【FFGS寄稿:Jet Press 750S導入事例ーライブアートブックス】卓越した色再現性が写真集や図録などの美術印刷で大きな強みに 色校正の効率・精度も向上し、顧客の安心感・信頼感が高まった

富士フイルムグラフィックソリューションズ株式会社(FFGS)は広報誌『FGひろば電子版』で、Jet Press 750Sを導入した株式会社ライブアートブックスの事例を紹介している。その内容を掲載する。

写真左から、代表取締役 川村佳之氏、執行役員 生産統括 丸塚真二氏

美術印刷のエキスパートである株式会社ライブアートブックス(プリンティングスタジオ:〒537-0001大阪市東成区深江北1-15-32、代表取締役:川村佳之氏)は、2023年3月に富士フイルムのインクジェットデジタルプレス『Jet Press 750S』を導入。写真集や美術書、商業印刷物など高い品質が求められるジョブの校正や小ロットの生産をオフセットから切り替え、効率性・収益性向上を実現した。Jet Press導入の背景や目的、導入効果、今後の展開などについて、代表取締役・川村佳之氏、執行役員生産統括・丸塚真二氏に伺った。

印刷品質と用途の幅広さで比較し「圧倒的に良かった」Jet Pressを選択

ライブアートブックスは、さまざまなチャネルを通じて顧客の体験価値を創造する「株式会社大伸社グループ」の一員として、プリンティング事業を担当する印刷会社である。2006年頃から美術印刷に参入し、現在では写真集、美術書、展覧会図録など、高品質な印刷物製作のエキスパートとしての地位を確立。クリエイターやアーティストからも指名を受け、国内外でさまざまな賞を受賞している。また、マーケティングプロデュース事業などを担当するグループ会社から、企業の商品カタログなどの商業印刷の仕事も受注している。 

これまで、写真集や美術書などの印刷物では、2台の菊全8色オフセット機で色校正を行なっていたが、高い精度が求められる上に色校正の回数が非常に多いため、本機校正では工数がかかりすぎるという課題があった。そこで「校正をデジタル印刷機に切り替える」ことを検討し始めた。

「Jet Press 750Sと他社製のB2サイズ枚葉UVインクジェット機を、『品質』と『用途の幅広さ』の2軸で比較検討しました。品質面では、紙の風合いをどれぐらい活かすことができるか、本機とのカラーマッチングがどれだけ取れるか、それをどれだけ安定して刷れるか、といった点をとくに重視しました。その結果、どの項目も、“Jet Pressの方が圧倒的に良い”という結論でした」(丸塚執行役員)。

校正から量産までフル活用。柔軟かつ効率的な生産体制に

Jet Press導入後、同社の校正の仕事は大幅に効率化されたという。たとえば、校正台数22台の美術書の仕事では、オフセット機での本機校正では通常5〜6時間かかるところ、Jet Pressでは3時間程度で終えることができるようになった。

「校正のスピードアップをアピールすることで、校正だけでなく、小ロットの仕事は本刷りもJet Pressで行なえるようになりました。校正と同じ品質が担保できるということは、お客さまにとっての安心感にもつながりますから、当社の大きな強みになっていると思います」(川村代表)

現在では、印刷枚数1,000枚以下の小ロットの仕事はJet Pressで対応しており、オフセット印刷機の稼働状況によっては、工場側の判断で1,000枚以上でもJet Pressで印刷することがあるという。

「Jet Pressは、オフセット機で印刷したものを横に並べても、言われないと区別がつかないほど近い品質で仕上がるので、臨機応変にオフセット機から切り替えることができます。そのため、Jet Pressの稼働率は高く、その分、オフセット機の負荷が軽減されており、導入して良かったと思っています」(丸塚執行役員)

同社では、Jet Pressを基本的に1名で運用しているが、繁忙期には日勤スタッフ1名・夜勤スタッフ1名の計2名で昼夜24時間稼働できる体制をとっている。2名のうち1名はオフセット印刷機の経験を持つ熟練のスタッフであるが、通常日勤を担当しているもう1名は入社してまだ1年にも満たない女性スタッフである。このスタッフは印刷の経験はなかったが、本人の希望もあってJet Pressのオペレーターに抜擢された。

