NEWPRINET 開設10周年記念企画:【エコスリー】“Last Man Standing”~時代を生き抜くために~かつての印刷需要構造と現在のギャップ
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印刷業界はこの30年で大きな転換点を迎えてきた。需要構造の変化、デジタルメディアの普及、そしてコロナ禍を経て、紙に対する価値の見直しが進む中、生き残る企業の姿が問われている。こうした環境下で必要とされるのは、コスト削減、省力化、新規事業への取り組みなど、変化に応じた柔軟な戦略。ECO3は、業界の「変革」を支えるパートナーとして、実践的な解決策を提示し続けている。印刷業界の構造的課題とその打開策、そして最新の自動化ソリューション「Robot Loader」の導入事例などが語られた記事を紹介する。
印刷需要の変化と業界の現状
印刷業界のこの30年を振り返ると、需要構造にも、業界の姿勢にも、大きな変化が起きていることがわかります。
印刷業界は1990年代前半に出荷高のピークを迎えました。当時は印刷需要が旺盛で、「印刷機が回れば回るほど儲かる」──そんな時代でした。しかし2010年ごろから、日本社会では人口減少がじわじわと現実味を帯びはじめ、同時にデジタルメディアの普及によって、印刷物の需要は徐々に減少していきました。さらに2020年のコロナ禍は業界に大きなインパクトを与え、企業や行政機関を中心にペーパーレス化が一気に進んだことで、印刷の必要性そのものが見直される局面を迎えました。残念ながら、この5年ほどで印刷関連事業からの撤退を選ばれる企業様も目立つようになってきたと感じています。こうした傾向は当面続くものと見られますが、一方で私たちは、2030年頃には需要と供給のバランスが落ち着き、長らく崩れていた“需給ギャップ”が徐々に解消されていくと考えています。中期的に見て、印刷需要が全くなくなることはありませんが、増加することも考えにくい。その時に印刷業界に残っているのはどのような企業なのでしょうか。私は「Last Man Standing」戦略をとれる企業こそが、生き残れると私は考えています。
「Last Man Standing」戦略とは
「Last Man Standing」は文字通り「最後の一人」を意味しますが、ここでは、我慢に我慢を重ねながらも生き残り、最終的に地位を確立し、価格交渉力などで優位に立つことを目指す戦略を指します。これを印刷業界に当てはめて考えると、以下のような取り組みが挙げられます。
- ・ 印刷物製造における徹底的なコストコントロール
- ・ 自社ならではのオンリーワンの価値創出
- ・ M&Aなどを通じた業界再編への主導的な関与
- ・ コアビジネス以外の新規事業の創出
こうした施策を通じて、業界における「最後の一人=Last Man Standing」として存在感を発揮し、選ばれ続ける企業となる。これらが、これからの時代に必要な戦略だと私は考えています。
変化への対応とECO3の役割
とはいえ、「Last Man Standing」を目指すのは簡単ではないことはよく理解しております。冒頭にも申し上げましたが、印刷業界を取り巻く環境は年々深刻化しており、近年では事業の撤退や倒産が相次いでいます。倒産理由としてよく挙げられるのは、「販売不振」「資金繰りの悪化」「設備投資の失敗・固定費過多」といった項目です。しかし、これらはいずれも表層的な結果にすぎず、その根底には“変化への対応不足”という共通の本質的課題があるとも考えています。
印刷という枠組みにとらわれ、需要構造の変化に応じた新たな価値提案ができなかったこと、業務のデジタル化や省力化に対する投資が後手に回ったこと、そして長年続けてきた慣習や体制を見直すことができなかったこと。こうした“変わらないこと”こそが、時代の変化に取り残され、本質的な問題が残ってしまった背景にあるのではないかと我々は考えています。
こうした変化への対応不足が倒産の根本原因であるとすれば、私たちECO3が果たすべき役割は明確です。それは、印刷業界が“変わるため”の実行可能な手段を提供することです。単なる機械やソフトの提供にとどまらず、経営・現場の両面から業務構造を見直し、次の一手を支えるソリューションパートナーであること。それが、ECO3の使命です。
省力化と自動化を支えるソリューション群
こうした課題に対して、ECO3は印刷業界の皆様が時代の変化に柔軟に適応できるよう、実践的なソリューションを提供しています。現像レスCTPプレートやファクトリーオートメーションシステムによって省力化とコスト削減を支援し、APOGEE Cloudによるワークフローのクラウド化で業務の標準化・効率化を実現します。さらに、ワイドフォーマットインクジェットプリンターを活用した付加価値の高い印刷提案を通じて、価格競争からの脱却と新たな収益機会の創出にもつなげています。
ファクトリーオートメーションの進化と欧州の潮流
