キンコーズ・ジャパン 環境配慮型オフィス移転でCO₂排出量を詳細算定 オフィス移転の全工程を可視化し、新たな基準づくりにつなげる取り組み

キンコーズ・ジャパン株式会社は、本社オフィス移転にあわせ、移転作業に伴うCO₂排出量を詳細に計測する独自の取り組みを実施した。従来は算定ルールが未整備である領域ながら、施工・ネットワーク工事・廃棄を含む全工程の排出量を“ゼロから算定”する。

オフィス移転を“環境配慮の実験場”に

同社は「必要な分だけつくる」「無駄をつくらない」というオンデマンドサービスの姿勢を、今回のオフィス移転にも拡張した。株式会社地球中心デザイン研究所およびK&ESG株式会社の専門的アドバイスを受けながら、施工業者へのヒアリング、見積書の精査、他業界のPCR(製品カテゴリールール)を参照し、独自の算定方法を構築した。

本業ではない領域であえてCFP(カーボンフットプリント)の算定に挑むことで、客観的なデータを示し、今後の印刷・制作事業における環境負荷管理の基盤づくりにつなげる狙いがある。また、総排出量に加え「1㎡あたりのCO₂排出量」も開示し、他社の環境配慮型移転の参考データとなることを見据えた。

網羅的なデータ収集で“推測に頼らない算定”

CFP算定では一般的に、影響が小さい要素は「カットオフ」されることが多い。しかし同社は「徹底的に取り組む」との方針で、移転準備に伴うパソコン作業や会議時間まで可能な限り正確に記録し、現実に近い排出量を算出した。

施工会社への直接ヒアリング、見積書を基にした物量ベースの算定、輸送管理シートや出勤表の活用など、実査に近い精度を追求した点が特徴となる。

算定の結果、総排出量は約65,494kg-CO₂(1㎡あたり約115kg-CO₂)となった。工程別では、施工工程が全体の65.6%にあたる42,947kg-CO₂で最も多く、次いでシステム/ネットワーク工事が23.4%(15,312kg-CO₂)、廃棄工程が10.8%(7,069kg-CO₂)となった。中項目では、「造作工事」が17.1%、「電気・照明設備」が16.5%、「ネットワーク工事」が18.6%を占め、施工およびネットワーク関連で全体のおよそ半分を構成する結果となった。

詳細URL:https://www.kinkos.co.jp/corporate/sustainability/officemove/

祝い花の代わりに能登へ植樹を

今回の移転では、祝い花の代わりに認定NPO法人環境リレーションズ研究所が運営する「Present Tree」を通じ、能登への植樹寄付を実施した。集まった寄付と同社からの寄付を合わせ、コナラやクヌギなどの植樹を行い、環境への還元を図っている。

“新しい基準づくり”に向けた挑戦は続く

現段階ではオフィス移転におけるCO₂算定ルールは存在していないが、同社は今回の取り組みで得たデータをオープンに共有し、他社の環境配慮型移転のベンチマークとして活用されることを目指す。さらに今後は、事業活動全体での環境負荷低減を推進する。

キンコーズは、全国店舗での取り組み共有や改善提案を通じ、資材調達から製造、提供までのサプライチェーン全体でサステナビリティ向上を図る方針を示している。

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