プリントネット 鹿児島県日置市でサーモン陸上養殖の試験設備完成 地域資源を活用した新規事業として放流式を実施
プリントネット株式会社は、鹿児島県日置市入来浜地区で準備を進めてきたサーモンの陸上養殖事業について、試験用設備が完成し、12月11日に放流式を行った。地域の水資源を活用し、陸上でサーモンを育成する実験的な取り組みとして、今後約1年をかけて検証を進める。
試験設備が完成、1,500匹のサーモンを放流
今回完成した設備は、地域に存在する水資源を生かしながら、陸上環境でサーモンを育てるための試験用施設。放流式には同社関係者に加え、施工を担当した有限会社ひらやまの関係者も出席した。設備確認後、初期群として1,500匹のサーモンが生け簀へ放流され、育成が始まっている。
今後は日々の管理を通じて成長状況や飼育条件を確認し、得られた知見を次の展開へ生かす方針。
小規模導入が可能な「ひらやま式」陸上養殖
施工を担ったひらやまは、熊本県八代市を拠点に陸上養殖など複数事業を展開する企業。同社が手がける「ひらやま式」と呼ばれる陸上養殖の仕組みは、大型で複雑な設備を必要とせず、初期投資を抑えて導入できる。
運転コストも比較的抑えやすく、小規模から段階的に拡張できるため、地域資源を活用した養殖モデルとして注目されている。同社は同方式でブランドサーモン「桃太郎サーモン(R)」を育成しており、清浄な水環境で育てられた生食可能な品質が評価されている。
印刷事業で培った力を生かし新分野へ
プリントネットが陸上養殖に取り組む背景には、「地域から食料を安定して生み出す仕組みをつくりたい」という思いがある。国内のサーモン需要は拡大が続く一方、多くを海外に依存しており、海水温上昇や物流環境の変化といった不確実性が課題となっている。
陸上養殖は海況に左右されにくく、地下水や湧水、空き地、既存施設といった地域資源を活用できる点が強み。印刷事業とは異なる分野ながら、「設備を整え、環境を管理し、品質を維持する」という点では共通項も多く、これまで培ってきた管理力を生かせると判断した。
今後は育成結果を踏まえ、本格設備の検討や地域の飲食店・流通業者との連携、イベント活用なども視野に入れ、地域に根ざした新たな産業モデルの可能性を探っていく。
