大日本印刷 読み書き困難への支援「じぶんフォント」ライセンス提供を開始 新フォントでインクルーシブな読字環境を実現、読字サポートアプリ「MYdys」に実装
大日本印刷株式会社(DNP)は、多様な読み書き特性に対応するフォント「じぶんフォント」を開発。グループ会社の株式会社DNPアートコミュニケーションズを通じてライセンス提供し、第1弾として、ファシリティジャポン株式会社が提供する読字サポートアプリ「MYdys(マイディス)」に実装された。
「じぶんフォント」開発の背景 ― 読み書き困難への支援を目指して
知的能力や視力に関係なく文字の読み書きに著しい困難を抱える学齢期児童の数は、日本約3から8%、欧米では10から15%と言われている。DNPはこうした課題に対応するため、誰もが平等に情報にアクセスできる社会の実現を目指し、2022年より東京工業大学(現・東京科学大学)、ファシリティジャポン株式会社、株式会社リアルタイプと連携し、「じぶんフォント」の開発を進め、実証評価を経て、その有用性が確認されたことから、今回の製品ライセンス提供に至った。
製品化された「じぶんフォント」の主な特徴
- 4種類の読み書き特性に応じた形状を開発
文字の形や太さ、バランスの違いが読みやすさに影響することを踏まえ、DNPは読み書きに困難を抱える当事者の協力を得て、4種類のフォントを開発した。
① 文字の下部が太い「どっしりまるご」
② 細めで軽やかな「すっきりまるご」
③ 縦長で太めの「はっきりまるご」
④ 中庸タイプの「まるご」
「じぶんフォント」はJIS第1・第2水準(9,498文字)に対応した「Adobe-Japan1-3(StdN)」基準に準拠しており、今後さらにバリエーションの拡充を予定している。 - 「秀英丸ゴシック」をベースに開発した柔らかく読みやすいデザイン
DNPオリジナル書体「秀英丸ゴシック」をベースに、手書きのような自然なゆとりを持たせた構成を採用。字間や画線の形を最適化し、読み取りやすさを高めている。 - 誤読しやすい仮名を改善
プロトタイプ段階で誤読が指摘された「さ」と「ち」などの形状を見直し、画の位置やバランスを調整。その他「ざ」「き」「ぎ」なども同様に改良し、読み分けやすい設計とした。
読字サポートアプリ「MYdys」への実装
今回、「じぶんフォント」はファシリティジャポンのアプリ「MYdys」に実装された。
同アプリは、撮影した書籍・プリント・看板などの文字を自動認識し、フォント・文字サイズ・行間・文字間隔・配色を最適化することで、読み書き困難のあるユーザーを支援する。
国内では多様な読み書き特性に対応したフォントが少ないことから、ユーザーのニーズに応える形で今回の採用に至った。
今後の展開 ― 誰もが情報にアクセスできる社会へ
DNPグループは今後、「じぶんフォント」の法人向けライセンス提供を拡大し、教育・出版・行政・デジタルサービスなど幅広い分野での活用を推進する。ユーザーのフィードバックをもとに改良を重ね、多様な人々が暮らしやすいユニバーサル社会の実現を目指す。
