生産動態 2020年の印刷生産金額は7.0%のマイナス、新型コロナのダメージ鮮明

商業印刷の生産金額の推移(従業者100人以上の事業所)(クリックすると拡大します)
商業印刷の生産金額の推移(従業者100人以上の事業所)(クリックすると拡大します)

経済産業省が毎月まとめている生産動態統計の2020年12月確報がこのほど発表され、2020年の年間を通した印刷生産、印刷機械、インキ、フィルム(ラミネート)の数値が明らかになった。

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響をまともに受けて、印刷生産、印刷機械、インキ、フィルム(ラミネート)の各分野で軒並み前年割れとなった。2018年後半から2019年にかけての世界同時不況と同等、もしくは超えるマイナス成長となった。2021年も大都市圏を中心にした緊急事態宣言の発出を受けて1月~3月は前年割れが予測される。4月以降は前年比でのプラス成長が見込めるものの、2019年の水準までに回復するかは見通せない状況が続く。

2020年の印刷生産金額(従業者100人以上)は3、444億3,900万円で前年比7.0%のマイナス成長だった。とくに商業印刷は1,194億4,400万円で11.7%減。事務用印刷も488億9,500万円で10.0%減、建装材印刷も150億8,800万円で13.4%減と大きく落ち込んだ。一方、証券印刷は56億3,800万円で15.8%増。包装印刷も健闘し、820億2,300万円で0.6%減と微減に落ち着いた。

印刷生産方式で見ると、オフセット印刷が10.3%減、スクリーン印刷が10.3%減。一方、包装印刷で利用されるグラビアが7.1%増、フレキソが4.4%増と明暗が分かれた。

印刷機械の国内生産台数はオフセット輪転機が50台で32.4%減。同枚葉機も389台で40.2%減と大きく落ち込んだ。製版機械が631台で36.7%減、製本機械が7、995台で33.9%減だった。産業用デジタル印刷機は15,595台で6.3%減に踏みとどまったが、軒並み設備投資意欲の減退から生産台数が抑えられた。

オフセットインキの販売数量は7万7,666トンで21.7%減だった。樹脂凸版インキが2万446トンで7.9%減、金属印刷インキが1万1,792トンで6.7%減、グラビアインキも14万5,251トンで3.4%減と軒並みマイナスだった。オフセットインキの販売量は2010年にグラビアインキに逆転されて以降も減少。グラビアインキのほぼ半分の数量となっている。

ラミネート用フィルムは12万6,678トンで5.4%減にとどまった。パッケージやラベル用途の需要向けが堅調だったと見られる。

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