欧州特許庁 『EPO テクノロジー・ダッシュボード 2025』公開 出願国ランキングで日本は第4位 電池や自動車などの主要分野で出願増
欧州特許庁(EPO)は、欧州特許出願の動向をまとめた『EPO テクノロジー・ダッシュボード 2025』を公開した。
EPO テクノロジー・ダッシュボード(旧称:年次『特許インデックス』)は、グローバルなイノベーションの動向を追跡するツールであり、産業・地域を横断した欧州特許出願活動に関するインサイトを提供するもの。特許データの分析を通じて、技術進歩・研究開発投資・競争力のバロメーターとして機能し、特許出願は企業の研究開発投資の先行指標とされる。
日本企業・発明者の出願件数は2万1,304件で、出願国で第4位にランクイン。日本は電池、コンピューター技術、自動車など主要分野で出願を伸ばした。
日本勢は電池・コンピューター技術・量子で存在感
EPOによると、2025年の特許出願受理件数は過去最多の20万1,974件で、初の20万件超えを記録。欧州(EU27)からの出願は0.7%増、欧州外からの出願は2.1%増で、前年から平均1.4%増となった。
出願国別では、米国が首位を維持し、ドイツ、中国、日本、韓国が続いた。日本は前年比1.1%増で、2025 年に成長を記録した上位10ヵ国のうちわずか3ヵ国の1つ。幅広い戦略的技術分野にわたって特許出願件数を増加させ、数年にわたる安定・低下傾向からの転換となった。
また、中国は2016年以来の出願数を3倍に伸ばし、日本を上回って第3位に浮上している。

日本の最大の技術分野は電気機械・装置・エネルギーで、前年比13.6%増。なかでも電池関連出願は23.8%増となり、パナソニック、トヨタ、AESCの日本企業3社がEPOの電池特許出願上位10社に入った。
コンピューター技術は日本の出願件数第2位の分野で、前年比14.3%増となった。規模は小さいが戦略的な分野である量子技術は171%増の65件となり、主要特許出願国の中で最高の成長率を示した。コンピューター技術の中でもAI関連では、日本からの出願が9%減の243件となり、米国の26%増、中国の4%増、欧州の3%増とは対照的な結果となった。なお富士通は、2025年のEPOにおける量子技術分野の特許出願で首位となり、AI関連技術では第7位となった。
日本の第3位の技術分野である輸送には、自動車・鉄道・航空宇宙に関する発明を含み、日本からの出願は0.4%増。同分野における日本の長期的な減少傾向やEPO全体のトレンド(1.2%減)に逆らう結果となっている。トヨタは自動車分野および電動推進(EV技術)のサブ分野においてEPOの最多出願者となり、両分野で2024年トップだったボルボ・グループを上回った。トヨタは2025年のEPOへの総出願件数でも自動車メーカー首位となり、ボルボ・グループ、ステランティス、ルノー、現代自動車、BYD、フォルクスワーゲンを上回っている。


出願上位企業日本首位はソニー 単一特許制度の利用も拡大傾向
2025年の日本のEPO出願上位企業は、ソニーグループが1,032件で首位となり、パナソニック922件、キヤノン838件、富士フイルム753件、トヨタ自動車748件と続いた。EPOトップ40に入った日本企業は7社となり、2024年の6社から増加。最も大きな伸びを示したのはトヨタ自動車で、2024年の第43位から2025年には第25位へと躍進。京セラ、富士フイルム、キヤノンも出願件数を大幅に増やした。


EPOへの特許出願数で上位30校にランクインした大学のうち、日本からは3大学が選出。京都大学が55件で11位となり、次いで大阪大学が13位、東京大学が23位にランクインした。
また、2023年に開始されたユニタリーパテント(欧州単一効特許)制度の利用も拡大している。従来、欧州で特許を取得する際には各国ごとに申請・登録・管理を行う必要があったが、同制度の利用で、1つの手続きで複数国へ一括で特許権を及ぼせるようになる。2025年のEPOでの平均利用率は28.7%に達し、制度の活用は着実に拡大。日本の特許権者が2025年に付与された欧州特許についても9.8%が単一効特許を申請しており、2024年の7.9%から上昇している。
EPO長官アントニオ・カンピーノス氏コメント
「記録的な特許出願件数は、欧州のイノベーション力とグローバルな技術市場としての魅力を裏付けるものです。テクノロジー・ダッシュボード 2025 は産業セクター全体の進捗と課題を追跡し、欧州の政策立案者が技術主権と競争力強化に向けた優先分野の特定や施策・投資の重点化を支援するものです。単一特許制度がすでに障壁を取り除き、より統合された欧州イノベーション市場への移行を加速させている一方で、特に AI・半導体・ヘルスケア・量子技術といった戦略的分野への継続的な注力が必要です」