シンクイノベーション 三輪直之社長に聞く、グッズ製造業の自動機・自動化 ロボット機を開発・販売し総合グッズメーカーへ
シンクイノベーション株式会社(三輪直之社長)は、UVインクジェットプリンター、昇華プリンター、DTF・DTG機、刺繍機、プロッターなど65台以上を保有する。アクリルキーホルダー、スマホケース、小物雑貨から、ステッカー・バナー、大判プリント、布製品(Tシャツ、トートバッグ、クッション)を製作。また通販事業・ECコンサル、ライセンス取得・管理、販売マネジメントまで行う。Eコマースの統合的支援を行い、イベント運営制作も行い、印刷とEC、イベント運営まで一貫して展開し、グッズ制作やEC展開のパートナー的な役割を高めている。三輪直之社長に今後の展開を聞いた。
スマホのオンデマンドプリントからスタート
―シンクイノベーションを創業された時のきっかけについてお聞きします。
シンクイノベーションを創業したのは2014年4月です。今年で11年になります。個人事業で始めました。中国から仕入れたスマートフォンケースをAmazonや楽天市場で売りました。
UVプリンターを1台買ってから10台、20台へと増え、スマホ1本で伸ばしました。2018年にアクリルのレーザー加工機を導入してアクリルもスタートさせました。家電量販店に売られているスマホケースを受注し、アクリルのキーホルダーや缶バッチの受注量が多くなりました。UVプリンターも40台ぐらいに増えました。その後、Tシャツのプリンター、タオルのプリンター、オンデマンドのPOD機入れて、何でも作れるようにしました。
現在はスマホが約20%、Tシャツが30%、アクリル系が30%、缶バッジが20%という割合です。最近は今治タオルが商品に加わりました。昇華プリンターで1枚からでもタオルが作れます。バスタオルやフェイスタオル、等身大タオル、かわいいブランケットもやっています。
Tシャツは本社工場と上小田井の工場では生産に限界があり、外注しています。外注先の育成には力を入れています。弊社からプリンターを買ってもらって、製造を教えます。仕事も出して外注会社を育成しています。こうした効果により2018年ぐらいに一気に売り上げも10億円から11億円、2023年に17億円、2024年には31億円まで伸びました。
―グッズ製品以外に売り上げが伸びた要因についてお聞きします。
当社は人員も機械設備も増やしていません。グッズ製品の増えた分は全部協力会社に依頼して作ってもらっています。印刷機を入れて規模を拡大するよりも営業力を強くしてイベント会社としての力をつけています。
アニメはライセンスを当社が取得して管理します。ライセンスのキャラクターを使ってクライアント様からこういうものを作ってほしいという注文に応えるという仕組みです。会社全体の売り上げに占めるライセンスの比率は10億円ほどです。Amazonや楽天市場のECは約3億円くらいですが、アニメのライセンスはその倍の6億円ぐらいです。イベントをやっている会社に機械を販売して仕事の取り方を教育したり、一緒に相談しながらやっています。
イベント会社はいろんな業種の方がいます。商業印刷社さんもいれば、製本会社もいます。シンクイノベーションの社員は約80人です。70%が社員で20%がパートの方です。そのうち製造の社員は半分です。50人ぐらいが工場で働いて、残りの50人は大阪、東京、残りが本社の名古屋です。大阪の場合はYouTuberとかアニメとかのライセンスを取ってライセンスを取得することを主力にしています。
ライセンス、エンタメで多様化するグッズ市場
―グッズの製造会社というスタートから、現在は大きく変化していますね。
今は総合グッズメーカーです。Jリーグやプロ野球の球団からグッズを請け負う、そしてイベントを行う部隊があります。長期間にわたって、スマホケースバブルがあって、ケースに印刷されたものが爆発的に出るという時代がありました。当時は大量に注文が入ります。
―グッズビジネスでは何がポイントになりますか
アクリルだけやっている、Tシャツだけやっている会社、ハードだけやっている会社は夫々に強みがあります。しかし、ライセンスを持っている会社が強いと思います。イベント等でグッズの注文を受ける時に、営業が行き、アクリルのキーホルダーが作れます。
アクリルのキーホルダーだけでなく、売られている商品も全部作れます。サンプルから一括で全部納品できます。発注する会社は10社違う会社にお願いすると10人の人とやり取りしないといけない。サンプルも10カ所から出てきます。注先も10社にしないといけな
い。それを全部やりますから注文は丸ごと全部もらえます。デザイナーもいるので商品のデザインもしてあげて納めるという感じです。
―缶バッジの自動機を開発されました。缶バッジ自動機を開発し販売する狙いは何ですか。
自社で自動機の必要性が3年前からありました。当時から自動機でやらないと生産が安定しません。4年5年前から取り組みを始めました。仕事が溜まりに溜まって、朝までやらないといけない状態もありました。人件費は時給1,500円に、労働人口が2030年までに300万人減ると言われています。これからも時給は上がります。
価格を据え置きで勝負ができるようになるためには、3年、5年後にその仕事を自動機で安定した生産ができるようにしてくことが必要だということからグッズ製造に関わる自動機の開発を進めました。私たちは自動機を販売して自動機メーカーみたいな立ち位置になります。今年4月に完成した缶バッチ自動機は高速、中間、エンドリーを全て自動機で販売する計画です。現在、開発が終わっている自動機は3機種あります。OPPの袋入れの自動機、ラベルシールを貼る自動機、Tシャツのたたみ機です。またクリアファイルの自動機や、うちわの貼り付け、うちわの骨組み、シール貼り機を開発して総合サプライヤーを目指します。
グッズの総合サプライヤーへ
グッズを始めたい会社には、仕事の取り方やホームページの作り方も教えるというトータル的なことができると思います。社会は多様化してきました。働き方も多様化して考え方も多様化して、しかも少子高齢化という社会の中で、少量のマーケットが出てきました。コテンツ市場が注目を集めています。2033年までに20兆円に引き上げると経産省が言っているそうです。その中にグッズが入っています。伸びる可能性が大いにあります。しっかりと乗っかっていくことが重要かと思います。
- 企業情報
- シンクイノベーション株式会社
(本社)愛知県名古屋市中区栄1-29-27 東海商事ビル4・5F
https://sync-innovation.co.jp/

