【鼎談会】実践本気のDX~着地点は”喜びづくり”

目的は課題解決、DXは手段

 新型コロナウイルス感染症の拡大は人々の行動を変容させ、消費動向に多大な影響を与えた。多くの印刷需要家がそうしたニューノーマルの状況に合わせ、業務、営業、生産などの事業活動を変革させている。激変した環境に適応するために印刷業はどう正対すべきなのか。その一つのキーワードがDX(デジタル・トランスフォーメーション)といわれている。本紙ではDXの旗手といえる株式会社クイックス(愛知県刈谷市)代表取締役社長の岡本 泰氏、佐川印刷株式会社(愛媛県松山市)代表取締役社長の佐川正純氏、株式会社正文舎(北海道札幌市)代表取締役の岸昌洋氏に、意見を交わして頂いた。(本文内 敬称略/旬刊プリテックステージニュース 1月5日号 2022新年特集号掲載)

左から正文舎・岸氏、佐川印刷・佐川氏、クイックス・岡本氏

―― DXを語って頂く前に、今の印刷産業が置かれた環境についてご意見をお聞かせ下さい。

岡本 印刷産業は出荷額が5兆円を切り、コロナ禍でさらに市場縮小が進んでいます。これは皆さんも同じ認識かと思います。

 当社が所在する愛知県はものづくりの地域です。DXと言われる前から、製品マニュアルはデジタル化され、実機に”ヘルプ“という機能として実装されるようになりました。学校でも履修登録が、紙の印刷物ではなくPCやスマートフォンに置き換わっています。コロナ禍でリアルコミュニケーションが少なくなった結果、紙からデジタルへの移行は加速しています。

 当社では自社のWebサイトを経由して、全く取引のなかった企業からの問い合わせが増えました。サイトで紹介しているサービスやソフトに関心を寄せ、当社が印刷会社という認識がないまま相談に来られるのです。これは今までになかった動きです。企業の社員の方たちがリモートワーク中、実績を上げるために新しいサービス、ソフトを探しているのだと推測しています。印刷の出荷額が下がる一方で、情報サービス産業が右肩上がりで成長している裏付けともいえます。

 お客様はよく勉強しており、新しいビジネスについて考えています。リモートワークでそうした時間がより増えたのだと思います。リアル展示会で名刺を400枚集めることは難しいのですが、先日出展したリモート展示会では簡単に集まりました。お客様がWebを使って様々な情報を集めているというのはコロナ禍の特徴的な現象でしょう。

株式会社クイックス 代表取締役 岡本 泰 氏

―― 佐川社長はいかがですか。

佐川 紙による情報伝達が非常に厳しくなっていますが、紙のパッケージが脱プラスチックの動きの中で見直されているように、全ての印刷が落ち込んでいるわけではありません。二次元で表現するものを広義に〝印刷〟と捉えたとすると、Webサイトや電子ブックという”印刷”の需要は減っていません。これを私たちのビジネス領域になるかということが一つの見方です。「情報伝達は紙による印刷物」というマインドを変えないと、このパラダイムから抜け出すことは難しいと言えます。

 もう一つの見方が、街中に溢れている印刷物です。様々なサインやディスプレイ、バナー、ソーシャルディスタンスシールも印刷のカテゴリです。そう考えると印刷は減っていません。どう定義するかが重要です。先日、経済産業省コンテンツ産業課の高木課長は印刷産業について「コミュニケーション産業と捉えて欲しい」という趣旨を述べておられました。まさにその通りだと思います。

 それから、私たちの経営課題としては豪雨や疫病などの災害を乗り越えていける企業づくりが挙げられます。レジリエンスと言われるように、強靭でしなやかな復旧力を身に着けることが、どの産業にも必要です。工場の分散化など、被災してもサプライチェーンを迅速に復旧できるようなリスクヘッジが印刷会社にも求められています。

 今後、日本は人口減少社会という問題に直面します。また、世代も変わっていきます。テレビではなく、YouTubeを見るスマホネイティブのZ世代が消費の中心になっていけば、オールドメディア産業は影響を受けるでしょう。私たちの産業が置かれている社会のメガトレンドを広い視野で大局的に見て、舵取りしていかなければなりません。

