電通グループ 広告費成長率予測を発表、2025年の世界広告費は約143兆円へ デジタル広告が成長を牽引し構成比68.4%に拡大
電通グループは、2025年の世界の広告費成長率予測を更新した。同予測は、世界56市場から収集したデータに基づき、毎年2回の更新を基本として発表している。
なお、今回は、昨今の不透明な経済環境により中長期的な見通しが困難であることから、2025年予測のみの更新・公表となる。
2025年の世界の広告費率は4.9%を予測、引き続きデジタル広告が成長を牽引
2025年の世界の広告費成長率は、4.9%の9,920億米ドル(約143兆円)となる見通し。パリオリンピック・パラリンピック大会や、米国大統領選挙などの大型イベントの開催があった2024年の成長率6.7%と比較するとやや鈍化するが、グローバル経済環境の不透明さが増す中でも、地域ごとの回復力と適応力が成長を下支えし、媒体別ではデジタル広告が引き続き成長を牽引することから、依然として世界経済の成長率予測の2.8%を上回る見込みとなっている。
デジタル広告は7.9%成長の6,787億米ドル(約98兆円)と、全体に占める構成比は68.4%に拡大する予測。中でもリテールメディア(13.9%増)、ソーシャル(9.2%増)、プログラマティック(8.4%増)、サーチ(8.3%増)などの領域で高い成長を見込んでいる。
また、生活者の行動や嗜好に応じて広告を最適化するアルゴリズム広告は、広告のROIを高める手法として定着しつつあり、2027年には広告費全体の78.1%を占めると予測している。
地域別のトレンド
APAC(日本を含むアジア太平洋地域)は、6.0%成長の3,615億米ドル(約52兆円)に達し、全体の36.4%を占める見込み。APACの中で最も成長が速いのはインドで、7.9%の成長を予測している。
EMEA(欧州・中東・アフリカ)は、4.5%成長の2,007億米ドル(約29兆円)で、全体の20.2%を占める見込み。EMEAで最も成長率が高い英国は、6.9%の成長を予測している。
Americas(米州)は、4.2%成長の4,296億米ドル(約62兆円)に達し、全体の43.3%を占める見込み。Americasでは、ブラジルの成長が目覚ましく、7.1%の成長を予測している。
その他の主な媒体別のトレンド
コネクテッドTVは、ストリーミングプラットフォーム上での広告が普及したことに加えて、プラットフォームの契約者数も増加しているため、10.9%の成長を予測する一方で、テレビ広告全体としては、1.8%の減少を見込んでいる。また、OOH(屋外)は、2.7%の成長を予測しており、従来型の屋外広告は2.0%、デジタル屋外広告は4.2%の成長を予測している。
成長が期待される業界セクター
業界セクター別では、通信業界において、5Gの拡大、高速インターネット需要、デジタルコンテンツの消費増加を背景に、8.3%の成長を見込んでいる。また、化粧品・パーソナルケア業界では、スキンケアやウェルネス製品への需要増加、セルフケア、サステナビリティ、天然素材への注目度の上昇を背景に7.3%の成長を見込んでいる。
【世界の広告費成長率予測の概要】
・世界の広告費成長率予測は、2025年4月までに、世界の56市場からデータを収集し、各市場における専門的な知見を取り入れて作成している。
・広告費は、交渉によるディスカウントやエージェンシー・コミッションを差し引いた金額で、現地通貨建てで提供され、全世界および地域の数値は2025年4月の平均為替レートで米ドルに換算。
・同予測は年2回を基本として更新しており、実績値と最新の予測値はすべて恒常為替レートに基づき修正している。
参考
▶国際通貨基金の世界経済見通し成長率予測
▶dentsuリリース、「Ad Spend Forecast To Grow By 4.9% In 2025, Despite A Reduced Economic Outlook」(英語のみ)
※1米ドル=約145円で換算。