ミューテック 『紙面昇温装置SION』町田印刷から事業譲渡を発表 紙の除電装置と紙面昇温装置の一本化で印刷紙物流を更に発展
株式会社ミューテック(東京都板橋区新河岸、増田等代表取締役社長)は、町田印刷株式会社(埼玉県戸田市美女木東、町田達泰代表取締役社長)から紙面昇温装置「SION」の事業譲渡を受け、2025年9月1日から製造・販売を開始する。7月18日に東京都板橋区のミューテック本社で両社代表が記者会見で発表した。ミューテックは印刷会社における工場の紙物流の効率化と、紙の除電による印刷物の高品質化を反転高積紙揃機「ミューパイルジョガー」を中心に実現してきた。増田等社長は「ミューテックに紙面昇温装置SIONが加わり、弊社が提唱する印刷業務の効率化と印刷物の高品質化の領域を広げることになった。全国の印刷会社に一層お役に立てるよう邁進していきたい」と同社が提唱する”新時代の印刷紙物流”への取り組みを発表した。
ミューテックは、紙積み作業の省力化と工場内の紙の流れの効率化を実現する世界で初めて高積紙揃機「ミューパイルジョガー」を1983年に開発し、製造・販売を開始。その後、反転紙揃機「ミューパイルターナー」、システム紙揃機「ミューペーパージョガー」、自動ワンプ切断機「ミューワンプカッター」、計数機「ミューカウントスケール」、電動フォークリフト「ミューコンパクトパワーリフター」などの紙物流製品を開発。人手不足の課題解決に取り組み、印刷会社、製紙会社、販売代理店とのパートナーシップを強めて印刷物の品質化を実現する製品開発を行ってきた。中でも紙積み機上で印刷前の用紙の静電気を除去する除電装置は、冬場の印刷用紙の低温化による印刷トラブルを解決。紙積みの段階で用紙を一時的に昇温する「紙面温度管理装置」を紙積み機のオプションとして提供してきた。
一方、町田印刷は1947年に創業、従業員135名、オフセット輪転機、枚葉多色機を有する総合印刷会社で、2014年に印刷機のフィーダー部に直接取り付けて印刷紙面を印刷機上で直接温める「紙面昇温装置SION」を開発し全国の印刷会社に販売してきた。
ミューテッックは、1983年に町田印刷の協力で開発した高積紙揃機の一号機を町田印刷に導入。両社は印刷技術の情報交換など人的・技術的交流を行ってきた。こうした信頼関係と両社の考えが共通していることからミューテックの申し入れにより事業譲渡が実現した。
ミューテックの増田等社長は「ミューテックは、紙を扱うあらゆる業種において、作業の快適化と工場内の紙の流れの効率化を提案している。紙を扱う現場では、紙を1枚ずつ加工し、積み上げ、移動するなど複雑な工程がからみ合っている。こうした工場の中での紙物流のボトルネックを解消し、働く人の肉体的負担も軽減させ、効率化と快適な職場環境を両立させる。重労働の紙積み作業を解決するために世界のどこにもなかった高積紙揃機を開発した。創業の頃から守り続けてきた「人間尊重」の精神は、今も変わることなく受け継がれている。私たちの提案する紙物流システムによる労働環境の改善は、紙を扱う業種の大きな課題となっていた優秀な人材確保や人材育成にも貢献し、企業の継続的な発展と働く人のスキルアップも実現する」とSION事業譲渡の意義を強調。「SIONがお客様に貢献していることを背景として、今後の課題などの実態を把握し印刷業界にお役に立てるような製品へ進化させ、印刷現場における必需品となるよう目指していきたい」今後の展開を述べた。
新時代の印刷物紙物流を目指して
ミューテック増田等社長・談
町田印刷さんが2014年に開発し、事業展開されてきた紙面昇温装置SIONを事業譲渡していただくことになった。弊社が製造・販売する印刷紙面管理装置と紙面昇温装置SIONを組み合わせることで印刷前の用紙最適化装置を実現する。ミューテックは、紙を扱うあらゆる業種において、作業の快適化と工場内の紙の流れの効率化を提案している。紙を扱う現場における積み上げ、移動、静電気対策など印刷工場における紙物流のボトルネックを解消し、働く人の肉体的負担も軽減させ、効率化と快適な職場環境を両立させる。創業時から守り続けている「人間尊重」の精神に基づき、弊社の製品と町田印刷さんの紙面昇温装置SIONを一本化して新時代の印刷紙物流を目指したい。私たちの提案する紙物流システムによる労働環境の改善は、紙を扱う業種の大きな課題となっていた優秀な人材確保や人材育成にも貢献する。企業の継続的な発展と働く人のスキルアップ、印刷品質の安定化および生産性の向上を実現していきたい。紙に携わるすべての人に、快適な環境をもたらすソリューションの創造が私たちミューテックの役割と責任と考えている。
ミューテックと協力してSIONをさらに発展
町田達泰社長・談
町田印刷が開発し11年にわたり事業展開してきた紙面昇温装置SIONをミューテックさんに譲渡することを喜んでいる。ミューテックさんの技術を組み合わせて、さらに発展することを確信している。SIONは全国の印刷会社で63台が導入され、大変喜ばれているが、ミューテックさんの紙物流の技術を一本化して紙に関わる全ての印刷会社に貢献されることを期待している。
町田印刷とミューテックの歴史が実を結びさらに発展
増田範子専務取締役・談
かつて断裁機メーカーであった当社は、これまで町田印刷さんから様々なアドバイスをいただいてきた。1980年に当時の町田社長から、印刷現場は腰痛を患っている社員が多く、紙の作業は重労働で印刷会社の課題になっている。紙を積むのはどういうところが大変なのか、というお話をいただき、高積紙揃機ミューパールジョガー開発のきっかけとなった。1983年に1号機を町田印刷さんに導入していただいた。印刷前の用紙の静電気対策、高積紙揃え装置の開発は町田印刷さんから貴重なアドバイスをいただき、その後も新製品を4台ご導入いただいた。弊社の新入社員は町田印刷さんで研修をしていただいている。深い関係で結ばれている町田印刷さんが開発されたSIONの事業譲渡は大変嬉しい。
SION今後の事業展開について