コロナ禍が改革の機会に

―― 佐川印刷さんは地域に根差したビジネスを一つのコアにしています。地域の変化はありますか。

佐川 地域の課題は次から次に出てきます。そこが私たちのビジネスチャンスでもあり、社会の役に立つことが当社の立脚点となります。例えば、当社の吉田工場がある愛媛県宇和島市は国内で消費される鯛の半分を出荷しています。現在、コロナ禍で外食産業がダメージを受けており、素材として提供する鯛が行き場を失っています。そうした地域社会の課題に対して、どうサポートできるかが私たちの存在意義になります。

―― 岸社長は印刷産業の環境をどう見ていますか。

 全日本印刷工業組合連合会(全印工連)が2010年にまとめた業界指針『ソリューションプロバイダーへの進化』では、2020年を待たずに印刷出荷額が5兆円を切ると予測しました。その通りの推移となり、コロナ禍でさらに下振れしています。ようは増えるか、減るかではなく、印刷に価値がなければ見向きもされなくなるということです。その中で安売り合戦をしているのが印刷産業の現状です。

 印刷出荷額の減少は人口減少と同じです。すぐにV字回復することは考えられません。そうした印刷市場を認識した上で、私たち経営者はどうすべきかを考える必要があります。

 私は社長に就任した時に、印刷会社を継ぐつもりはないと宣言しました。その後、様々なITサービスを取り入れてきましたが、私にも、社員にもDXに取り組んでいるという認識はありません。世の中の潮流としてDXという言葉があるという認識です。

 印刷業界は時代の変遷とともに、機器が進化しています。DTP、CTPが普及し、今ではJDFで機器同士がつながりましたが、ただ設備を買っただけではDXといえません。

 観光需要に支えられてきた北海道ではコロナ禍で飲食業や宿泊業の印刷需要がほぼなくなりました。大学や学習塾も通えないので、やはり印刷需要は減りました。しかし、お客様も私たちも経済活動を止めるわけにはいきません。集客にチラシではなくSNSを活用したり、リモート授業向けに参考書の個別配送の相談が来たりと、そうした状況を変える手段がDXといえます。

 当社でいえば、コロナ禍で印刷事業は厳しいのですが、やろうとしてもなかなか手に付かなかった働き方改革や時差出勤、リモートワークが加速し、ポジティブな変化をもたらしたと捉えています。

―― 今の状況が変革の機会にもなったということですね。この間、事業ポートフォリオを変えた、業務改革が早まったなどの社内的な変化についてお話下さい。佐川印刷さんはコロナ禍が始まって早々にマスク作りに着手しました。もともとマスクは自社の商材ではなかったと思います。

佐川 マスクは当社のポートフォリオにありませんでした。社員も大きな驚きの中でマスクの事業を立ち上げ、私もトップマネジメントで現場を指揮しました。意外なものを急に作ったので、社員も私も大変疲れたのですが、テキスタイルの印刷技術を確立していたので、そのベースは準備されていました。難しかったのは、加工や衛生環境の構築、パッケージングの方法などの製品に仕上げるまでの急速なノウハウ獲得と、流通網の確立です。これまで取引のなかったスーパーマーケットのバイヤーとも商談を進めていきました。

 当時、マスクの不足は社会的な課題で、2020年の1月、2月ぐらいまであったマスクが店頭から急速になくなっていき、医療機関も困る状況でした。まず、社員向けのマスク作りをはじめ、その後、社会に提供していきました。

 コロナ禍で休業を選択する企業も少なからずあったと思います。当社でも休むべきか、働くべきかという議論がありましたが、自分たちが進めている戦略を止めてしまうと、事業計画はそれだけ遅れてしまいます。当社では、「コロナ禍で苦しくても蟻のように働こう、新しい商品・サービスを作っていこう」と社員と話をし、休まないことを選びました。休んでしまうと、失われた1年、2年が生じてしまいます。

