【インタビュー】ホリゾン:代表取締役社長堀英陽氏 印刷をコアに未来づくりへの提案 増加する小ロット出版・書籍需要を取り込む デジタル印刷への対応進め、今年10月「HSF2026」開催へ
株式会社ホリゾンは今年創業80周年を迎える。創業以来、印刷後の加工を自動化するシステムで世界トップクラスのシェアを築き上げ、とくにデジタル印刷の後加工市場を切り拓いてきた実績は群を抜いている。今年10月には2年ぶりに同社びわこ工場内のHorizon Innovation Parkでプライベートショー『Horizon Smart Factory(HSF)2026』を開催する。自動化、省人化、無人化をテーマとして、デジタル印刷メーカー各社と連携したハードやソフト、システムが出展されるものと見られる。同社の代表取締役社長堀英陽氏に2025年の振り返りと2026年の展望を伺った。
2025年を振り返って
この2~3年、印刷・製本市場のトレンドの一つに、工程全体を合理化するための一つの手段として〝人の手に代わる自動化〟を取り入れていれていこうとする流れがあります。今後もその傾向が続き、さらに加速していくと見ています。デジタル印刷もその中にあり、近年は利益を生むための印刷手法としての認識が広がり始めました。生産面はもとより、人手不足を解消するための手法として、さらには属人化を防ぐための手段として検討されるのですが、結果的に利益率が高い仕事になるというビジネス面での有効性を感じているお客様が増えている印象です。
そうしたお客様は自信を持ってデジタル化を推進していますが、あくまで手段としてのデジタル化であり、目的は生産、ビジネス両面の合理化と捉えられています。ホリゾングループとして2025年を振り返ると、出版・書籍向けのシステムの商談が多かったと感じています。世界的に印刷物全般が小ロット化傾向にあり、小回りが利く設備の需要が高まっています。書籍であれば1000部から2000部までのロットが多数派になりつつあります。
この分野では無線綴じラインCABS4000が主軸となっており、それらの需要の8割以上を海外市場が占めています。17クランプのCABS6000の出荷も伸びていますが、とくに9クランプのCABS4000は小ロット需要の主軸となっています。いろいろな場面でお伝えしているのですが、製本現場を花形にしたい思いから、機械のデザインに大変力を入れています。このCABS4000もマイナーチェンジに併せて「Redesign」を行い、少しカッコいいシステムに代わります。そして、同じタイミングで安全基準も高いものへと変更する計画です。
デジタル印刷への対応として、昨年9月にブックブロック加工機BBS56をリリースしました。プラウ折りのブックブロック製造装置で、ロール式デジタル印刷機で印刷されたロール紙を、BBS56の巻き出し装置に取り付け、ミシン目とプラウ折を入れながら、設定サイズでカットしてブックブロックとして集積します。集積後はインラインでもオフラインでも構わないのですが、製本機へと繋いでいきます。既にテスト導入も進んでおり、欧米を中心に各国への展開を進めています。2026年は更にデジタル印刷機への切り替えが進むとみており、ロール式デジタル印刷機の需要拡大とともに、受注増加を期待しています。
4クランプの無線綴じ機iCE BINDER BQー500はさらに小ロット向けの商品ですが、機械単体の商談以外に、自動化を実現するシステムとしての引き合いが目立ちました。BQー500に、本身自動投入装置LBFー500、三方断裁機iCE TRIMMER HTー300などを接続したシステム構成のお話を頂くことが多く、自動化システムとして稼働させる流れが活性化していることを感じています。一方で、スタンドアローンで使用されるケースに陰りを感じており、改めて機械単体の販売にも力を入れて裾野を広げていきたいと考えています。
中綴じの分野では、ペラ丁合鞍掛け中綴じ製本システムiCE STITCHLINER Mark Ⅳと、同機をベースにロール式デジタル印刷機と、オフラインフィーダーHSFー50でカット紙にも対応するiCE STITCHLINER Mark Vが堅調でした。特に海外ではiCE STITCHLINER Mark Vの引き合いが想定以上に多く、デジタル化への流れがさらに進んでいることを実感しています。
