電通 「第16回カーボンニュートラルに関する生活者調査」発表  15~19歳の行動率が過去最高36.2%、30・40代の意識は急落で世代間ギャップが鮮明に

株式会社電通は、全国の15~79歳の生活者1,400人を対象に「第16回カーボンニュートラルに関する生活者調査」を2024年12月19日から20日にかけて実施した。
15~19歳の3人に1人以上が日常的に環境対策へ取り組んでいる一方で、30~40代では必要性の認識が大きく低下するなど、世代間の意識と行動のギャップが浮き彫りとなった。

同調査は、カーボンニュートラルに関する認知、行動、意識の実態と変化を把握することを目的に、2021年より継続して行われている。

若年層の行動率が上昇、15~19歳は過去最高の36.2%

「カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に向けて、普段の生活で何らかの行動をしている」と回答した人の割合は、全体で22.7%となった。前回調査と比較すると、2.1ポイントの上昇。
中でも15~19歳は36.2%と最も高く、前回の27.6%から8.6ポイント増加し、過去最高を更新した。これに対し、50代では17.0%にとどまり、15~19歳との間には19.2ポイントの差が生じている。20代は24.1%で、15~19歳との差は12.1ポイントとなり、若年層内でも意識のギャップが確認された。

カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に向けて、普段の生活の中で個人として何か取り組んでいるか

必要性の認識は68.9%に低下、30・40代での下落が目立つ

「カーボンニュートラルの取り組みが必要だと感じている」と回答した人は全体で68.9%にとどまった。前回の76.0%からは7.1ポイント減少し、過去最低の水準となった。
特に30代では、前回の70.0%から55.0%へと15.0ポイント減少。40代も前回の70.4%から57.6%に落ち込み、12.8ポイントの減少となっている。30代・40代の間で必要性への意識が急速に薄れている実態が明らかとなった。
また、「取り組みの必要性が分からない」と回答した人の割合は18.2%に達し、これまでで最も高い数値となった。前回の13.7%からは4.5ポイント増加している。

中でも20代と30代では、それぞれ27.9%が「必要性が分からない」と答えており、他の世代に比べて際立って高い水準にある。

カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、取り組んでいくことは必要か

COP29認知率は45.4%、10代と70代で高い水準を記録

2024年11月に開催されたCOP29について「知っている」「見聞きしたことがある」と答えた人は全体で45.4%だった。
年代別では、70代が70.4%と最も高く、次いで60代が52.2%、15~19歳が51.3%と続いた。第2回調査時のCOP26認知率と比較すると、全世代で認知度が上昇している。

今年11月にCOP29が開催され、地球温暖化対策について話し合われたことを知っているか

気温3.1℃上昇の見通し、認知率は38.3% 納得度は15~19歳と70代が突出

「今世紀末までに世界の平均気温が最大で3.1℃上昇する」という見通しを知っていた人は、全体で38.3%にとどまった。

年代別では、15~19歳が49.3%、70代が50.4%と、それぞれ5割前後の高い認知率を示したが、20代から60代にかけてはいずれも3割台であった。

この傾向は納得度でも同様で、15~19歳は40.4%、70代は40.3%が「納得できる」と回答している。20~60代は、すべての年代で30%台にとどまり、情報の受け止め方にも世代差があることがうかがえる。

このままでは世界の平均気温は今世紀末までに最大で3.1度上昇するという見通しが発表されていたことを知っているか

世代間のギャップ対応が課題、参加しやすい仕組みづくりが鍵に

電通は、15~19歳の高い行動率や認知度、納得度の背景に、小学校教育へのSDGs導入の影響があると分析した。とりわけ10代は、気候変動を「自分ごと」として捉える感度が他世代よりも高い傾向が見られた。一方、20代以降は「取り組まなければならない」ことよりも、「生活の現実」が優先される傾向が強く、意識と行動の間に大きな隔たりが生まれている。こうした世代間ギャップを埋めるためには、単なる啓発ではなく、無理なく取り組める仕組み、経済的・心理的インセンティブ、楽しみながら参加できる仕掛けが求められるとしている。

調査概要

  • 実施主体:株式会社電通 dentsu carbon neutral solutions
  • 調査対象:全国の15〜79歳、1,400名
  • 調査期間:2024年12月19日〜12月20日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 実施機関:株式会社電通マクロミルインサイト
  • ▶参照URL

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