【インタビュー】コダック:代表執行役員 中川武志氏 揺るがない信頼と期待の証 ユーザーと新たな市場をつくる

コダックのサーマルCTPテクノロジーが発表されて昨年は30周年を迎えた。常に新技術のトップランナーとして印刷業界を支えてきた同社はその後、完全無処理プレートを開発。そのテクノロジーは現在の『SONORA XTRA』に受け継がれている。コダックの国内プレート出荷に占める完全無処理プレートの割合は70%を超えた。完全無処理プレートはもはやプレート分野の主流になったといえる。今年1月に代表執行役員に就任した中川武志氏に話を聞いた。

2025年の印刷業界は不確実性という言葉が当てはまる年だったといえます。様々な逆境へ対応していくレジリエント力の強化の必要性がより高まったと見ていますが、それと同じようにコダックとしても様々な不確実性な出来事に対してレジリエンスな組織運営を進め、さらに強くなり成長できた1年でした。

昨年はコダックがサーマルCTPのテクノロジーの発表から30年、完全無処理プレートの発表から20年という節目の年でした。また国内では完全無処理プレートの『SONORA』の発売から10年を迎えました。
当社の強みである完全無処理プレートは現在、当社の出荷量の7割を占めるまでになりました。無処理版への移行速度が緩やかになりながらも、昨年、新聞向けの出荷割合は100%になりました。出版・商業印刷、パッケージの領域でも順調に推移しています。『SONORA』はUV適性が向上するなど製品として完成度がかなり高まりました。まだまだ伸び代があると見ています。

中川武志氏

最新の商業印刷向け『Sonora XTRA』はもともと強みのある版面の〝視認性〟をさらに向上させ、耐刷性、耐傷性を大幅に改良したことで優位性を高めています。2025年にさらに市場拡大を果たせたのはスペックの向上がマーケットに受け入れられたと分析しています。

国内でサーマルプレートの導入が開始され始めた1990年代後半ごろ、大阪のある印刷会社様の担当をさせて頂いていました。コダックのサーマルプレートをいち早く採用して頂き、お客様と一緒になって立ち上げさせて頂いた記憶があります。全くきれいごとではなく、この30年間、コダックは多くのお客様とともにサーマルプレートの市場を作ってきたというのが実感です。メーカーだけでは到底なしえなかったと思います。完全無処理プレートもお客様と二人三脚で普及を進めてきました。
立ち上げ当初はお客様に大変ご苦労をおかけし、実際にその現場を見てきました。それでもお付き合いを続けて頂いているのはコダックというブランドに対する信頼感、期待感があったためだと思います。それは1892年の創業からの資産であり、製版フィルムの時代から日本市場の成長に寄与させて頂いてきた中で育まれてきたコダックに対する安心感だと認識しています。
そこは私たちの誇りです。お客様から支えられているからには、信頼、期待、安心にコミットし続け、ブランドを維持していく責任があり、その緊張感もあります。売上の数字、製品の改良はもとより、私たちの一番のミッションはブランドを守り、ブラッシュアップすることです。コダックはお客様にとって「いつも製品を改良している」、「困ったことがあればヒントをくれる」という存在でありたいと思います。

営業の根幹はいかに熱意を持てるかです。フィールドでお客様とつながり、接しているコダックの営業担当者が常に意識しているところです。また、数多くのお客様にお取り引き頂く中で、大事なのは代理店の方々との関係です。代理店の方々がコダックの製品を応援して下さっているのは私たちの強みの根幹といえます。
現在国内で展開している『SONORA』は日本のお客様の声を反映して開発されました。国内で開発から製造まで行っているのが絶対的な強みで、群馬工場と直結してお客様のニーズから製品開発につなげています。改良の余地には際限がありません。それはブランドの期待感につながるところです。

サーマルプレートは30周年を迎え、現在『Sonora XTRA』にも受け継がれている

昨年、米国でコダックに対するネガティブで誤解を招く報道がありました。コダックは自律的に事業を運営する十分な資金を確保しており、年金制度の新たなスキームにより解決の道筋ができています。
日本のお客様がご心配されたのは確かですが、それは信頼や期待の裏返しであり、心からご心配して下さったのだと感じています。それを証明するように大きな混乱もなく私たちのビジネスはすぐに、平常に戻りました。

今のトレンドの一つが省力化、自動化です。印刷業界は人材不足、技術者の後継者育成という共通した課題に直面しています。現像というプロセスが不要となるコダックの完全無処理プレートは、現像作業そのものに加えて現像機や品質を管理する手間が省かれます。誰でも同じような品質のプレートを出力できますから、技術者の後継者育成からも解放されます。オートローダーによりプレート装填もある程度自動化することもできます。完全無処理プレートはかつてコスト削減、環境対応がフォーカスされてきましたが、近年は省力化、自動化というメリットが意識されるようになりました。

ただ、個人としてはあまり省力化、自動化という訴求だけに固執したくありません。製品導入のメリットはお客様がどう感じるかに尽きるからです。個々のお客様の課題は様々です。結果的に省力化、自動化がその答えの一つだったという捉え方です。製品のメリットよりもお客様の課題が先にあるということです。

そこが先ほど申し上げましたお客様とともに作り上げていくという部分です。お客様が課題解決の答えに気が付きやすいようにサポートするのが私たちの役割です。コダックのプレートとCTPセッターを信頼して検版工程を省いたお客様がいらっしゃいます。しかし、他のお客様に「検版が不要になります」と訴求しても、そのお客様が様々な要因から検版が必要であれば響かないわけです。
同じような機械、資材を使っていても、日本の印刷会社様の現場での使い方は千差万別です。答えは100社あれば100通りあります。昔のように機械を買ってもらえればお客様が儲かる時代ではありませんから、お客様に寄り添って最適化を図ることが成長のお手伝いのポイントだと考えています。

私たちの製品ポートフォリオはプレート、インクジェット、CTPセッター、ワークフローソフトウェアであり、それは2026年も変わりませんが、私としては、まだやるべきことがたくさんあって、ワクワク感しかありません。確かに印刷市場はシュリンクしています。それでもコダックがこの市場で大きなシェアを獲得しているわけではありませんから、それぞれのセグメントで成長していける余地が十分にあります。
例えば、インクジェットは海外に比べて国内の商業印刷・出版印刷への普及が遅れています。費用対効果で見るとオフセット印刷と比較されがちですが、インクジェットの価値はデータドリブンな活用にあります。つまりコストというよりも紙メディアの価値を高められる点です。

コダックの『PROSPER』は唯一のコンティニュアス方式を採用したインクジェットヘッドで、高生産、高品質を特徴としています。国内市場では例えばパッケージ印刷分野にバリアブルという最終製品自体が計測ツールになり得る付加価値を提供できると考えています。日本ではまだ発展途上の領域なので伸び代が大きいと見ています。

私たちの事業の根幹はブランドです。ブランドに誇りを持ち、そしてお客様のご期待に着実に応えながら市場に接し続けていく姿勢は変わりません。2026年も引き続きお客様の事業発展、継続にお役に立つべく、様々な角度からソリューションをご提供致します。本年もどうぞよろしくお願い致します。

  • コダック
  • 代表執行役員 中川武志
  • 東京都品川区東品川四丁目10番13号
  • https://www.kodak.com/ja

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