が発展することに繋がります。我々は、印刷業界が発展するためにどのようなお手伝いができるのかを考えることが基本です。商社として物販は大切な事業要素ですが、それ以前に、お客様に儲けて頂くために何ができるのかを考える。その気持ちをしっかり持つことが、これからの印刷業界の目指すべき方向性についてお手伝いをし、提案する時の判断材料になると思います。
こうした思いや基本姿勢を体現しているのが「コラボレーションフェア」です。業界が発展し、お客様に儲けて頂き、その結果、モトヤも商売をしていく。それが社是の『顧客と共に栄える』の姿に通じると思います。
デジタル時代を超えていく
今や、デジタル化が進み、世界は加速度的に変化しています。従来は経営に不安を抱かなかったような大手企業であっても、従来通りのビジネスのままでは縮小していきます。
例えば、大手新聞社もメディアが紙からデジタルへとシフトし、紙の購読者数が激減し、新しいビジネスを模索することが必要です。これは印刷市場を支えてきた出版市場にも当てはまります。
従来通りの印刷市場は縮小しています。印刷会社ビジネスにおいて、これから何をしていかなければならないかを考える時代です。古い印刷機から新しいデジタル印刷機に変えればいいという単純な話ではありません。設備導入する場合も、どのようなビジネスをするのか、導入してどのような営業活動やマーケティングが必要かを考えることが大切です。そうした中で、我々はお手伝いできることを一緒になって考え、提案していかないといけないと思っています。
かつての印刷業は「ink on paper」と表現され、まさに紙にインクを載せることで商売をしてきました。しかしこれからの時代は紙にインクを載せながらも、情報やデータを処理・加工・発信していく。その部分でお客様が困っているところを我々がサポートしていくことだと思っています。
そのためにも、デジタル技術やインターネットを使ったノウハウなど含め、学ぶことが必要です。特に、新しいシステムや設備を購入すれば何でもうまくいく時代ではありません。かといって専門家や専門知識を持った人を雇えば、即日にも売上が伸びるということでもありません。つまり、社内教育(人材育成)は会社にとって大切な要素になってくるということです。
しかし、大手企業とは異なり、小規模企業にとって人材育成はハードルが高いことも事実です。小規模企業の場合、経営トップが率先して営業することも稀ではなく、人材育成に手が回わらない、人がいないために社員が学ぶ時間がないということもよく聞かれます。その意味でも、我々には様々なお手伝いを通じて、一緒にビジネスに取り組むことが求められているのだと思います。
業界周辺には多くのチャンスが眠っている
印刷業界には、他の産業とは異なる特徴があります。それは、印刷業界周辺には、お客様が沢山眠っているということです。時には同業者の場合もありますが、印刷をしていない企業全てが印刷会社のお客様になりえるといえるのではないでしょうか。
一方で、デジタル時代は、AIの進化や、DX化の必要性などを背景に、何でも簡単に出来てしまうという、現代ならではの課題もあるかもしれません。
しかし、各社が集積してきた知識やノウハウ、技術において、印刷業界には当たり前でも、他の産業や企業にとって別格の、付加価値のあることが沢山あります。そうしたニーズや要望を見つけ出し、商売にすべく考えていくことがビジネスチャンスに繋がると思います。
我々も、そうしたビジネスの提案やヒントを提供していくために、成長していきたい思っています。そのためにも若い世代に積極的に関わり、考えてもらうことが大切だと考えています。
モトヤコラボレーションフェア2025大阪の様子
コラボレーションフェアで何を掴むのか
コラボレーションフェアには、多くの印刷会社様が出展しています。是非、同業他社がどのような設備を持って、どのようなビジネスをしているのかを知って頂きたいと思います。
そこで得られた情報から、自社で出来ることは何か、同じ技術を持っていても、さらに工夫を加えて提供できることは何かを考えるきかっけにして頂きたいです。他社の取組みは、新しい視点を持つことに繋がります。そこから得た気づきを元に、自社ならではの取組みを加えることで技量が高まり、それが強みになると思います。
単に、他者の真似するのではなくて、自社らしさ、オリジナリティを追加して、独自の商売を生み出していく。それは、出展した企業にとっても、新しい市場を開拓したり、困った時に助け合える連携できる仲間づくりへと繋がります。連携できる仲間をつくることで、大きな設備を持たなくても、大きな仕事を一緒に受注するということも夢ではないと思います。
以前の印刷業界とは異なり、現在は新しい設備を導入しても、それを使って、いかに付加価値に繋げていくのか考えることが必要です。特に現在のPODシステムの場合、3~5年で新しいシステムが登場します。しかし代替えには、それまでの間で償却しないとなりません。そのためにも付加価値の高いビジネスをしなければ厳しいということになります。コラボレーションフェアで、是非、新しいヒントを得て頂きたいと思っています。
自社の強みを明確に打ち出していく