佐川印刷 株式会社 代表取締役社長 佐川正純 氏

岡本 当社もコロナ禍の前に作成した中期経営計画に沿って、何も変えずに戦略を進めています。トライしている印刷会社の経営者は皆同じではないでしょうか。

 コロナ禍ではコンテンツのデジタル資産管理の提案がお客様に受け入れられやすくなったと感じています。そこからお客様の業務に合わせてシステム化することで、継続的に受注できる仕組みができやすくなります。机の上に並べた見積りの金額で比較されるのではなく、お客様がコスト削減やWeb展開、販売促進などの課題を解決したい時に選んで頂けるようになることが当社の方針です。

 これまでは展示会に出展してお客様と接点を持ち、突破口を見つけて2、3年かけて新規を開拓してきましたが、今はネットから相談が寄せられ、3ヵ月後にまとまった金額の仕事になることが増えてきました。

―― 正文舎さんはコロナ禍を機に、設備戦略を見直し、昨年はデジタル技術を活用したモノクロPODの無人稼動を実現しました。

 設備の選択と集中に取り組みたかったのです。オフセット印刷の不安定さや、そこに従事するスタッフの将来、設備の更新という問題をずっと考えていました。選択とは選ぶことだけではなく、捨てることでもあります。一昨年と昨年で4台のオフセット印刷機を出しました。

 オフセット印刷機のスタッフは自分の仕事がなくなると思ったかもしれませんが、社員を選別するつもりは全くありません。幸いコロナ禍で印刷の仕事が少なく、自己変革の時間がありました。自分もやるから皆で勉強しようと新しいノウハウや技術の獲得に向け、ウェビナーで動画を勉強するなど業務時間を教育に当てました。社員の成長に投資は惜しみませんでしたね。

 コロナ禍で選択と集中の踏ん切りがついて、モノクロPODが無人で稼動する生産体制を組むことができました。そうした設備更新が外からはDXに見えるかもしれませんが、当社にとっては生産効率を上げ、新しい仕事を投下していくという改革の一環なのです。

株式会社正文舎 代表取締役 岸 昌洋氏

戦略なしのDXはありえない

―― DXは捉えどころがない曖昧な概念です。岸社長はDXに取り組んでいる意識はないということでした。

岸 私は業界団体で印刷業界のDXを推進する役割を仰せつかっています。その立場で言うと、中小の印刷会社にとってDXは肯定・否定するものでもなく、事業展開の上で必須と考えています。DXは世の中の潮流だからです。しかし、DXは目的ではありません。あくまで手段であり、戦略ではなく、戦術です。

 目的は個々の企業によって違います。例えば、「生産効率を上げる」、「創注して売上を伸ばす」、「SDGsを推進して地域に貢献する」という目的を実現するための手段として、デジタル技術を活用することがDXです。DXがしたいからではありません。

―― 佐川社長はDXをどう捉えていますか。

佐川 世の中のバズワードは掛け声やスローガンとして登場してきます。当社はどちらかというと新しいことに取り組んでいると思うのですが、”働き方改革”という言葉が使われる前から社員が働きやすい環境づくりに取り組んできました。世の中で働き方改革と言われるようになると、社員に改革の趣旨を説明しやすくなり、これは良かったと感じました。DXも同じです。

 デジタル化の進展度は、それぞれの企業の課題によって違います。全くデジタル化に関心がない企業もけっこうあります。肝心なのはバズワードの本質を自分で考えることだと思います。デジタル化を取り入れるのか、どう進めるのか、これという方程式はありません。DXは自社の課題に向き合う手段の一つです。

 私は40年前にAIを研究しました。当時、AIの代表だった音声合成技術、音声理解技術は現在、AIと言われなくなりました。DXもトランスフォームしてしまえば、DXと言われなくなるはずです。そもそもDXのようなことは、2000年ぐらいから印刷業界でも言われていました。社会はもっと進んでおり、DXと聞くと今更ながらという気持ちもあります。

 私は社会やお客様から求められていることを理解し、それを実現するためにデジタル技術の活用を考えていけば良いと捉えています。社員のため、新しいサービスを提供するため、会社を変えるため、商いで儲けるためにデジタル技術を使うということです。

