ダーツ 地の利と人脈を生かしてグッズビジネス拡大 オリジナルの缶バッチからアクリルグッズ、布製グッズまで
株式会社ダーツは、ビジネス書のDTPをはじめとする書籍・冊子制作を得意としている企業だが、最近はアクリルグッズやTシャツをはじめとする布製グッズ等の制作にも力を入れている。需要増加を背景に、新たにUV-DTFプリンターも設備する予定だという同社の大根田利夫社長に話を伺った。
広がるグッズ制作ビジネス
ダーツのグッズ制作サービスの始まりは、オリジナル缶バッジを始めた約14年前にまで遡る。缶バッジは、今ではグッズビジネスの定番商品であり、様々なサイズが登場。個人で発注する人も少なくない。製造している缶バッジは、丸型(最小サイズ22㎜~最大サイズ152㎜まで)、長方形(小・大)、正方形、ハート型など多様なサイズと形を用意。裏側も代表的な安全ピンだけでなく、マグネット、ミラー、ピンズ、チャーム、栓抜きもある。
同社では、缶バッジ専用のWebサイト「小石川の缶バッジ屋」を開設。同サイト上にはテンプレートも用意されているので、テンプレートを活用してデザインを入稿することで、簡単にオリジナルの缶バッジが発注できる。缶バッジのプリントや製造は、社内で対応しているので、必要に応じてスピード納品にも応えることができる。
また約8年前からはTシャツをはじめとする布製プリントグッズ制作もスタートさせた。約3年前に、イメージマジックのDTF(ダイレクト・トゥ・フィルム)プリンター「DTTS-302」を導入し、生産性をアップさせているほか、近々、デスクトップサイズのUVDTFプリンターを導入予定で、「小型で持ち運び可能なので、イベント会場で“出張プリントサービス”もできるようになると思う」と期待している。
その他にもオリジナルグッズの製造も行っており、アクリルグッズの他に、マイボトルやボールペン、缶の蓋などへのオジナルプリントを行う。プリントするものは写真やイラスト、キャラクター等様々で、作って楽しく・もらって嬉しいグッズを作ることができる。
オリジナルグッズの中でも、最近は特にアクリルグッズの注目度は高く、個人や一般企業だけでなく、地方自治体やNPO法人などからの発注も多い。アクリルグッズは、キーホルダーやアクリルスタンドなど様々なグッズが作られている。それでも、全般的に制作しやすく、物としても軽くて扱いやすいことから受け入れられているのではないかと、大根田社長は分析している。
地域のイベントでも、グッズに注目
ダーツが強みとするグッズ制作ビジネスは、地の利を生かした急ぎのニーズへの対応や、DTPおよび印刷データ制作ノウハウを生かした製造支援にある。加えて、ご近所さんや知人からの口コミで依頼を受けることも多い。
地の利の良さについては、同社は東京都文京区の後楽園駅から徒歩圏内という都心部に所在していることから、「イベント会場などで販売したり、配布用の缶バッジが足りなくなって困っているクライアントから依頼されることも多い」と大根田社長は語る。
また一方で、人と人との繋がりも受注に繋がる大きなポイントになっている。例えば、大根田社長はNPO法人江戸前21の副理事長をしている。所属の江戸前21は、“「江戸独自の生活文化」である祭事・風習・芸能等を現代・未__来への生活産業に置き換えることで、地域の賑わい創出と観光振興を推進する”(NPO法人江戸前21:趣旨から)ことを目指している組織。
この趣旨に添って、江戸前21は様々な事業の企画運営も行っている。例えば、夏のイベント「夏詣(なつもうで)」は、代表的なイベントの一つで、11年前、台東区の浅草神社から始まった。現在は、全国600カ所の寺社仏閣が参画するまでに、「夏詣」の輪は広がっている。
浅草の「夏詣」の会期中は、大根田社長は連日、本部席で案内運営をしている。こうしたイベントに関わることで、会場で販売あるいは配布されるグッズ製造を受注することも多い。
なお「夏詣」は、地域に根付く企業が協力する傾向が定着しつつある。浅草神社の「夏詣」には、アサヒビールや東武タワースカイツリーなどが協賛・協力団体として名を連ねている。その他に、京急(京浜急行電鉄)やJR東海も「夏詣」に参画しており、「夏詣」イベントが紹介されている専用サイトも開設されている。そのサイトでは、鉄道で訪れることができる夏イベントとして「夏詣」への訪問を促している。
技術力で時代が求めるものを作る
一方、知人・友人を通じたグッズ製造もインパクトのあるものが増えているという。
例えば、ダーツのECサイトで販売されている「レトロマッチラベル」シリーズは、個人で収集していた昔の海外輸出用マッチ箱のラベルをモチーフにしたもの。知人から依頼されて商品化したもので、レトロモダンなデザインが世代を超えたグッズとしての価値を生んでいる。
あるいは、練馬区立石神井公園ふるさと文化館で9月13日から11月3日まで開催される特別展「昭和100年 日常の風景-太田隆司ペーパーアートの世界-」で販売のグッズも製造。ペーパーアーティストの太田氏から依頼されたもので、太田氏の作品が身近に楽しめるグッズに変身している。
その他に、知人のルートからの紹介でグッズ化した韓国の画家・JJ DEN氏の商品がある。同氏の手による多くの“ふくろう”が並んだ絵画作品から、“ふくろう”を1羽ずつ分割し、可愛らしいアクリル製のアンブレラマーカーに生まれ変わらせた。
最近ではオリジナルグッズ作りは、身近になり、さらに個別化が進んでいることを感じるという。ただし、個人からの発注の大半は20~30個という小ロットであるため、小ロット受注も効率的に生産できる体制作りも必要だ。一方で、グッズ素材も多様化し、それに伴い様々な新商材が誕生している。
多品種・小ロット化が進む市場に、いかに対応するか、急ぎのニーズにいかに応えていくのか等が、この市場でも求められるようになっている。「時代が必要とするものを、これまでの技術力と対応力で提供しています。将来、グッズの先に、また新しいモノづくりが必要とされるかもしれません。いつの時代も、技術でニーズに応えることで対応できると思います」と大根田社長は語っている。
- 企業情報
- 株式会社ダーツ
東京都文京区小石川2-24-2 高橋ビル2F
https://www.d-art.co.jp/
「小石川の缶バッジ屋」https://kanbadge.com/


