【原色美術印刷社】グッズ事業の売上3倍目指す 自社開発の商品力が成長の可能性拡げる
株式会社原色美術印刷社は2023年から本格的に取り組み始めたグッズ事業で着実に成果を上げている。現在、売上高の2割までに成長しており、今期のグッズ事業の売上目標は前期の3倍。戦略の方向性も定まっており、目標達成への手応えを感じている。
同社は同年3月に長らく商業印刷事業の主力だったオフセット輪転印刷機を撤廃し、グッズビジネスへと経営資源をシフトしてきた。この間、進行錯誤を繰り返してきたが、昨年7月に東京ビッグサイトで開催された『推し活EXPO』で一つの方向性が見えた。社員が開発した独自商品である『HACOレイヤー』、『ACZURU』、『variシリーズ』というアクリルを素材としたグッズがコンテンツホルダーやプロダクション、バイヤーなどの注目を集め、現在、その派生商品を中心に様々な取引が生まれている。
『HACOレイヤー』は絵柄を印刷した複数のアクリル板を重ね、多層構造と同社の編集技術により写真や絵を立体的に表現するグッズ。このコンセプトを元に、サイズを小さくして3層構造に改変し、コストを下げ、2層目にキャラクターを飾るようにした『HACOスタ』を開発したところ、大手出版社から声がかかり商品化された。また、インバウンド需要をターゲットに折り鶴を象ったアクリルグッズ『ACZURU』を小サイズ化して2羽をセットにした『願い鶴』が、外国人が多く訪れる大手ディスカウントストアや家電量販店に採用された。原爆ドームや厳島神社の鳥居など観光シンボルを象った『variシリーズ』は有名キャラクターと菓子のコラボグッズに採用されている。
ニーズに沿った商品開発
同社代表取締役社長の田尾直也氏はグッズ事業について「今期の売上は3倍を見込んでいます」と高い目標を掲げる。統括本部長 インサイト企画部部長の高橋清文氏はその目標を受けて「3倍と聞いた時、無理だと思いませんでした。この1年、東京を中心に営業展開してきてその感触を実感しています。そのぐらいの市場であり、それだけの商品力が私たちの商材にあると自負しています」と力を込める。
中核となる『H A C O レイヤー』、『ACZURU』、『variシリーズ』は製版を担当している社員たちが開発した。
「社員みんながグッズの素人でしたが、この2年半の間にここまで来たことを考えると、できないことはないと実感しています。熱量とバイタリティーがあれば新しいことに取り組めます」(高橋部長)
3つの中核商品は、クライアントから様々な意見・相談を受けながらニーズに沿った形に変わっていく。その一つを担うのが『GENKEI☆ラボ』。地元の大学生もメンバーに加わり、様々なアイデアを出し合いながら商品を企画する。ここから『願い鶴』やVTuber関連グッズが開発されており、学生はそうした商品企画を通して“仕事” を体験する。
「“印刷営業” で求人してもなかなか応募がない時代です。グッズやキャラクターであれば、携わってみたいという若者は多いと思います。将来的には採用という部分にも良い影響があると考えています」(田尾社長)
今期の戦略は、量が見込めるインバウントと、高付加価値のコンテンツホルダーの両市場への集中的な拡販である。同社の期首は6月。目標の売上3倍に向けたスターターピストルの音は鳴った。
【会社情報】
株式会社原色美術印刷社
本社:広島市西区商工センター7丁目5-48
電話:082-277-3030
HP:https://genshoku.co.jp/