大日本印刷 大阪・関西万博で伏見稲荷大社をメタバース化 文化観光の振興と地域活性化に3Dガウシアンスプラッティング(3DGS)で挑む、伝統文化の保存とグローバル発信に向けた先端手法の実証
大日本印刷株式会社(DNP)は、京都・伏見稲荷大社の楼門や本殿、千本鳥居などを、最先端の3次元再現技術「3Dガウシアンスプラッティング(3DGS)」でメタバース化したと発表した。この仮想空間は、5月2日から3日に開催された大阪・関西万博内のイベント「Come Together!」で公開された。
DNPは同プロジェクトを通じて、文化遺産の保存と活用、地域の活性化、観光促進を目指す。

地域文化の継承と活性化を目指したメタバース構築
DNPは、人口減少や少子高齢化により伝統文化の継承が困難になる中、デジタルアーカイブと観光による「文化観光」の振興に注力している
今回の伏見稲荷大社のデジタル化プロジェクトもその一環であり、文化遺産の価値を国内外に発信する新たな試みとして位置づけられている。
1300年の歴史を持ち、多くの人々に親しまれる伏見稲荷大社を3DGS技術による高精細な仮想空間として構築。これにより、参拝体験をメタバースで再現し、幅広い層に文化財の魅力を伝えるとともに、観光資源としての可能性を広げている。
3DGSの活用で高精度・低コストなデジタル化を実現
今回採用された「3Dガウシアンスプラッティング」は、複数の映像や画像からリアルタイムにフォトリアルな3D空間を描画できる先端技術。従来のフォトグラメトリやレーザー測量と比べて低コスト・短期間でのデジタルアーカイブ化が可能なため、今後は他の文化遺産にも応用が期待される。
メタバース空間では、狐の案内役が登場し、各所を日本語・英語で解説。さらにユーザーは、自らの願いや感謝を込めた「鳥居」の建立体験も可能で、没入感と参加型の要素を兼ね備えている。
今後の展望と文化観光への貢献
DNPは、今回の取り組みを起点に、3DGSを活用した文化遺産の保存・利活用事業を加速させる方針。単なる保存にとどまらず、学術的な研究や地域観光の資源として活用できるよう、体験の価値を高める取り組みを推進する。
今後も多様な文化に触れる機会を創出し、誰もが文化遺産にアクセスできる社会の実現を目指すという。デジタルとリアルをつなぐ新たな文化観光モデルとして、他地域への展開にも注目が集まる。