千代田グラビヤ、SCREEN 軟包装印刷のデジタル化推進で協業 ~水性デジタルインクジェット印刷機Truepress PAC 830F導入し、軟包装パッケージの本格生産を開始
株式会社SCREENグラフィックソリューションズ(以下、SCREEN GA)と株式会社千代田グラビヤは、軟包装印刷市場におけるデジタル化の推進と環境負荷低減を目的として協業し、千代田グラビヤの潮来第二工場に導入した水性デジタルインクジェット印刷機「Truepress PACK 830F」で、軟包装パッケージの本格生産を開始したと発表した。
近年のパッケージ市場では、消費者ニーズの多様化や商品ライフサイクルの短期化に伴い、多品種小ロット生産への対応が求められている。サステナブルな社会の実現に向けた製造工程での環境負荷低減や資源利用の最適化への要求も高まっている。原材料価格の上昇や調達リスクの顕在化、人材不足の課題も業界全体で顕在化している。グラビア印刷の分野では小ロット案件の増加に伴い、準備工程や調色、洗浄作業といった負荷が生産性に影響を及ぼしており、新たな生産体制の構築が業界全体の課題となっている。
Truepress PACK 830Fは水性顔料インクを採用した版を使用しない軟包装向けのデジタルインクジェット印刷機。解像度は1,200×1,200dpi。基材幅500〜830mm、印刷幅470〜800mmに対応する。印刷プロセスとしては、必要に応じて基材の表面改質を目的としたコロナ処理を施し、プライマー塗布後に、CMYKの順で印刷し、ホワイトを印刷する。90℃の温風乾燥により基材への熱の影響を抑え、現在、PET、OPPの基材に対応。他の基材については検証を進めている。
シングルパスのインクジェット印刷機は生産性と品質の両立が難しいとされるが、Truepress PACK 830Fはグラビア印刷に近い品質を実現しつつ、75m/分の生産性を実現した。高い色再現を支えているのはSCREEN GAが持つドットコントロール技術。製版で培った技術を生かし、ソフトウェアの面からも品質向上を図った。
デジタル印刷方式は版を使用しないため、ジョブ切り替え時の洗浄や準備作業を大幅に削減する。千代田グラビヤではグラビア印刷と比較して準備時間を約70%削減。グラビア印刷での対応ロットは一般的に最低4,000mだが、準備時間を短縮したことで、千代田グラビヤでは2,000メートルまで適性ロット数を下げる。これにより多品種小ロット化が進む市場ニーズに対応する。
千代田グラビヤでは商業生産に向けた設備の立ち上げ、品質検証を完了し、菓子の包装材ですでに実用化を始めた。水性インクの採用と無版印刷の特長を生かすことで、洗浄作業の溶剤使用量の低減や在庫ロスの抑制など環境負荷低減にもつなげる。同社はこうしたデジタル印刷技術を活用した価値提供の取り組みを“Eco Smaart”と名付け、様々なソリューション展開を見込んでいる。今後は従来のグラビア印刷とデジタル印刷を適切に組み合わせた生産モデルの確立を目指しており、2030年までにデジタル印刷比率を約10%とする目標を掲げている。
SCREEN GAは千代田グラビヤでの実用化事例をもとに、環境規制が厳しくすでに引き合いのある欧州市場を中心に販売を進め、年間4〜5台の販売を目指す。
7月7日、千代田グラビヤ潮来第二工場で開かれた記者会見で、千代田グラビヤ代表取締役社長の佐藤裕芳氏は軟包装印刷が抱える課題に高い色再現への要求、小ロット・多品種化、短納期化、環境対応、人手不足を指摘した上で、Truepress PACK 830F導入の動機としてデジタル印刷を活用した生産体制の構築による課題解決を挙げた。また、デジタル印刷による提供価値の取り組みとして“Eco Smaart”を展開し、「高い品質で完全水性のデジタル印刷で新しい価値提供ができる」と意欲を示した。
SCREEN GA代表取締役社長執行役員の桜井広美氏はSCREENのインクジェット技術の取り組みから、2020年5月のTruepress PACK 830F開発の発表、2023年10月の発売開始と千代田グラビヤとの協業の発表までの経緯を説明。2025年の搬入開始後の様々な実機検証を経て実用化が実現し「千代田グラビヤ様と水性インクジェットによる軟包装印刷を発展させていきたい」と期待を表した。
株式会社SCREEN GP ジャパン代表取締役社長の岩本将基氏は小ロット・多品種、人材不足の中で、「新しい革新をもたらすと確信している」と力を込めるとともに、EBオフセット印刷とともに環境負荷低減のソリューション提供を展望した。
【株式会社千代田グラビヤについて】
軟包装・シュリンクラベル・インモールドラベルなどのパッケージ分野に加え、建材、産業資材、情報出版など、幅広い分野において製品の企画・開発・製造を手掛ける。日本およびベルギーに生産拠点を構え、加飾、機能性付与、3次元加工を組み合わせた「コンバーティング技術」を基に、環境配慮に適した食品向け包装材の設計や、データ活用による生産性・品質の向上の仕組みづくりなど、新たな付加価値創出に積極的に取り組んでいる。
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