印刷産業のあり方や価値観が変わってきています。課題となっている価格転嫁の問題にしても、昔ながらの商習慣が残っていると、小規模企業であるために下請け構造になり、対等な関係が構築できないということも、まだあるかもしれません。利益を上げて元気な企業として存続するためには、パートナー企業となることを目指さないとなりません。
そのためにも強みが必要であり、小規模企業の方こそ、強みをはっきりと打ち出し、相手の企業に付加価値を認めさせる勇気を持って頂きたいと願っています。
時代の変化に伴い、モトヤコラボレーションフェアそのものも変化しています。その場面に、多くの印刷会社様に関わって頂きたいと思っております。
現在は、魔物のようなAIやコンピュータ技術が登場しています。使い方を間違えると置いていかれるかもしれません。しかし逆に、新しい技術を駆使して、うまく活用できれば、さらにジャンプアップできる可能性が転がっているのではないでしょうか。
チャンスを見つけるためにも、顧客先の懐に入り、仕事を引っ張り出していく意気込みが求められます。顧客先の困りごとやニーズに対して貪欲に提案していくことが必要ではないでしょうか。
会場では、様々な設備も並びますが、それ以上に、多様な印刷会社様が出展しますので、活発に交流して頂きたいと思っています。
コラボレーションフェアでは、他社が何を特長に、どんな商売をしているのかを見極めることが肝心です。そして自社にない技術は上手に活用させて頂く。
自社の強みは自分達で創り出さないとなりません。交流の中で、他社の特長や良い点をしっかり見極めて、そこで得た知識の中で興味を持ったこと、自社に足りないことなどはモトヤに相談して頂きたいと思います。モトヤは顧客先のビジネスを支援し、一緒にビジネスを創造にしていきたいと思っています。
【MOTOYA COLLABORATION FAIR 2025 TOKYO(モトヤ コラボレーション フェア 2025 東京)】
株式会社モトヤは7月10日~11日の2日間、東京都千代田区の「アキバ・スクエア」で「MOTOYA COLLABORATION FAIR 2025 TOKYO」を開催する。今回は「新商材×マーケット×創注=MOTOYA COLLABORATION FAIR」をテーマに、強力な「強み」を持った各地の印刷関連企業様が出展するほか、各種メーカー企業も出展し、高付加価値、省力化や自動化を実現する最新の機器を幅広く紹介する。
会期:令和7年7月10日(木)・11日(金) 10:00~17:00
会場:アキバ・スクエア(東京都千代田区外神田1-14-1秋葉原UDX2階)
入場:無料 *公式サイトから来場者事前登録(セミナー(無料)の申し込み可)
問合せ先:株式会社モトヤ 東京本社 TEL03-3523-8711
詳細:https://www.motoya.co.jp/event/exhibition/collaboration-fair_2025_tokyo.html
■モトヤの一押し■
ファブリックサインシステム「LUFAS(ルーファス)」
デザインを印刷したファブリック(布)の周囲にラバーを縫製し、アルミフレームの溝にはめ込むだけで簡単に施工できるファブリックサインシステム。
スタンド、壁面、天井、吊り下げなど様々な用途があり、フレームレスで面発光するビジュアルは訴求力抜群。生産性・運搬・廃棄時のCO2排出量を95%(*1)削減した環境にやさしい電飾看板システムとして、空港などの大型施設から商業店舗の省スペースサインとしても幅広く採用されている。
*1 アクリルとファブリック(ポリエステル布)との住日により算出(2019年度メーカー調べ)
紙面昇温装置「SION」
オフセット枚葉印刷機用「紙面昇温装置SION」は、低温用紙の品質改善を印刷機上で解消する装置。
冬季の低温化した用紙環境ではインキ着肉不良や紙ムケといった問題が商業印刷業界のみならず、パッケージ印刷業界・フィルム原反印刷業界でも多発する。この対策としてロータックインキへの切り換えや事前に工場内の暖房室で用紙を長時間温めるシーズニングの2つの手段しかなく、効果やスペース、電気料金などに課題があった。
「紙面昇温装置SION」は、こうした問題を解決するために開発され、既設オフセット印刷機のフィーダー部に取りつけるだけで効果が発揮され、60台以上が印刷会社に導入されている。
新発想除電装置「放射式除電装置」
帯電物から離れた場所にも除電効果があり、約3m先の除電も可能(低速移動固定の場合)。帯電物から離れた除電バーの位置15cm~20cmが最も除電効果が得られる。印刷のラインスピード300~500m/分の除電が可能。放射式除電バーは有毒なオゾン発生しない。
放射式除電バー装置の取付やメンテナンスが簡単で、放射式除電バー装置は可燃性ガスの着火がなく安全。
【会社情報】
株式会社モトヤ
大阪本社:大阪府大阪市北区紅梅町2-8 TEL 06-6358-9131(代表・営業部)
東京本社:東京都中央区八丁堀4-5-5 TEL 03-3523-8711(代表・営業部)
HP:https://www.motoya.co.jp/