【旭紙工】中綴じ×上製本、クリーンルーム、ピロー包装機 3つの新規事業で「印刷を支え、加工を活かす」さらに拡大

旭紙工株式会社(大阪府松原市三宅中、橋野昌幸社長)は、新事業として上製本、クリーンルーム、ピロー包装を展開している。橋野昌幸社長は「上製本ができる製本会社が全国的に少なくなってきました。ページ数は少なくとも高級感を出したいという要望があり、中綴じ×上製本を提案したところ好評です。クリーンルームは清潔・安全・確実な作業を求めるお客様からの依頼が増えてきました。ピロー包装機はカードの自動包装を効率化しました」と述べ、製本・加工から梱包、商品封入までロジスティックスの新市場を印刷会社に提案している。

「印刷を支え、加工を活かす」を社是に掲げる旭紙工は、従業員約200人。大阪府松原市に本社工場と4,100㎡の本社工場と大阪市平野区瓜破南に4,600㎡の瓜破工場、松原市三宅中に物流センターを持つ。工場には約120台の「見守りカメラ」を設置し常時録画撮影し、安心・信頼の製本品質を提供する。製本・加工設備はポーラー、イトーテックの断裁機が10台、折機部門は正栄機械、スタール、ハイマンなど35台、中綴機はミューラー、ハイデルベルグステッチの2鞍から10鞍まで計9台、芳野YMマシナリー18鞍無線綴じラインと20鞍無線綴じラインが2ライン、BOGRAMAの型抜き製本などあらゆる製本・加工設備を持つ。

本社工場は断裁機、折機、無線綴じライン、カレンダー丁合機、カレンダー製本機、御朱印帳などの特殊製本工房、発送などの場内作業場、管理本部、営業本部、事務所、食堂、マッサージルームを配置。工場敷地面積4,600㎡の瓜破工場と本社工場では断裁機、折機、中綴じ機を揃え、無線綴・カタログ折加工・特殊折・型抜き・貼込・断裁紙工・物流まで「安心の品質、徹底した品質管理」により全国の印刷会社から信頼を集めている。

橋野社長(左)とピロー包装機責任者の松尾剛氏

旭紙工は2024年に上製本を内製化した。以前から発注していた上製本会社が廃業するという相談を受けた橋野社長は「旭紙工で若い社員に技術を伝授して欲しい」と上製本を内製化した。「全国的に上製本をできる製本会社が少なくなっています。旭紙工は中綴じとハードカバーで高級感のある中綴じ製本を提案しています」と上製本事業の取り組みを述べる。

上製本の本文は糸かがり無線綴じが選択されていることが一般的だが、コスト的に高額になることや、薄い本の製本が難しい。同社ではペーページ数は膨らまないけど高級感を出したい、高級車やマンションのカタログをもっと高級なイメージを出したいという要望に応え中綴じ×ハードカバーで高級感のある中綴じ製本を提案したところ、大きな反響があった。またブライダルやお別れの会でも採用が相次いでいる。

上製本を内製化
中綴じ×ハードカバーの中綴じ上製本

新規事業として旭紙工は2024年9月にピロー包装機を導入した。同社は10年前からブッシュ打ち抜き機によるカード系の抜き作業を行ってきたが、今回のピロー包装機の導入によりカードの自動包装まで出来るようになった。ピロー包装機ではカードフィーダー機を5基設置、複数種類のカードがひとつのピロー包装で可能にした。

ピロー包装は商品を袋のような形に包む包装方法で、袋の両端を閉じて真ん中に商品を入れる。カードや小さな商品を保護しながら、中身が見えないようになる。食品や薬の包装で広く使われている。製袋充填包装機の一種で、伸縮力が強いため、製品の形状に沿って隙間のない包装ができ、開封後の復元が難しいため、いたずらや盗難防止にも役立ち商品の状態を保つうえで欠かせない包装となっている。

ピロー包装機

完全検査室の「クリーンルーム」は本社工場内に設置され、外部から完全に遮断し、強固な扉から手洗い、専用スリッパ、専用キャップ、袖口締め、エアーシャワールームを通らないと入室は出来ない。印刷物の組み立てや梱包だけでなく、検品まで「人の手で印刷物を商品に仕上げる」ためのすべての作業を行っている。

橋野社長は「検品・梱包などのアッセンブリーと検査を同時に行います。クリーンルームは顧客の検査に対する要望の多様化に対応します。カメラやセンサーで検査された製品が持ち込まれますが、最後の検査は人間の感性、製品への“愛”です」と語っている。

お土産のお菓子や化粧品箱など商品に異物混入しないように徹底してほしいという要望に対応する「クリーンルーム」は、医薬部外品や化粧品などのパッケージの組み立て作業において、製品に異物が混入しない完全検査を行い、同社の新しいビジネスモデルとなっている。

「当社のクリーンルームと検査のシステムは製本会社における異次元の安全・安心を追求しています。製本・加工からロジスティックまで印刷会社とともに新しいビジネス拡大に貢献します」と橋野昌幸社長は今後の方針を語った。

 【会社情報】
 旭紙工株式会社
 本社:埼玉県さいたま市南区松本1-16-1
 電話:048-863-7987
 HP:https://www.tadashikou.co.jp/

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