秋田エプソン、インクジェットプリンター用ヘッド製造の新棟竣工、プリントヘッド生産能力が約3倍に拡大する見込み

セイコーエプソン株式会社(エプソン)のグループ会社である秋田エプソン株式会社(以下、秋田エプソン)は、2022年11月より、インクジェットプリンター用ヘッドの生産能力増強のため、総額約 35 億円の投資を行い、新棟を建設していた。

同社はこのほど、新棟の竣工が完了したと発表した。今後、秋田エプソンにおけるプリントヘッドの生産能力を将来的に現在の3 倍程度に拡大すると見込まれている。

EPSON秋田新棟

現在、オフィス・ホーム向けインクジェットプリンター市場では、COVID-19 以降の分散印刷化ニーズの高まりや、新興国市場に加え北米など先進国での大容量インクタンク搭載プリンターの強い需要もあり、今後も全世界でインクジェットプリンターの需要増加が継続する見通しとなっている。

また、商業・産業向けインクジェットプリンターは、アナログ印刷からデジタル印刷へのシフトに伴い、デジタル捺染など紙以外の分野での需要が高まっている。

商業・産業向けインクジェットプリンターの多くは、「マイクロ TFP プリントチップ」を用途に合わせて柔軟に組み合わせた「PrecisionCore(プレシジョンコア)マイクロ TFP プリントヘッド」を採用している。現在、エプソンのインクジェットプリンターにおける PrecisionCore プリントヘッドの搭載比率は 2 割程度だが、商業・産業向けプリンターや高速ラインヘッド搭載のインクジェット複合機などでは1台あたりの使用チップ数が多くなるため、今後さらに搭載比率が増加することが見込まれている。

このほど竣工された秋田エプソン新棟は、広丘事業所(長野県塩尻市)における「マイクロ TFP プリントチップ」前工程の増産投資に対応するべく、インクジェットプリンターの基幹部品となるプリントヘッドの製造・組立の増産を図る。さらに、今後の「PrecisionCore マイクロ TFP プリントヘッド」搭載のインクジェットプリンターの需要増加による製品ラインアップ強化やプリントヘッド外販の拡販対応も視野に入れ、将来的に設備の増設スペース確保も踏まえた建屋としている。

また、新棟は既存のプリントヘッド生産工場棟に併設して建てられ、部品から組立までをより効率的にできるようになった。加えて、生産設備に関しては、人生産性やスペース生産性のさらなる向上も織り込んだラインとなっている。具体的には、新たな設備設計で自社製ロボットを導入、最適なレイアウト構想を追求し、高効率生産ラインで生産性 30%向上を目指す。

秋田エプソンは、高い技術力を持つ生産拠点として国内の研究開発拠点と密接に連携するとともに、基幹部品の生産を通じて得られる先端の生産技術・ノウハウをエプソンの海外生産拠点へも展開することで、グループの総合的なものづくり力の向上を極めていく。

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