全印工連 印刷のチカラ、再起動~盛大に創立70周年記念行事を挙行、800人以上が参加し未来に想いを馳せる

全日本印刷工業組合連合会(全印工連)は10月10日、東京都千代田区の東京會舘で創立70周年記念行事を執り行ない、70年の歩みを振り返るとともに、未来に向けて想いを馳せた。記念行事には全国から来賓を含めて831人が参加。“Reboot the Print ! 印刷のチカラ、再起動!”をコンセプトに記念式典・表彰式、記念講演会、記念パーティーで70年の節目を祝った。

記念式典・表彰式会場

全印工連は1955年に全国の調整組合が集結して全国団体として発足。幾多の変革期を乗り越え、時代のトレンドを掴みながら印刷産業発展の基盤を整備し続けてきた。

挨拶する全印工連・瀬田会長

全印工連の瀬田章弘会長は記念式典・表彰式の式辞で、年史『全印工連の50年』を紐解き、全印工連の発足の経緯と設立に奔走した先人たちへの感謝を述べ、「戦後の復興後、産業基盤の整備が進む中、昭和20年代の後半、受注競争が激化し、印刷業は不況下にあった。そのような中、各地で調整組合が発足した。第1号が新潟県、そして、広島、兵庫、徳島と西日本を中心に、19の調整組合が設立され、昭和30年に日本印刷工業調整組合連合会が設立された。昭和33年には、46都道府県調整組合が設立され、日本印刷工業組合連合会を立ち上げ、昭和41年に全日本印刷工業組合連合会と改称し、今日に至っている。昭和47年には、沖縄復帰がなされ、沖縄県印刷工業組合が加入し、現在の47都道府県による全日本印刷工業組合連合会の形となった」と発足の経緯を語った。

また、「その後、活版からオフセット、DTP、インターネットの出現などの技術革新、労働問題や環境問題への対応インフレやデフレの対策など、毎年困難な課題があった。我々の先人たちは、叡智を結集し、熱い思いを持ってこれを乗り越え、今日までそのバトンを私達に繋いでいただいている。今私達には、デジタル化、AI、パーソナリティへの要求など、今までと違った挑戦的な課題がある。しかしながら、先達の志と情熱を胸に秘め、皆さんともに乗り越えてまいりたい。印刷には、結ぶ力、伝える力がある。この力を磨き極め、地域社会、そして日本の発展に貢献し、人々の暮らしを彩り、幸せを作る印刷産業をこれから皆さんとともに作っていきたいと考えている」と、未来を見据えた。

祝辞を述べる武藤経産大臣
祝辞を述べる中曽根議員連盟会長

来賓祝辞では経済産業省の武藤容治大臣、自由民主党中小印刷産業振興議員連盟(議員連盟)の中曽根弘文会長(衆議院議員)が登壇し、印刷産業への期待を語った。

  表彰式では経済大臣表彰の島村博之氏、臼田真人氏、滝澤光正氏、橋本唱一氏、福田浩志氏をはじめ、中小企業長官表彰15氏、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官表彰11氏、全国中小企業団体中央会会長表彰5氏、全印工連会長特別表彰84氏、全日本印刷工業組合連合会会長特別表彰3氏を表彰した。

右から福田氏、滝澤氏、島村氏、武藤経産大臣、臼田氏、橋本氏
謝辞を述べる島村氏

  表彰者を代表して謝辞に立った島村博之全印工連元会長は「印刷業界はこれからもますます厳しい環境にさらされる時代になると推察する。全印工連の役員、都道府県工組の理事長並びに組合員、事務局員の皆様、茨の道になるかもしれないが、組合の存続と活性に向けてさらなるご活躍を祈っている」と印刷産業発展を祈念した。

記念講演会ではメディアアーティストで筑波大学准教授の落合陽一氏が『印刷産業の近未来』を演題に、“文明が進化しても、人類はほとんど進化していない”という視点をもとに、コミュニケーションの本質に切り込んだ。落合氏は大阪で開催された大阪・関西万博のプロデューサーの一人としてシグネチャーパビリオン『null²(ヌルヌル)』を手掛けている。講演会では、AIが生まれながらにあるデジタルネイチャーの世界観の解説を皮切りに、鏡面幕を使ったパビリオン『null²』のコンセプトや製作過程、祭りとしての万博の意義、AIが抱えるセキュリティの課題などについて語った。

記念パーティーはフリーキャスターのジョン・カビラさんが登場し、記念パーティーの司会を務めた。瀬田全印工連会長の挨拶、来賓紹介・来賓祝辞に続き、滝澤光正全印工連前会長の乾杯の発声で歓談に移り、途中、東京都の小池百合子都知事が駆け付け、祝辞で印刷産業への期待を語った。また、来年10月16日・17日の両日、沖縄県で開催される2026全日本印刷文化典沖縄大会のPR、エレクトーン奏者のほりピさんの演奏などで盛り上がる中、創立70周年記念行事実行委員会のメンバーが登壇。委員長を務めた福田浩志全印工連副会長が大締めの挨拶で記事行事を終了した。

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