【インタビュー】富士BI:営業統括部統括部長近藤哲也氏・販売推進部部長の片岡大輔氏 顧客と創る未来の印刷ビジネス AIを搭載した「Revoria Press PC2120」

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社は、2025年12月1日、プロダクションプリンターの新製品「Revoria Press(TM)PC2120」を発表した。新製品は、AI技術を活用した新機能により、印刷業務を自動化・効率化するもので、同社では新製品の発表と併せてAI技術を活用したマーケティング支援により印刷物の価値を高める取り組みを提案している。新製品とAI技術がもたらす印刷ビジネスの新しい可能性について、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン㈱グラフィックコミュニケーション営業統括部統括部長の近藤哲也氏と同社グラフィックコミュニケーション営業統括部グラフィックコミュニケーション販売推進部部長の片岡大輔氏に話を伺った。

現在の印刷産業を取り巻く環境は引き続き大きく変化していると思います。そこには、人材不足、原材料費や人件費の高騰、などといった問題もあります。こうした課題が印刷会社の経営を大きく圧迫しているといえるのではないでしょうか。市場においては、一人一人に合わせたバリアブル化や小ロット化などもさらに進んでいます。
一方、デジタル技術の浸透により、様々な影響がもたらされています。例えば属人的作業からの脱却、生産性の向上などがあります。
デジタル化の波は、今までのコミュニケーションの中心、あるいは伝達の中心だった紙メディアの役割自体も変えてきていると感じています。こうした状況の中で取り組むべき施策として、AIの活用がフォーカスされています。
AI技術は生産性を飛躍的に向上させます。しかし、印刷業界における導入率は20%強程度だという調査がありますから、今後、さらにAIの導入が加速していくことが期待されます。その意味でも、2025年は、〝AI元年〟だったという印象を抱いています。

近藤氏(左)と片岡氏

富士フイルムでは、2015年からAI技術への取り組みを開始しています。当初は、医療現場のレントゲンや内視鏡で撮影した画像を分解し、欠落している部分を補って成形したりする画像加工技術が中心でした。その技術が進化を遂げ、対応可能な分野も拡大し、商業印刷における印刷画像処理や印刷ワークフロー設定の支援にも応用されています。2025年は、富士フイルムのAI技術がビジネスイノベーション領域へ本格的に展開され始めた年といえると思います。

新製品の「Revoria Press PC2120」のテーマは『宇宙』です。従来のデジタル印刷の常識を〝重力〟とすると、その重力を超えて、無限の可能性を実現するシステムというイメージで、新たな地平へ誘う究極の1台としてご紹介したいと思います。

「Revoria Press™ PC2120」

主な特長は、AI技術を搭載したことによる「自動化・効率化」、新開発のグリーントナー搭載による「高付加価値」、そして「高品質・安定性」です。
自動化・効率化に関しては、AI技術を活用することで印刷設定や用紙設定など各種設定の自動化を進めました。本来、デジタル印刷機は、誰でも扱えることを特長としてきましたが、プリントサーバーなどには設定項目が沢山あり、ノウハウが必要で、デジタル印刷の〝職人〟が必要だったのではないでしょうか。

今回の新製品では、印刷作業を自動化する様々な機能が加わっています。用紙を読み取ることで、用紙の特性を解析し、用紙にあった最適設定を自動で行う「用紙プロファイラー」や、入稿データの特徴を解析して最適なジョブプロパティ設定を提案する機能、RGB写真の特徴から最適な画像補正を自動で行う機能などが搭載されています。これらのAI技術により、本当の意味で、誰でも扱えるデジタル印刷システムとしてお使いいただけることを追求しています。

用紙プロファイラー

また、特殊トナーのラインナップに新開発のグリーンを加えることで「高付加価値」に寄与する特性も向上させました。デザイナーやアニメのクリエイターなど、パソコン上でコンテンツを制作する人が増えており、印刷物においてRGBデータの再現が求められることも多いと思います。また企業のコーポレートロゴなどの色を合わせには苦労する作業だったのではないでしょうか。
グリーントナーを採用したことで色域が拡がり、RGBに近い再現性が得られるともに、パントン社の色見本帳のカバー率も向上させました。色合わせの作業も効率化し、コンテンツ制作を受託する側が印刷物の製造まで一気通貫で対応できるようになり、新しい革新の世界に入っていく。つまり、印刷現場そのものが変わっていくと期待しています。商品開発におけるデジタル化がさらに進む中で、プロモーションのチャンスを増やしていくことに役立つと思っています。