特にファクトリーオートメーションシステムは、人材不足という喫緊の課題に対して非常に有効な解決策です。人手不足は日本社会全体で大きな問題となっていますが、本社を構えるヨーロッパでは、日本に先駆けて省力化の取り組みが進んできました。なかでも、drupaの開催地であるドイツでは、2011年から国家政策として「インダストリー4.0」が推進され、限られた労働力でも高い生産性を実現するための技術革新が加速してきました。
ドイツが「先進的で合理的な国」と評される背景には、日本よりも早期に人手不足という社会課題に直面し、それに応じた解決策を実行してきた実績があります。
こうした欧州での潮流を背景に、私たちECO3も早い段階から、プリプレス工程の自動化・省力化を可能にするシステムを開発し、市場に提供してまいりました。
自動化の中核「Robot Loader」登場
プリプレス工程において、多くの現場で課題となるのがプレートの装填と仕分け作業です。特に複数の印刷機を保有し、プレート使用量が多い印刷会社様では、こうした作業が人手に依存しやすく、属人化しやすい傾向にあります。
こうした課題に対し、エコスリージャパンでは2018年より「Expert Loader」の販売を開始し、プレート装填作業の自動化を支援してきました。また、プレートの仕分けについては、「プレート・トランスポーテーション・システム(PTS)」によって工程全体の大幅な効率化を実現。すでに多くのお客様に導入いただき、省力化の成果が現場で確実に表れています。
しかし従来のExpert Loaderは、同時に装填できるパレットが最大2種類までという制限があり、3種類以上のプレートサイズを均等に使用される印刷会社様にとっては、運用上の制約となっていました。こうした声に応えるかたちで、2024年には新たに「Robot Loader(ロボットローダー)」をラインナップに加えました。
導入事例と国内展開の展望
Robot Loaderはロボットアームを搭載し、最大5種類のプレートサイズに対応。1時間あたり最大80版をCTP装置に供給する能力を備えており、オペレーターはあらかじめパレットを棚や床に設置するだけで、その後の装填工程はすべて自動で行われます。ロボットアームと聞くと大型設備を想像されるかもしれませんが、設計は非常にコンパクトで、従来のオートローダー2台、またはエキスパートローダー2台と同等のスペースに収まります。結果として、設置面積を20〜30%削減することも可能です。
実際の導入事例として、デンマークの書籍印刷会社 Nørhaven 様では、Robot Loader の導入により、プリプレス工程の自動化を大きく前進させました。同社では年間約73,000版を出力していますが、Robot Loader 導入後、装填作業は週1回の対応で済むようになり、オペレーター1名分・約4週間分の工数削減につながったとのことです。また、人為的ミスや機械トラブルによる損耗が減少し、想定外の生産停止がほぼ解消されました。
海外での成功事例を受け、ECO3ではこのRobot Loaderをはじめとするファクトリーオートメーションシステムの国内展開にも力を入れています。日本国内の印刷会社様においても、慢性的な人手不足や熟練作業者の高齢化といった課題は年々深刻化しており、限られた人員で高い生産性を維持する体制づくりは喫緊の課題です。また、日本特有の事情として、設置スペースの制約や多品種小ロット対応への柔軟性が求められる点も見逃せません。Robot Loaderはそうしたニーズにも応えられるよう設計されており、省スペースでの導入が可能な上、最大5種類のプレートサイズに対応できる柔軟性を備えています。すでに国内でも引き合いが増えており、プレートの使用量が多く、複数サイズを取り扱う大手印刷会社様を中心に導入が検討されています。私たちは今後、より多くの現場でこのソリューションが役立つよう、導入から運用定着までを一貫してサポートし、日本の印刷現場が「省力化=競争力強化」へとつながる未来を実現していきたいと考えています。
「印刷を超える」ECO3の姿勢
ファクトリーオートメーションシステムは、現在の印刷業界における課題解決の一つの事例にすぎません。ECO3はそのほかにも、現像レスCTPプレートによるコスト削減や、クラウドワークフローによる業務の標準化・自動化、省力化を支える多様な製品群を展開しています。共通しているのは、いずれのソリューションも「人・環境・コスト」に配慮しながら、お客様の競争力を高め、変化の時代を生き抜く力を提供するものであるという点です。“印刷を超える”──それは、従来の枠組みにとらわれない柔軟な発想と、一歩踏み出す意思の先にあると、私たちは考えています。
ECO3はこれからも、お客様の声に耳を傾け、未来の印刷をともに創ってまいります。
【会社情報】
エコスリージャパン株式会社
本社:東京都港区新橋4-21-3 新橋東急ビル10階
電話:0120-745-777
HP:https://www.eco3japan.com/