―― DXはあくまで手段ということですね。

岡本 岸さんや佐川さんが言うようにDXは戦術の話です。DXに取り組むためにどうすれば良いかということではありません。

 印刷市場が縮小していく中で、私たちは売上を拡大しなければなりません。そのためには様々な商品、サービスを取り入れ、マーケットを広く見ていく必要があります。かつて、デジタルマーケティング施策で創注するには高いハードルがありました。プログラムやシステムを開発してCS(顧客満足)サイクルの中でブラッシュアップし、さらにバージョンアップさせていくので、大きな投資が必要だったからです。今ではそうしたソフトや仕組みがフリーツールとしても提供されています。勉強さえすれば、新しいことがどんどんできる時代です。デジタルに取り組むハードルが高いと思っていると前に進みません。

 売上を拡大するためにマーケットから選ばれる印刷会社として何が必要なのかという戦略の中に、DXが戦術として位置づけられます。今は非常に安価なツールを組み合わせてそうした戦術を組み立てることができるようになっています。

―― DXの具体的な取り組みを紹介頂けますか。

岡本 一番力を入れているのはコンテンツマネジメントシステムです。当社の『i‐Share DX』はマニュアルや社内文書のコンテンツをデータベース化し、資産として運用するもので、翻訳機能なども付加されています。廉価版も作って拡販しているところです。OEMでも提供しており、その先で国内有数の企業が活用しています。現在、事業再構築補助金を活用して商品情報管理システムも開発しています。

 これから注目されるのはマーケティングオートメーション(MA)です。効果的な販売促進方法や市場分析から印刷物までを提供するもので、お客様への販促提案やコンサルティングに活用できます。

 社内的には営業活動における顧客情報の一元管理に取り組む予定です。お客様の情報は営業担当者の頭の中にあって外からは見られません。DXツールをうまく使ってその情報を共有化し、商品開発のプロセスなどにつなげるのです。お客様一社一社の情報の質と量を高めていきたいと考えています。

佐川 どの印刷会社も”印刷”というビジネスの幹があるので、全ての事業をトランスフォーメーションするわけではないと思います。その中で何割を変えるのかが企業の戦略にもなります。私は当面、2割をトランスフォーメーションしなければならないと感じています。クイックスさんはデジタルの割合がどのぐらいになっていますか。

岡本 ざっくり30%を超えています。

―― 正文舎さんのデジタルの比率はどのぐらいですか。

 印刷という幹は、私の祖父が儲かるだろうと植えたものです。それを倒すつもりは全くなく、違う幹が欲しかったのです。色々な木を植えていきましたが、それぞれに売上特性、利益特性があり、単純に比較ができないので、私は売上比率でデジタルの割合を見ていません。

 最初にWeb事業やスマホのゲームアプリを立ち上げた時、その時の売上や利益は印刷事業と比べると低いものでした。初動の際、印刷とは全く違う事業なのですが、同じ会社なので、幹になるまで会社全体で考えていくことが大切なことだと伝え続けてきました。

佐川 私は仮面ライダー世代です。仮面ライダーは一瞬にして変身しますが、一瞬でDXするわけではありません。ここにいらっしゃる皆さんも、何年も前に種を植え、水や肥料をやる時代を過ごし、果実がならないうちから木を育ててきたわけです。DXという言葉が出てきた現在、それが少し大きな木に育ち、実ってきたところだと思います。

 デジタル関係の仕事がまだ1%の頃、「売上比率は何%ですか」と聞かれるのは正直、経営者として嫌でした。それが1割、2割になり、印刷と別な幹が育ち始めている感触はこの3社は持っていると思います。印刷業界は藁にすがる思いでDXって何?という状況かもしれませんが、私たちはDXと言われているビジネスをずっと育ててきました。けっしてDXを目指してきたわけではないのです。