ワークフローを最適化するポストプレスマネジメントシステムiCE LiNKについては、JDFワークフローの構築、作業工程の見える化のためにご導入頂くケースが増えていますが、すべてのお客様に導入していただきたい仕組みなので、まだまだ満足できていません。お客様のご要望を盛り込みながら、更なる普及活動を進めてまいります。
全体的に2025年を振り返ると、私たちの想定を一段超えて、省力化、自動化の要求が多かったというのが印象です。2026年には枚葉式インクジェット印刷機とインラインで接続するSTITCHLINERを発表する予定です。一歩進んだ印刷から加工までの省力化という領域に手応えを感じています。
ホリゾンは昨年5月に富士油圧精機を完全子会社化し、ホリゾングループに迎えました。富士油圧精機は出版・書籍市場に強いメーカーです。出版・書籍印刷業の方々から高い評価を頂いており、このタイミングで富士油圧精機がホリゾングループに加わったことで、製本から梱包まで一連のソリューションへと幅を広げることができました。昨年11月に東京と京都で開催したプライベートショーではCABS6000から富士油圧精機の装置による梱包までの省力化を提案しました。来場者の方々から評価する声を頂き、2026年はさらに期待を持っています。富士油圧精機は特注機の開発も得意としていますので、カスタム提案の強化、実現も図っていきます。
昨年、ホリゾン主体として初出展したCHINA PRINTでは中国国内はもとより、タイやベトナム、韓国から来場された印刷・製本業の方々から良い反応をいただきました。しかし、中国市場での設備投資の低迷など、経済的な厳しさがあり、その後の販売活動においては、なかなか難しい状況です。今の段階では慎重にかつ柔軟にマーケットに向き合っていく必要があると感じています。しかし、アジア全般としては、人口が伸びており、これから大きなマーケットになると期待しています。引き続きお客様のニーズに応えながら、アジア地域の印刷産業の発展に貢献したいと考えています。
2026年は創業80周年
2026年、ホリゾンは創業80周年を迎えます。創業100年に向けた80年の節目で、次の20年に進む上で加速するための大事な1年になると捉えています。
今年10月にはびわこ工場内Horizon Innovation Parkで『Horizon Smart Factory(HSF)2026in HIP』を開催します。一昨年に開催したHSFでは、「自動化から無人化へ」をテーマにロボットアームやAGVなどによる、近未来のスマートファクトリーをイメージした展示内容でした。今年のHSFでは〝無人化との共存〟をテーマに、より具体性、完成度を上げたご提案になるよう企画を進めています。例えば、搬送ロボットはお客様の状況に合わせてプログラムなどの特注が必要ですが、パッケージ化して敷居を下げ、わかりやすく、リーズナブルに設備判断が出来るように提案できればと考えています。
印刷・製本業界では印刷メディアの役割を再確認し、お客様にその価値を高めていこうとする取り組みが増えています。
ホリゾンは、そうしたお客様の事業活動の中で、効率的・効果的に成果物を生み出せる生産設備として、その稼働進捗や他機器とつながることの出来るワークフローシステムとして活用していただき、結果としてあらゆる側面からお役に立つことができればと考えています。
私は、デジタル化が進めば進むほど、紙メディアの価値が高まるだろうと考えています。既にAIで映画や小説ができてしまう時代です。しかしそれを可能にするのも、そこまで歩んできた映画監督や小説家のデータの蓄積があってこその賜物だと思います。紙を通して、伝える、受け取る文化は普遍的なものとして今後も生き続けるものと信じています。デジタル化の中でAIが進展するにつれて、再発見できる印刷メディアの価値が現れてくると期待しています。
引き続き、印刷・製本業の皆様が良い循環を作り出していただけますよう、共に歩んでいきたい思いでいっぱいです。本年もどうぞよろしくお願い致します。
- 株式会社ホリゾン
- 代表取締役社長 堀英陽氏
- 本社びわこ工場・ショールーム(Horizon Innovation Park) 滋賀県高島市新旭町旭1600
- https://www.horizon.co.jp/




