帝国DB 2025年度の「印刷業」休廃業・倒産は年間300件以上 デジタル化や資材高騰などによる打撃を指摘
株式会社帝国データバンク(帝国DB)が、5月7日、「印刷業」の倒産・休廃業解散発生状況に関する調査・分析結果を発表した。
同社によると、2025年度の印刷業の休廃業・解散(廃業)は230件(前年度比18.6%・36件増)で年間最多を更新。倒産91件と合わせ、年間で300件超の印刷業者が市場から退出したことになる。デジタル化による「ペーパーレス化」の進展と、紙やインクなどの資材高騰、市場縮小により人材が思うように獲得できない、代表者の高齢化が深刻といった経営課題を抱え、事業継続を諦める印刷業が増えていると指摘した。
価格転嫁やビジネスモデルに課題か
印刷業は近年、インボイス制度の導入による紙での伝票・帳簿印刷の需要減や、アプリや SNS の台頭によるチラシ・DM の需要減に直面。「新聞の折り込みチラシがスマホでのデジタル広告に取って代わられた」などの声もあり、紙需要の消失が経営体力を蝕んでいる。さらに、印刷用紙やインクなど印刷資材の高騰、電気代、物流費、人件費といったあらゆるコストが高騰するなか、失注を恐れてコスト上昇分を販売価格に転嫁できず、利益が出ない受注が常態化したことで事業継続を諦める印刷業が増加したと見られる。
加えて帝国データバンクは、印刷業の「巨額の設備投資による大量印刷・低コスト化」を前提としたこれまでのビジネスモデルが、需要減と稼働率の低下により重荷となっていると指摘。食品メーカーやファストフード店向け食品包装材の印刷を手がけていた中堅クラスの印刷業では、過年度の大型設備投資に伴う減価償却の負担に加え、原材料の高騰などの影響が大きく、自力での再建を断念した。また、本業の需要減を補おうと、健康食品の販売や飲食店の経営など自社と関係の薄い事業への参入を試みたもののうまくいかず、却って経営体力の損耗を招いたケースも見られたとしている。
一部需要増も全体の売上高は伸び悩み
一方、WEBサイトの構築やAR技術の活用、動画制作、業務のアウトソーシングなど、印刷業の知見を生かした「デジタルソリューション営業」へと事業を転換する動きも見られる。また、廃業や撤退が相次ぐ現況を好機と捉えた「残存者利益」の獲得、インバウンドの拡大で需要が伸びる土産菓子のパッケージ印刷など局地的なニーズを取り込み、売上高を伸ばす印刷業も見られた。ただ、印刷業全体の売上高は、ピークだった2007年度(8.3兆円)に比べて7割の水準に留まっている。
紙需要の縮小という逆風のなかで、新事業を開拓していくことは経営の苦しい中小印刷業にとってハードルが高い。紙やインク代、光熱費といったコスト高も続くなど、業界環境が好転する材料も乏しく、事業を諦める印刷業は今後も増加する可能性が高いと帝国データバンクは分析している。

