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ハイデルベルグ・ジャパン 弘和印刷にDXへの課題解決に向けたオフセットシステムとして新しいスピードマスターSX 国内1号機導入

ハイデルベルグ・ジャパン株式会社は、2月14日、新しいスピードマスターSX102国内1号機を中心とするオフセット印刷システムを導入した弘和印刷株式会社(瀬田章弘社長)において、記者発表会を開催した。

記者発表会では、導入されたスピードマスターSX102や導入の狙いなどがハイデルベルグ・ジャパンから解説があった後、弘和印刷の瀬田章弘社長からも導入を決めた目的や戦略が語られた。会見後には実稼働する工場見学もあり、弘和印刷における新しい戦略の現場が披露された。

新しいスピードマスター SX102 の前で、握手する弘和印刷の瀬田章弘(右)とハイデルベルグ・ジャパンのヨルグ・バウアー社長

まず会見では、新型のスピードマスターSX102の両面兼用2色機を中心とするオフセット印刷システムを提案した担当営業であるハイデルベルグ・ジャパン東日本営業部の森島彰一氏から、「弘和印刷様が課題としてあげていらっしゃったコストの削減、売上の増加、利益の増加という課題を解決するためには、システムの標準化、人材の獲得・育成、デジタル化が必要でした。それを解決するために提案させて頂いたのが、DX-PLATとハイデルベルグのシステムおよび設備を組み合わせたソリューションです。これにより情報の共有が可能となり、タッチポイントが削減されることで働き方改革も実現できます」と解説があった。
また生産状況のリアルタイム化で進捗情報が確認できるようになり、MAXの1万4,000回転を実現。自動化などによりオペレーターの負担も軽減され、従来の2台分の作業が行えるようになったなど、達成している成果と今後期待できる成果についても紹介された。

会見の後には工場見学も行われた。昨年6月に納入されたスープラセッターA106とプリネクトプロダクションマネージャーのある製版室、今年1月に導入されたCO2ニュートラルマシンでもある新しいスピードマスターSX102、2色両面兼用機が稼働する印刷現場を見学した。
工場見学では、ほぼ常時14,000回転で稼働する2色両面兼用機のスピードマスターSX102の前で、ハイデルベルグ・ジャパンの装置担当の曽篠靖之氏が、新しいシンプルかつ操作性に優れたデザイン、効率性、自動化機能等について解説した。特に、AI機能が搭載されていることから作業をしながらパウダー量や洗浄についてなど作業を覚えさせていくことで、稼働率を向上させることができ、側面のLEDライトの色で、本生産中、準備中、版交換中など作業の進み具合がリアルに判断できる。これらの機能により、1人1台のワンマンオペレーションの環境をサポートしていることなども具体的に紹介された。
また今回導入されたスープラセッターもCO2ニュートラルマシンであることに加え、省エネ・省スペース設計でもあることから、オフセット印刷業務全体の環境への配慮がうかがえる内容となっている。同社では今後、現像機のない環境づくりも考えているということも報告された。

経営戦略として新しいスピードマスターSX102を選択した弘和印刷

1964年8月に設立した従業員19名(グループ32名)の弘和印刷株式会社は、『PRINTING AND BEYOND』というスローガンと「ひととひと、ひととモノコトをつなぎ、彩りがあり幸せな社会を創る」という経営理念を掲げ、高品質な1色・2色刷りにこだわりを持つ印刷会社。クライアントのコミュニケーションプランニング、デザインや制作についてはグループ会社の株式会社アイズが担当し、弘和印刷の受注を川上からサポートしている。

工場見学で実稼働が披露された2 色両面 兼用 印刷機の新しいスピードマスター SX102-2-Pは国内1号機
入れ替えによって スペース に余裕ができた製版室に置かれたスープラセッター A106

また、2021年12月には、1色2色の四六全判、菊全判のオフセット印刷を中心に行う4社による協創プラットフォーム、「1-2-Cコンソーシアム」を発足し、DXを使った中小規模の印刷会社同士のアライアンスという新しいビジネスモデルに着手。営業連携による売り上げ・収益拡大、機会損失の提言、技術交流によるノウハウの共有・蓄積、社員の成長などを目指している。

全日本印刷工業組合連合会副会長および産業戦略デザイン室委員長等を務め、印刷業界全体の発展にも貢献している瀬田社長は、「まず全印工連でやっているDX-PLATを実装して、DXを進めていこうという狙いがありました。そして、それを実現するためにはハイデルベルグが最適なパートナーであると判断したのです。なぜなら弊社の印刷機はすべてハイデルベルグであり、すでに長年の信頼関係が構築されていたからです。またプリネクトは、どのベンダーさんもやっているような絵柄情報を印刷機に渡すだけではなく、用紙情報など、より多くの情報を共有でき、印刷機以外の装置とも連動できるというところも、私の考えているDXにとても近かった」と、導入の理由について述べている。
さらに、「DXを使って、『1-2-Cコンソーシアム』の中で、工場と工場、機械と機械をつなげ、4社の中でも予定組等が共有できるようにして、機会損失をできるだけなくし、稼働率を高めていくということを目指しています」と、もうひとつの狙いについても明かした。

導入の狙いについて語る弘和印刷の瀬田社長

今後の会社の戦略については、「弘和印刷という工場部門と、アイズというクリエイティブプロダクション部門で構成されています。その工場部門については、徹底的にスマートファクトリー化を進めていきます。またクリエイティブプロダクション部門のアイズは、お客様に密着し、接点を強化し、企画提案力をさらに強化していきます。それらをバックアップするため、東印工組で開発したMISのBRAIN、DX-PLAT、DX-PLAT 内のJWS(プロダクションコックピット)、そしてプリネクトをすべて一気通貫で繋ぎ、無駄な指示作業等をなくし、社員がもっと楽に仕事ができることを目指します」と解説。続けて、「さらにお客様にとって便利な工場づくりを推進するとともに、新たな需要も開拓できるような1、2色用の“ストアフロント”を開発したいと思っています。そのためには、すべてをデジタルでベースを作っていかないと繋がっていきません。今回の導入によって、その第一歩を踏み出したわけです」と、総括した。

記者発表会で最後に挨拶に立ったハイデルベルグ・ジャパン株式会社のヨルグ・バウアー社長は、謝意を述べるとともに、「新しいスピードマスターSX102国内1号機を中心とするオフセット印刷システムの導入が、弘和印刷様の企業価値をさらに高め、成長を加速されることを希望します。ハイデルベルグ・ジャパンは、引き続き全力でサポートさせて頂きます」と、成功のための今後のさらなるサポートについて約束した。

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