図書印刷 芳野YMマシナリーおよびMPSと3社で書籍製造の自己学習型AI搭載外観検査システムの共同開発を開始

図書印刷株式会社は、芳野YMマシナリー株式会社および Morning Project Samurai 株式会社(MPS)の3社で、書籍の三方断裁化粧断ち後の断裁面の外観検査を行う自己学習型 AI を搭載した外観検査システムの共同開発を開始した。

図書印刷は、「製造DX」推進の一環として書籍における外観検査業務の自動化による少人・省力化、スキルレス化を目指している。この度、製本機械メーカーとして永年、検査機の開発・販売・保守 に携わってきた芳野YMマシナリーの豊富なノウハウをベースに、検査判定部に MPS が 新規開発した自己学習型 AI を採用した外観検査システムの実証実験を開始する。

一般的に書籍製造における外観検査は、三方断裁機で化粧断ち後、検査員による目視 などの官能検査で行われるが、検査員の熟練度による不良品の見逃し、属人化による検品精度のばらつきといった課題が存在する。一方、書籍は外観が一点一様であることや、数百~数千部程度の小ロット多品種が多数を占めるなど、AI の学習に重要な不良を含む大量の画像データ収集が困難で、これまで検査工程における AI の採用には高い障壁があった。
今回の共同開発では、AI 導入時・導入後の人手によるアノテーションを省くことが出来るMPS の自己学習型 AI を外観検査システムに採用。これにより検査員主体の判断によらず、少ロット・多品種、かつ初回製造物において、常に安定した検査品質が期待できる。
スケジュールとしては、2023年1月から図書印刷沼津工場の書籍製造工程 にて「フェーズ 1:AI による検査員の認知機能強化および意思決定支援」を目標とした 実証実験を 実施し、「フェーズ2: AI による検査業務の完全自動化 」に向けて有効性の 検証を行う。


【フェーズ1: AI による検査員の認知機能強化および意思決定支援】
三方断裁機から排出される書籍の断裁面を多面的に検出用カメラで撮影し、リアルタイムに不良個所を AI で検査。アラートによって検査員に不良品を取り除くことを促すとともに、不良箇所を可視化。これにより不良品排出前のダブルチェックを容易 にする。

フェーズ 1 実証実験概要図

【フェーズ2: AI による検査業務の完全自動化】
フェーズ1に加え、リアルタイムの不良品 発見時の 排出 処理を自動で行える機構を備える。


今回の実証実験では、企業が AI 導入を検討する上で大きな課題となる、 AI 導入・運用に係る 「コスト」の悩み、また学習データを保有・蓄積していない、学習データの 取得・ 整備が 困難といった「データ」の悩みを、自己学習型 AI を採用することで解消する。
AI 導入時・導入後に負担となる人手による アノテーションの手間を省き、現場に負担をかけない高度な品質管理運用を実現する。

図書印刷及び 芳野YMマシナリーとMPSの3社は、本実 証実験を通じ、書籍製造工程における
三方断裁後の外観検査 時の自己学習型 AI を搭載した外観検査システムの開発および製本工程の現場への実装を目指す。

書籍断裁面不良検出サンプルから(本文折れ込み)

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