「上:グリーン・ピンクトナーを使用した印刷、下:CMYKのみでの印刷」

AI技術の活用に関しては他の製品でも取り組みを加速しています。例えば、営業担当者が入力した受注情報の補完が必要な部分をAIが解析し、過去のジョブと比較して最適な提案を行う工務・生産管理支援ツールの販売開始を予定しており、次の段階では最適化した生産ワークフロー構築を提案するスケジューラー機能の開発も進めています。

マーケティング支援する「Revoria Cloud Marketing」もAI技術の活用を進めている製品の一つです。ペルソナの生成をAIが行う機能を搭載するなどして「ターゲットの明確化→Web広告と紙の販促効果の可視化→改善提案の自動化→広告予算の最適化」というサイクルのアップグレードを支援します。これによりPDCAサイクルの回転を早くし、営業活動を向上させます。こうした機能は、印刷会社がクライアント企業のビジネス支援のために提案する機能として活用いただけると思います。つまり、顧客企業のマーケティング支援を行うことが出来るようになるのです。
なお「Revoria Cloud Marketing」には、お試しで数カ月間使える無料トライアルを用意していますので、テスト的に活用して自社のビジネスとマッチするかイメージしてから導入して頂くこともできます。

AI技術は、印刷の前工程など準備段階の分野に導入しやすい技術だと思っています。AIは、構造化できる業務に最適だとされています。しかし現在の企業の中で、構造化されているデータはわずか1割程度で、残りの9割が非構造化の状態であると言われています。これは、AIに伸びしろがあるということを示しているのではないでしょうか。その意味でも、2026年は顧客企業に対してAI活用の重要性を伝えていきたいと考えています。
現在、お客様のAIに対する反応は、「どこに使ったらいいのか」「どの領域でどんな効果が得られるのか」ということが一番多いと感じています。そうしたAI導入のためのノウハウが富士フイルムにはあります。AI導入には、企業の特性にマッチしたシステム構築や活用方法が必要だと思います。そのため、お客様の要望や考えを共有し、共に取組みながら、AIを活用した業務の流れや必要なシステム構築を支援していきたいと考えています。
それにより、印刷業界全体のAI活用が浸透し、自然とAIについて話し合える環境が醸成されることを期待しています。

2026年は、大阪・東京・仙台・広島・福岡・名古屋の全国6拠点でイベント「新製品お披露目会」を開催します。(大阪・東京は終了)。大阪を皮切りに、最後の名古屋(2月12日・13日)での終了後は、「page2026」展に出展し、新製品とAI技術を紹介します。
「新製品お披露目会」は、AIによる自動化・省力化、広色域であらゆる表現を鮮やかに再現し、次世代の印刷体験を提供するという意味を込めて、「進化する印刷技術、未来を色鮮やかに」をコンセプトとして掲げています。会期中には多くのセミナーも用意して、新製品や「Revoria Cloud Marketing」も紹介します。

自社製品の紹介以外に、生成AIが変える印刷業界の未来、生成AIを使った業務改革への提案、RGB印刷の取組み、設備投資のポイントなど様々なテーマでのセミナーをご用意しています。是非会場でAI技術による新しい印刷ビジネスの可能性について感じて頂ければと思っています。
印刷の現場はAIを活用することで工数削減と、作業の効率化が実現します。また新製品では、グリーントナーを搭載したことで色域も拡大し、印刷市場やターゲット層を広げることが可能です。これは、ビジネスの幅を広げ、様々なビジネスチャンスにつながることを意味しています。

もともと文字をハンドリングすることが得意だった旧富士ゼロックスと、イメージをハンドリングすることを得意としてきた富士フイルムが、ともに印刷分野におけるAI技術の進化に取り組むことで新しいイノベーションが起こせると考えています。今後もお客様と一緒に、市場創りに取り組んでいきたいと思っています。

  • 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
  • 代表取締役社長・CEO 浜 直樹氏
  • 東京都港区赤坂九丁目7番3号
  • https://www.fujifilm.com/fb/

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