ハイデルベルグ社 スペインの先進パッケージ印刷企業が相次ぎ最新技術を導入 エネルギー効率と持続可能な生産に注力

ハイデルベルグ社にとって、パッケージ印刷は成長戦略を支える重要な原動力である。ハイデルベルグは、総合サプライヤーかつシステムインテグレーターとして、パッケージ市場におけるさらなるポテンシャルの開拓に取り組んでいる。スペイン市場のパッケージ印刷会社が、ハイデルベルグの先端技術に対して近年継続的かつ大規模な投資を行っていることは、この成長戦略が正しい方向に進んでいることを明確に示している。

グラフィカス・ベイコ社:最適な選択肢を追求

グラフィカス・ベイコは1960年代に設立され、1980年からカタルーニャ州のホスピタレット・ロブレガットに本社を置く企業である。同社は、ドラッグストア、ケータリング、食品、化粧品、自動車業界など、800社を超える顧客向けに、板紙と段ボール素材のパッケージを製造している。顧客のニーズを深く理解し、最先端のテクノロジーを活用して効率的かつ資源を節約する方法でこれらのニーズに対応することで、つねに顧客に最高レベルのサービスを提供することが、同社の成功の最も重要な要因であると述べている。

シディエグ パッケージング社:太陽光発電が5台のスピードマスターに電力を供給

バルセロナ近郊のテラッサに本社を置くシディエグ パッケージング社は、著名なブランドメーカー向けに高品質なプレミアムパッケージを製造している。最高レベルの自動化、広範なプロセス統合、一貫した品質管理を徹底し、ゼロ・ディフェクト品質の実現を目指している。プリプレスからプレス、ポストプレスまでの全製造工程は、ハイデルベルグの統合ワークフロー「プリネクトプロダクション」で管理されており、測色、検査、制御といった各種装置がプロセス全体をモニタリングしている。同社は持続可能性戦略の一環として、生産施設の屋根に1,000枚のモジュールからなる太陽光発電システムを設置した。このシステムは、合計5台の枚葉印刷機スピードマスターを稼働させるために必要なエネルギーの一部を供給している。最新の導入機種は、数ヶ月前に生産を開始した新世代ピークパフォーマンスシリーズのスピードマスターXL106である。

グルポ・ラ・プラナ社:最大生産性を早期に達成

グルポ・ラ・プラナは、教育、継続的な改善、そして環境への配慮を企業文化の柱とする家族経営のグループ企業である。1973年に設立された同社は、板紙と段ボールパッケージの製造において「最大限のコミットメントと顧客重視」を掲げる業界の主要企業である。同社はスペイン国内にとどまらず、ポルトガル、フランス、北アフリカへとサービスエリアを拡大。アリカンテ、カステリョン、ラ・リオハ、バルセロナ、マドリード、クレヴィレンテの6拠点に戦略的に生産施設を配置し、700人を超えるチームで対応している。クレヴィレンテ工場において、コーティングユニット搭載6色ハイブリッド印刷機の新型スピードマスターXL106が稼働を開始した。グルポ・ラ・プラナ社は同工場で、スペイン国内および海外の顧客向けに、靴、食品、飲料、玩具、農業、繊維業界向けのパッケージを製造している。スピードマスター印刷機の設置は厳格なスケジュールに沿って進められ、従業員のトレーニングが中心となった。目指したのは、新しい枚葉オフセット印刷機で可能な限り早く最大生産量を達成することである。ウィスロッホ-ヴァルドルフのハイデルベルグ工場で実施した1週間のトレーニングプログラムに続き、クレヴィレンテでの生産開始後に2回目のトレーニングが行われた。

グラフイカス・ルセリ社:生産能力が60%増加

グラフイカス・ルセリ社は、バレンシア近郊のトルレントに本社を置く、100年以上の歴史を持つパッケージ印刷会社である。同社は食品、医薬品、化粧品メーカーなど、多様な業界の顧客向けにサービスを提供している。今後4年間で、売上高を2,000万~2,500万ユーロ増加させる計画である。この成長戦略の一環として、約2年前に新たな生産技術を導入し、生産能力を60%拡大した。この投資には、スピードマスターCX 104とダイアナイージー115フォルダーグルアーが含まれる。この枚葉オフセット印刷機は、11色印刷システムで、完全自動刷版交換オートプレートプロ、インライン測色システム プリネクトインプレスコントロールシステム、および自動パレットロジスティクスを搭載している。