価値創造の歩みを止めない

―― 佐川社長は一つの工場で様々な製品が作れるマスカスタマイゼーションを指向していると仰っていました。そのためにデジタル技術は必須ですね。

佐川 印刷が持つストロングポイントは、一つの版から大量に複製物を生み出す点にあります。グーテンベルクの時代から私たちの産業はそこを追求してきました。しかし、大量にコンテンツを複製して配布するのはデジタルが得意とするところです。そうした中で印刷ビジネスを顧みた時に、“物”として一つひとつが異なる印刷物を作ることができたら価値が高められるのでは、と考えたのです。

 先日、自動車の販売店でカタログをもらったら、「来年からカタログはなくなりますよ」と言われました。私は自分が購入した自動車のカタログを思い出の一冊として保存しているので非常に残念に思いました。印刷にはそうした”私だけの”一冊という価値があります。ただ、その一冊が高価であっては広がりません。大量生産と同じぐらいのコストで生産し、手ごろな価格で提供することができれば、手に取る人に喜んでもらえます。デジタル印刷やデジタルファブリケーション技術を使えば、多くの人に喜んでもらえる印刷製品を提供できます。

 これが私たち印刷産業の未来の姿だとイメージしています。

―― 昨年、構築されたモノクロPODの無人工場は今、第1フェイズとのことでした。この先はどう進められますか。

 会社として取り組んでいきたいのはMAです。何年か前から自社では使っていましたが、今年の施策ではお客様に私たちのMAのアカウントを提供し、利用してもらおうと考えています。お客様のその先のお客様がどの媒体に反応するかをキャッチアップして、その人にリーチできる最適な手法を提案します。

―― ここまでお話を伺って、皆さんはDXに対して共通認識をお持ちだと感じました。

岡本 ”誰かを幸せにするために”という意識はこの3人が共通しているところです。お客様の笑顔が社員の喜びであるという考え方が土台にあって、経営者の仕事はお客様と社員に喜んでもらう環境づくりといえます。

佐川 この3社はそれぞれ特徴と強みがありますが、同じ方向を見ていると感じます。全てではなくとも、共にやっていける部分があると考えています。社員、会社、業界への基本的な価値観は一緒です。

 3人が共通しているのは単純で、社員に楽しく仕事がして欲しいと経営者の覚悟として芯から思っていることです。その環境づくりのための手段がDXです。

―― 鼎談会の最後に2022年をどう展望しますか。

岡本 楽しみしかありません。印刷業界にとって転換期になると考えており、ジャグラ(日本グラフィックサービス工業会)ではDX事業がスタートするインパクトのある年でもあります。全印工連の先進的な経営者の皆さんと話をしながら、印刷業界のDXを進めていければと考えています。縮小している市場の中で、印刷会社が体制を含めてしなやかに変えていくべき年になると思います。全印工連もジャグラもそう見ています。

 ジャグラ副会長の立場としては、1社でも多くがDXの潮流に乗ってジャンプアップできる機会と情報を発信していきます。メーカー・ベンダーの皆さんにも魅力ある業界と感じてもらい、パートナーとして協力して頂ければと思います。印刷産業の再構築が始まるのが今年だと考えています。

佐川 2022年だからと言って急に変わることはありません。今、やるべきことを着実に進めていくことになりますが、将来に向けて着手している様々な事業がどれだけ伸びるかが見えてくる年になるでしょう。

 中でもインクジェット技術による印刷事業には力を入れています。すでに投資もしており、社員とは「ここが終着点ではなく、もっと前を見据えて新しい事業にしていこう」という想いを共有しています。もう一つはクロスメディアです。映画のハリーポッターに写真が動く新聞が出てきますよね。今、動画の需要が増えており、私たちのビジネスとしても可能性があると見ています。

 2022年は“印刷”を再定義するとともに、将来のために種を蒔いたビジネスの成長を図っていく年になりそうです。

 今まで取り組んできた選択と集中をさらに進めます。伸ばすところは伸ばし、捨てるところは捨てていきます。また、様々なマテリアルが値上がりしているので、単品損益の管理をますます強化していく必要も感じています。

 3社が連携することにも楽しみを感じています。それ以降も更に3人で新しいことに取り組んでいければと思います。

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