加藤文明社 足立生産センターにRMGTのLED-UV両面8色機導入 省人化・省力化、省エネ、そして効率化の実現へ

株式会社加藤文明社は、足立区入谷の足立生産センターにリョービMHIグラフィックテクノロジー㈱(RMGT)製LED―UV両面8色機RMGT10タンデムパーフェクターを新たに導入した。その稼働式が、足立生産センターで10月29日に行われ、関係者ら立ち合いのもと新台の導入を祝った。
2025年11月に創業111年を迎えた同社では、新たなスローガン「Century Books(センチュリーブックス)」を掲げ、これからの100年も〝本づくり〟を行うことをメッセージとして発信している。
この度の新設備は、本を作り続けるための設備投資であると同時に、次なる時代への姿勢を示したものである。

加藤文明社は、1914年(大正3年)に文明社印刷所を創業し、教科書をはじめとるする書籍づくりを強みとする企業。創業111年を迎えた今年、次の100年も本を作り続けることをコミットするスローガン「Century Books(センチュリーブックス)」を掲げた。技術の進歩と共に、印刷技術だけでなく、書籍印刷・出版印刷の市場や役割りも大きく変化する中でも、変わらず“本づくり”を続けてきた。

稼働式で(加藤社長)
新たに導入したLED-UV両面8色機RMGT10タンデムパーフェクター

創業以来、同社は古くは関東大震災や第二次世界大戦時の空襲、戦後のオイルショック、その後の技術革新やデジタル技術の浸透と多メディア化時代の到来まで、様々な社会変革を乗り越えてきた。
スローガン「Century Books」を実現するためには、これまでの足跡を継承しつつ、時代に応じた設備や生産環境の構築など、常に事業の見直しを続けていくことが必要であると捉えている。この度の印刷機導入は〝本づくり〟を続けていくための最適な生産環境構築の一環でもあり、出版社をはじめ印刷クライアントの「本をつくりたい」という気持ちを支援する取り組みでもある。

100年後の書籍づくりにコミットする生産体制とLED-UV機RMGT10の特徴

稼働式が行われた足立生産センターは、加藤文明社の生産工場の中でも、教科書印刷のメインシステムであるオフセット輪転機(A縦全判機/B縦半裁機)、多品種小ロットニーズに対応するPODシステムや無線綴じシステムなどが並ぶPODフロアも擁する工場。主力工場として1日24時間・週7日稼働しており、LED―UV機のRMGT10導入は内製化の向上、短納期及び急ぎの仕事へスムーズに対応できる環境構築への期待が掛かっている。

足立生産センター
RMGT10導入のために新たに白い囲いをつくった

なおRMGT10は、オフ輪印刷機の並ぶ1階に設置。オフ輪印刷機との境には白い囲いで仕切りを作り、安定した生産現場を実現。白い囲いを作ったことで工場内を分断しないように、縦長のおしゃれな窓を配置するなど工夫することで工場内におけるオペレーター同士の交流や仕事環境の見える化を維持している。

新たに導入したRMGT製LED―UV両面8色機RMGT10タンデムパーフェクターは、専用の裏面印刷ユニットと通常の片面印刷機を独自の連接ユニットで接続した菊全判ワイド/B1判両面印刷機。裏面印刷後に反転することなく表面印刷を行うので、両面印刷に付随する様々な制約条件をクリアしており、厚紙のワンパス両面印刷も可能になる。連接ユニットにLED―UV乾燥装置を内蔵しているので両面のLED―UV印刷が行え、表裏の印刷品質差がない高品質な印刷を可能としている。
またブランケット洗浄時間も短縮し、ジョブチェンジをさらに効率化。画面のワンタッチ操作で複数ジョブの連続印刷を全自動で行える「スマートアシストプリンティング」機能も搭載し、複数のジョブも効率的に生産する。品質検査、濃度調整、見当調整が用紙を抜き取らずにインラインで行える「印刷品質管理システムPQS―D(I+C+R)」も装備した。給紙、フィーダーボード、排紙の各所にはCCDカメラが設置され、安定した生産品質を管理している。

本づくりについて考えるきっかけになる設備

この度の稼働式では、冒頭、主催者挨拶で同社代表取締役社長の加藤文男氏が、創業111年を迎えることを紹介。「当社にとって1が3つ並んでいることは、創業者加藤保の創業理念を想起いたします。一流の品格、一流の信用、一流の製品です。そして今期より新たなスローガン『Century Books(センチュリーブックス)』を掲げました。100年以上本を作り続けてきた企業が、この先も本を作り続けていくことへの約束です。書籍市場の厳しさは続いていますが、当社が100年後も本を作り続けることを明確に伝えることで、印刷機メーカー、資材メーカー、出版社さまやクリエイター、そして当社で働く社員に至る、本づくりに関わるサプライチェーンと業界全体に、安心して本を作れる環境が今後も存在することを示したものです。このメッセージは希望と勇気を与える可能性があると思っています」と語った。
加えて、今後も本づくりを継続を約束するために設備投資が必要であり、「省人化・省力化、省エネと効率化への取組みは常に意識し、その時に導入可能な最新技術の採用が重要です」とし、設備した背景ついて紹介した。
省人化・省力化は、人手不足の時代に、人が少なくても業務を滞らせることなく生産できる環境づくりや、働く社員が難なく作業できる環境づくり、個人の健康と幸せを第一に考える会社であるためにも必要な要素となると解説。省エネは、地球に住み・地球に育てられ、生きる者として、一人一人が環境への意識を高めていくことの必要性と、生産工場をもつ企業として求められている。
また材料費や人件費が高騰する一方、価格転嫁が難しい商習慣の中で事業を継続していくために、社内で努力していくキーワードとして効率化を挙げ、今後も継続してワークフローの見直しを図っていくと表明。加えて、「LED―UV機は、我が社にとっても初めての挑戦でもあり、その機能は〝本を作る人たち〟にとっても嬉しい設備になると同時に、本を作り続けていくために工夫することを考えるきっかけにもなる非常にポジティブな設備だと思う」と期待感を語り、「設備の機能を120%活かし、様々なことに挑戦していきたい。本日はスタートの日です。今後も引き続き、ご支援賜りたい」と述べた。

営業活動にインパクトもたらすシステムとして期待

続いて、同社取締役営業統括本部本部長の細川由紀夫氏が挨拶に立ち、生産設備としての充実、足立生産センターに設置できたことで営業活動においても大きなインパクトになると期待感を述べた。生産統括本部本部長の三河亮平氏も挨拶し、今回の設備選択は大きく変化する市場への対応と、短納期・高品質が当然のように求められている状況があり、後工程までのワークフローを考慮した最適解の導入になったと強調した。カラーマネジメントについても設備を言い訳にすることなく品質を維持し、内製化を進められることに期待しているとし、「新しい文化を発信していきたい」と意気込みを語った。

稼働式で高速印刷が披露された

来賓挨拶に立ったリョービMHIグラフィックテクノロジー㈱営業本部東日本支社長の髙塚泰之氏は、「今回導入頂いたRMGT10は、省力化、省人化、省エネという3つの〝省〟を併せ持つフラッグシップモデル。次の100年を支える機械になることを期待しています」とお祝いを述べた。

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