大日本印刷 米国・イングラム社の世界各地の書籍をオンデマンド製造・販売「グローバルコネクト」に参画

大日本印刷(DNP)は、米国最大手の取次会社イングラム社の子会社であるライトニングソース社と、「グローバルコネクトプログラム(グローバルコネクト)」におけるパートナー契約を締結した。

グローバルコネクトは、需要に応じて少部数印刷を行うPOD(Print On Demand)事業を手掛けるライトニングソース社が、製造拠点を置くアメリカ・イギリス・オーストラリア以外の国の印刷会社と契約し、世界中の出版社から許諾を受ける書籍のオンデマンド製造・販売を世界各地で展開する事業。

同事業では、パートナー契約が1つの国・地域につき1社に限定。この度の契約で、DNPは日本唯一の契約会社として、日本国内に向けたサービスを8月から開始。これによりグローバルコネクトは、日本を含め世界の15ヵ国(27地域)に展開されることとなった。

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グローバルコネクトの事業イメージ

グローバルコネクトにおけるDNPの役割と提供価値

DNPは、ライトニングソース社が各国の出版社から許諾を受けた作品を、グループ会社である丸善雄松堂の書籍販売サイト、ナレッジワーカー(https://kw.maruzen.co.jp/)より提供を開始する。加えて今後は、自社が運営するハイブリッド総合書店「honto」の書籍販売サイトや、Amazonでの出品・販売を予定している。

グローバルコネクトに参画したことで、注文があった書籍については、DNPが小ロットに対応したPODにより、必要な部数を製造し、提供していく。そのため、研究者や専門家をはじめ、一般の読者が世界の出版社の多様な言語・ジャンルの書籍、特に従来取り扱いの少なかった中南米やアジア等の書籍も幅広く購入できるようになる。

国内でのグローバルコネクト開始の背景と概要

専門書や学術書などの分野では、著者が書いた言語の原書を読みたいなど、日本でも海外で出版された本(洋書)に対する安定した需要があるが、従来は洋書の輸入には多くの時間とコストがかかっていた。また自費出版や英語圏以外の国で出版された書籍は流通量が少なく、多くの書店では調達が困難なため、一般には購入できるタイトルが限定されていた。

こうした状況に対して、グローバルコネクトでは、輸送にかかる時間やコストを圧縮。世界中のパートナー契約社とのネットワークにより、入手が困難であった国や言語の書籍を、日本の書店および読者へ、豊富な品揃えで迅速に提供できるようになる。

DNPは、書店在庫の欠品による販売機会の損失などの課題に対し、グループ書店と連携し、生活者の需要に基づくマーケットイン型のPOD製造と流通体制を整え、生活者が「読みたい気持ちが生まれ、読みたい本を、読みたい時に、読みたい形で」入手できる環境の実現に取り組んできた(ブック・ライフサイクルマネジメント:BLM)。また、海外からの学術書の輸入や大学図書館・研究機関等への販売で実績がある丸善雄松堂を中心に、国内の洋書需要に応え、販売ルートを確立してきた。

DNPは2011年に、海外の学術情報の大手出版社との間で、POD製造と生活者への直接納品(ドロップシップメント)の取引を開始し、洋書の注文を1部から受ける体制を確立し、欧米の書籍市場においてPOD製造が進んでいたことに着目し、いち早く参入を果たした。

今回、完全オンデマンドによる受注・製造の体制構築に早くから取り組んできた実績や、DNPならではの高い印刷・製本技術による製品の品質がライトニングソース社に高く評価され、パートナー契約の締結に至っている。

DNPは、グローバルコネクトへの参画を通して、世界中の国・地域の出版社から多様な言語やジャンルの書籍を調達し、国内に提供することで、生活者ニーズに応え、出版物の販売機会の損失を防ぐなど、出版業界全体の活性化につなげていく。また、グローバルコネクトのパートナー各社の製造・流通機能を活用し、日本の出版社から許諾を受けたコンテンツを世界中に提供することも検討している(リバースグローバルコネクト)。

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