文化堂印刷 生産工程を集約し、全体最適化へ 準備時間を大幅短縮、新分野への対応強化

文化堂印刷株式会社(神奈川県小田原市、萩野健治社長)は、2025年8月20日、小田原市寿町の本社工場で、株式会社小森コーポレーションの四六全判オフセット枚葉印刷6色機「LITHRONE GL644 advance」導入に伴う修祓式を行った。この度の導入により同社は、受注が増加している化成品の生産を既設機に集約し、新台では什器や大判などのプロモーション市場への対応力を強化するなど、製造全体の最適化を図る。

第1工場に導入されたLITHRONE G44 advanceの前で(2025年8月20日の修祓式において)

文化堂印刷の本社工場で行われた修祓式は、同社代表取締役社長の萩野健治氏をはじめ同社役員・従業員のほか印刷機およびインキメーカー、導入に携わった企業などが見守る中、神事がつつがなく執り行われた後、萩野社長による印刷機の起動式が行われた。萩野社長は挨拶に立ち、「導入にあたってKOMORIさんにも頑張ってもらい、本日に至った。御協力頂いた皆様にお礼申し上げる。これからビジネスを支える印刷機になると思う。今後ともよろしくお願いします」と述べた。

左から部長兼工場長・浦井氏、取締役最高製造責任者・森田氏、執行役員本社工場統括・山岸氏

同社は、オフ輪および枚葉印刷のいずれにも対応する商業印刷を主力とする印刷会社で、カタログ・チラシなどが受注の大半を占めてきた。一方、約10年前からクリアファイル、カードゲーム用ケース、自動販売機の飲料見本などPP及びPET等の化成品印刷にも取り組んでいる。化成品への印刷は増加しているサービスの一つで、受注の約2割を占めるまでに拡大している。その他に、700線の高精細印刷「HBP-700」印刷サービスが高い評価を受けているほか、最近では店頭POPなどの什器印刷の受注も増加。それに伴うむしり作業やアッセンブリまでワンストップで対応する。

導入したLITHRONE GL644 advance(以下、アドバンス)を選択するにあたり重視したのは「生産性の効率化だった」と、本社工場製造部の浦井昌彦工場長は振り返る。枚葉印刷の市場は、小ロット・多品種化が進んでおり、利益を生むためにも生産性を向上させる必要がある。しかし、そのためには効率化が求められており、「立ち上がりの早さや、前準備時間の短縮など仕事の切り換えを少なくすることがポイントだった」と言う。「刷り出しまでの前準備時間が約1時間必要でしたがアドバンスになり15分~20分にまで短縮した」と浦井工場長は語る。

同社に導入されたアドバンスは、KOMORI独自の給水システム「コモリマチック」や、自己学習機能を持ち印刷機全体を統合制御するシステム「KHS-AI」を搭載。色安定性と品質を維持しながら迅速な立ち上げを可能にする。給紙部には「e-Mist」(静電気制御装置)が搭載されているので、包装紙など紙揃えが難しい案件が、冬場であっても安定した生産が可能となると期待されている。これにより印刷後の積み替え作業を減らすことに繋がり、全体的な生産性を高めることができる。「生産力を1日単位で考えると、これまで次の日に取り組んでいた仕事を少しでも前日にこなすことができるようになれば、その効果は大きいです。前準備時間の短縮は生産性に大きく影響します」と執行役員本社工場統括/アッセンブリ事業統括の山岸正喜氏は語っている。

起動式でスイッチを押す萩野社長
関係者が参列して行われた修祓式

加えてアドバンスの導入は、「総合的な効率化を重視したものでもある」と、取締役最高製造責任者で経営企画室長の森田篤氏。「全体最適化を考える上でも生産性の高い印刷機が必要だった」と浦井工場長。

同社は、枚葉印刷の設備として、菊全判UV機(ニスコーター付5色機、ニスコーター付6色機×2台)を設備している。従来は、化成品と紙素材への印刷を同じ印刷機で行うことも多く、印刷の切り換え準備時間が効率化にあたって負担となっていた。

この度のアドバンスを導入することで、同社にとって新しい市場である店頭什器や包装紙、大判ポスターなど紙素材への印刷を集約。PP・PET等の化成品印刷を既設のUV機に集中させることが可能になり、生産の全体最適化を進めることができる。その結果、受注が増加しているPPやPETの化成品の製造に一層注力できる体制が整い、什器やポスターなどのプロモーション市場の新たな需要への対応を強化する。

加えて、KOMORIの印刷工程管理ソフト「KP-Connect Pro」(以下、KPコネクト)も併せて導入した。KPコネクトの採用は、「価格競争が厳しい商業印刷市場への戦略的対応の一つでもある」と森田取締役は語る。印刷現場の進捗やインキ使用量等がリアルタイムに把握できるようになり、生産現場の見える化が進む。生産の見える化と生産情報の共有化が進むことで、見積精度も向上し、後工程との連携強化が実現する。24時間・昼夜2交代制で動いている現場のスムーズな情報共有が実現すると期待を寄せている。

アドバンスでの製造を予定している段ボール素材による店頭什器などは、増加傾向にある受注の一つである。全国チェーン店からも受注しており、中には定期的に毎週納品する案件もある。こうした受注に対して、抜き加工やその後のアッセンブリ作業まで対応する。

なお同社にとってアッセンブリは強みとするサービスの一つ。中には印刷業務もなく、「パッケージして発送してほしい」という要望が寄せられることもある。アッセンブリ作業は人海戦術が肝になるため、常時50人規模のスタッフを抱え、1日平均30人が作業している。拠点を3カ所に分散させ、人手を常に確保できる体制を整えることで大量なニーズにも対応する。1カ月平均で数千単位の作業を行っており、着荷の確認までフォローするなど細やかな対応で信頼に繋げている。

森田取締役は、「アッセンブリ作業を含む後加工の事業に付随する様々な作業を効率化させていくことが、進化する余地として残っていると思う」と冷静に分析する。印刷市場は様々に変化し、市場全体は縮小している。その中で、いかにシェアを伸ばしていくのかが課題である。「お客様に対して、単に印刷物を提供するだけでなく、付加価値のあるサービスを提供することを目指していきたい」と展望している。

  • 企業情報
  • 文化堂印刷株式会社
  • 本社工場:神奈川県小田原市寿町1-10-20
  • TEL:0465-34-9206
  • https://bunkado.jp

関連記事

最新記事