ハイデルベルグ・ジャパン ホリゾンとのコラボレーションをIGASで発表、「H+」を使ってホリゾンの後加工機まで見える化を実現

左から、ハイデルベルグの伊藤氏、バウアー社長、ホリゾン・インターナショナルの衣川社長、木谷氏

ハイデルベルグ・ジャパン株式会社(以下、ハイデルベルグ)は、11月28日、IGAS2022会場のハイデルベルグのブースにおいて、新しいデジタルプラットフォーム「H+」について、ホリゾン・インターナショナル株式会社(以下、ホリゾン)とのコラボレーションを発表した。

ハイデルベルグはIGAS2022会場で、新しいデジタルカスタマーポータル「H+(エイチプラス)」のプレゼンテーションを、国内の公の展示会では初めて披露した。この「H+」は、2023年3月から正式に、日本語環境で、国内ユーザーが利用できるようになる。
「H+」に含まれるアプリケーションの一つであるビジネスのDXをさらに前進させる「インサイト」がある。「インサイト」は、「H+」で利用可能な装置のパフォーマンスをライブで見ることのできるアプリケーション。今回の発表では、2社のコラボレーションにより、ハイデルベルグの「インサイト」を通じて、ホリゾンの後加工機のパフォーマンスもライブで見ることが可能になり、生産分析などに活用することもできるようになった。


「H+」を通じてさらにオープンに

発表会見であいさつしたハイデルベルグのヨルグ・バウアー社長は、インサイトを通じてホリゾンとコラボレーションすることになったことを報告。「ハイデルベルグのH+とホリゾンの iCE LiNK との協働が実現しました。ハイデルベルグから後加工の指示データが iCE LiNK を経由してホリゾンの加工機に送られ、ハイデルのH+のインサイトアプリでホリゾンの生産データも確認できるようになります。これにより後加工まで含めたメーカーを超えたEnd to Endが実現し、最適化がますます促進されると期待しています。印刷会社の工場のスマートファクトリー化は、今後、大きなカギとなります。マルチベンダーの生産システムの統合は、印刷会社のスマートファクトリーの実現に大きな相乗効果を発揮できると確信しています」と期待感を述べた。

続いて、ホリゾンの衣川竜二社長も登壇し、「今回のコラボレーションは非常に大きな意味があると思います。我々ディーラー関係者だけでなく、世界中のお客様からも注目して頂いてます。お客様の中にはハイデルのプリネクトを利用されている方も多いわけですが、これまで、プリネクトとホリゾンのシステムの間が分断された環境でした。実際にハイデルユーザーにおいては、大ロットの仕事はハイデルの印刷機から加工機へという流れで行っている企業も多いと思います。しかし、最近の世界的な傾向である小ロット・多品種の仕事については、後加工はホリゾンのシステムを使って頂く機会があります。しかし、この場合、印刷機と後加工機の連携がされていない中、作業が行われていました。そうした分断されていた環境の一元管理が実現したということなのです。プリネクト上でハイデルのシステムだけでなく、ホリゾンのシステムまで管理できることは、非常に大きく期待できる、一つのチャンスだと捉えています。世界のディーラーやユーザーの皆様に喜んで頂ける仕組みがスタートができたということが大きな喜びです」と語った。

あいさつするハイデル・ベルグジャパンのヨルグ・バウアー氏
あいさつするホリゾン・インターナショナルの衣川社長

現在、 H+に含まれるアプリケーション「インサイト」と繋がっているホリゾンのシステムは、ペラ丁合鞍掛中綴じ製本システム「iCE STITCHLINER Mark Ⅳ」(以下、ステッチライナー)で、プリネクト上から実稼働する。今後、ホリゾンでは、H+インサイトとの連携できるシステムについて順次リリースしていく予定としており、衣川氏も、「スピード感をもってより機種を増やし、稼働に関する管理を広めていきたいと思っています」と述べている。

メーカーを超えて、印刷から後加工まで一元管理の実現へ

次に、ハイデルのプリネクト製品を担当しているライフサイクルソリューションズ本部プリネクトグループPrinectプロダクトドライバーの伊藤祐哉氏と、ホリゾンの iCE LiNK の開発担当者である開発部シニアマネージャーの木谷孝則氏から連携内容について解説があった。
伊藤氏は、「今回、ハイデルのブースでH+という新しいプラットフォームを国内の展示会場では初めてご紹介しています。デジタル機、CtP、印刷機、断裁機、加工機はワークフローで一元管理でき、生産工程について『インサイト』から見ることができます。今回のコラボレーションによりハイデルの機械だけでなくステッチライナーも『インサイト』のアプリでご覧になって頂けるということです」と紹介。
今回のIGASでは、ホリゾンブースでは連携によって生産された中綴じのカタログを配布。木谷氏は、その印刷物について、面付から印刷までプリネクトで管理し、その印刷したものをステッチライナーで中綴じする実演を行っていると紹介。「印刷の指示をプリネクトで行い、iCE LiNK を通じて、どのような内容で納期や部数などジョブ情報や、どんな後加工をするのかといった指示も入ってきます。そして稼働状況や実績内容を見ることができます」と一連の流れを解説した。

なおハイデルベルグのプリネクトは、商業印刷とパッケージ印刷の両方が一つのワークフローで対応していること、デジタル機を含めた各機械がJDFで繋がることが大きな特長となっている。今回のコラボレーションにより、オフセット印刷の情報そのままを断裁加工を含めたホリゾンのシステムと連動でき、より精度の高い情報をホリゾンのシステムにタッチポイントなく送れることが特長として加わったと解説した。

ユーザーは、H+に含まれるアプリケーション「インサイト」で、ハイデルベルグの装置のパフォーマンスを見るのと同様に、ホリゾンの後加工機のパフォーマンスもライブで見ることができ、生産分析などに活用することが可能になる。

コラボレーションによるメリット

今後、ホリゾンの iCE LiNK とハイデルベルグのプリネクトが繋がり、印刷ビジネスの全体最適と、メーカーを超えたEnd to Endでの最適化の実現が、ますます可能になると期待している。これにより、製造コストが正確・迅速に把握でき、省力化・省人化が加速し、デジタル機およびオフセット機の統合も期待できる。

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