「Jet Pressを入れたことで、印刷経験の少ない若手のスタッフでも、やる気があればどんどん任せられる体制ができました。」(川村代表)。

ライブアートブックスでは、顧客から入稿されたデータをJet Pressの標準値で刷れるよう、印刷前にデータづくりを行ない、Jet Pressでは基本的にデータ通りに印刷するという工程を組んでいる。そのため、新人のオペレーターでも高品質の印刷物を生産できているのだという。

色にこだわる作家から“Jet Press指名”も

同社がJet Press 750Sの品質性能を生かして手がけた仕事の例として、カンボジアの写真家キム・ハク氏による写真集『MY BELOVED』が挙げられる。この写真集は、キム・ハク氏が生まれ、現在も活動拠点とするカンボジアを10年間にわたって旅しながら撮影した風景写真をまとめたもので、2025年の国際的なデザイン賞『ADC Annual Awards』でBRONZE CUBE(銅賞)を獲得している。

 『MY BELOVED』は、B4横型袋とじ・256ページ、発行部数500部と、大型でページ数の多い写真集で微妙な色彩の再現性や安定性が求められたことから、Jet Pressでの印刷を選択したという。

「たとえば、グレー調の淡い色味は、オフセット機で印刷すると赤や青に転んでしまうことがあり、校正でOKをいただいても本番では色がズレてトラブルになるケースがあります。しかしJet Pressでは、校正でOKになった色を本番でもまったく同じように印刷できます。これは、私達にとっても安心感があって、本当にありがたいですね。写真集の仕上がりについては、キム・ハクさんをはじめ多くの関係者から『とても良かった』と高いご評価をいただきました」(川村代表)

同社では、さまざまなアーティストの図録の印刷にもJet Pressを活用している。

「美術館などの図録には、白壁に作品が展示されている風景のショットがよく使われるのですが、オフセット印刷では少し赤みを帯びてしまうことがあるんです。Jet Pressではそうした色の転びがなく、データ通りに再現でき、大きなメリットになっています。白壁が赤味がかった色になると、作品のイメージもかなり変わってしまいますからね」(丸塚執行役員)

作家側から「Jet Pressで印刷してほしい」と“指名”されることも少なくない。たとえば、写真家・大和田良氏の作品集『FLORA/ECHO』(Kesa Publishing、2025年)がそのケースであった。これは、ルーメンプリントという技法(従来の銀塩印画紙に太陽光やUV露光機を用いて像を焼き付けることによって、多様な色再現を生み出す技法)を用いて制作された作品の写真集で、その研究報告も一緒に掲載されている。

「当初は校正のみJet Pressで印刷する予定でしたが、刷り上がりを作家さんに気に入っていただけたので、本番もJet Pressで印刷することになり、最終の仕上がりについても非常に好評でした」(丸塚執行役員)

■Jet Pressの特徴を活かして仕事の幅を広げ、アーティスト支援にも注力

ライブアートブックスでは、Jet Pressの強みを活かして仕事の幅を広げていくことにも積極的に取り組んでいる。たとえば、難易度の高い広色域を表現するRGB印刷。すでにテストを終え、今後顧客への提案を進めていく計画である。また、B2サイズ対応という特徴を活かした大型本などの受注も目指している。

さらに、アーティストの活動支援にも力を入れており、アーティストが作品集を出版する際に、版元としてバックアップしたり、自社で運営する外苑前(渋谷区神宮前)のアートギャラリー『LAG(Live Art Gallery)』で企画展示や作品販売を行なうなど、幅広い活動を展開している。

こうした取り組みの背景にある思い、そしてJet Press 750Sへの期待について、川村代表はこう語った。
「私どもは、印刷の仕事に限らず、さまざまな側面からアーティストを支援し、信頼関係を深めることを大切にしています。それが印刷の仕事として戻ってくることにもつながると考えています。印刷以外のサービスも強化しながら、印刷の仕事を増やしていく。その中で、品質が高く用途の幅も広いJet Pressが大いに活躍してくれると期待しています」

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