総論 ― 印刷会社に広がるグッズ・推し活市場の新たな可能性 ―オタク市場と推し活消費が拡大、キャラクタービジネス22兆8,000億円規模に

アニメや漫画、ゲームなどの人気作品を中心に広がるキャラクタービジネスは、2025年も拡大の一途をたどっている。推し活人口の増加とともに、グッズは「応援の象徴」から「自己表現の手段」へと変化し、印刷・加工の技術がその魅力を支える存在となっている。

株式会社矢野経済研究所が発表した最新の調査によると、2025年度の国内キャラクタービジネス市場は前年度比102.6%の2兆8,492億円に達する見通しとなった。

アニメや漫画、ゲームなどのメディアミックス展開が進み、「ちいかわ」「サンリオキャラクターズ」「呪術廻戦」「ハイキュー!!」など人気作品を中心に商品化権・版権市場が活況を呈している。ファンシー系キャラクターのショートアニメ放送も増加し、グッズやイベントなどキャラクターとの“接点づくり”がさらなる市場拡大を支えている。

また、同研究所の「オタク市場調査(2024年)」では、主要16分野のうち14市場が成長。「同人誌」市場は即売会やデータ販売の回復・拡大により前年比37.9%増と高い伸びを示した。
「2.5次元ミュージカル」市場も前年度比4.2%増の500億円に達し、グッズ販売を含めた関連収益が堅調に推移。ライブ・舞台・コラボカフェなど、リアルとオンラインを横断した体験消費が市場を牽引している。

さらに、株式会社CDGと株式会社Oshicocoが実施した「第2回 推し活実態アンケート調査」(2025年1月)では、推し活人口が約1,384万人に到達。前年より250万人増加し、特に30代前半女性での伸びが顕著だった。
推し活出費は「公式グッズ」「遠征」「チケット」「CD」など多岐にわたり、1人あたりの年間平均出費額は約25万円。日本全体では年間約3.5兆円が“推し活”に使われている計算になる。

キャラクタービジネス市場規模推移
「オタク」主要分野別市場規模推移

推し活文化の浸透により、グッズは「応援の象徴」から「自己表現の手段」へと進化している。
缶バッジやアクリルスタンド、カード、ステッカーなどはもちろん、箔押し・型抜き・透け感など、印刷・加工の表現力がグッズ価値を高める鍵となっている。少量多品種・短納期対応など、印刷会社の強みがそのまま活かせる領域でもあり、今後この分野への参入は大きな成長機会になると考えられる。

本特集では、グッズ製作で活躍する最新のソリューションや印刷会社が手がける多彩なグッズ事例を紹介し、拡大する推し活・キャラクタービジネスの現場を追う。

《参照・出典》

矢野経済研究所 キャラクタービジネスに関する調査を実施(2025年)
矢野経済研究所 「オタク市場調査(2024年)」
推し活総研 【推し活人口1400万人・市場規模3兆5千億円】大規模アンケートで分かった!拡がり続ける推し活市場

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