ハイデルベルグ・スペインのペドロ・ガルシア氏とグラフイカス・ルセリ社の経営マネジャー セザール・ロメロ氏

ダイアナイージー 115は、縦継ぎの折り箱や、4点底・6点底の自動底付き箱の加工が可能である。ダイアナスマートパッカーは、接着されたパッケージを自動的に外箱に充填する。経営マネジャーのセザール・ロメロ氏は、新技術の導入成功を連携したパートナーシップと卓越したテクノロジーの成果と説明している。「私たちは単に市場に参加するだけでなく、勝者となることを目指している。そのため、勝者となるチームと協力することが私たちにとって重要である」と、述べている。

リトグラフィア・J・ロペス社:環境への配慮、イノベーションへの準備

リトグラフィア・J・ロペス社は1898年からパッケージの製造を手がけている。同社は国際市場で35年にわたり成功を収めており、高級パッケージの製造に特化して高い評価を得てきた。UVコーティングや特殊コーティング、ホットフォイルスタンプとコールドフォイルスタンプの加工技術を採り入れており、ワインやスピリッツのメーカーに加え、香水、化粧品、菓子業界の企業にもサービスを提供している。リトグラフィア・J・ロペスの成功は、伝統の尊重と継続的なイノベーションへの意欲の融合に支えられている。数ヶ月前、同社は新しいスピードマスターXL106に投資した。この枚葉オフセット印刷システムは、同シリーズの先行機種と併用されることで、生産ラインを強化している。この新たな投資により、生産性がさらに向上し、業務処理が大幅に加速され、エネルギー効率が改善された。しかし、最新技術への投資は経済的な生産を促進するだけではない。マネージングディレクターのフアン・アントニオ・ファトジョ氏は、最新の生産技術の導入は、同社に優秀な人材を定着させるためにも役立つと説明している。これは、パッケージ生産のような高度な要求が求められる市場において、リトグラフィア・J・ロペスは高度なスキルを持つ従業員なしでは成り立たないからであると、説明している。

サリナス・パッケージング・グループ:持続可能な生産が中心に

サリナス・パッケージング・グループは1995年の設立以来、著しい成長を遂げてきた。現在、同グループは欧州有数の高級パッケージメーカーの一つである。昨年、同社は「Horizons 2024」という名称で、約1,000万ユーロを投じた3年間の投資プロジェクトを完了した。この大規模プロジェクトの重要な要素は、枚葉オフセット印刷機スピードマスターXL106-8+LYY-1+Lと、デュアルカセットローダーを搭載したCtPプレートセッター スープラセッター106である。スピードマスターXL106は顧客の要件に合わせて構成されており、高度に自動化されている。「ハイデルベルグのテクノロジーを採用する際、私たちは単に性能データやコスト効率だけを評価したわけではない」と、同社の創業者でCEOのアントニオ・マルティネス氏は述べている。「エネルギー効率、使いやすさ、そして持続可能な生産方法が同じように重視された」と述べている。スピードマスターXL106では、スタンバイモードにより年間最大3,600kWhのエネルギー消費を削減できる。これは平均的な家庭の年間消費量を超えるエネルギー量である。枚葉オフセット印刷機とプレートセッターの両システムは、「CO2ニュートラル」の認証を取得している。

グラフィカス・ゾコア社:食品業界向けパッケージ印刷会社

フェルナンド・ベロイズ・ラキダイン氏は、1971年に妻のマリア・アンヘレス・シエラ・サンツ氏と弟のルイス・アルベルト・ベロイズ氏と共にグラフィカス・ゾコア社を設立した。パンプロナ近郊のフアルテの町にあった小さな印刷工房は、食品業界に特化したパッケージの製造メーカーとして成長を遂げた。21世紀の初頭、グラフィック・ゾコアは工業生産を開始し、ハイデルベルグのスピードマスターXL105とバリマトリックスダイカッターに投資した。生産技術の選択は、最大限の環境配慮を基準に厳格に決められている。同社は最近、スピードマスターXL106とMKマスターワーク社製のプロマトリックスCSBで生産を開始した。新しい生産技術は、比較的高いエネルギー効率で注目されている。「ハイデルベルグと当社は、環境問題に関する戦略において同じ方向性を掲げている」と、同社でデザインとプリプレス部門を担当するエドゥアルド・ベロイズ氏は述べている。

スピードマスターXL 106 に加え、グラフィカス・ゾコア社は最近、プロマトリックス CSB の生産を開始

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