「さかなかるた」は、魚の光沢感やウロコの凹凸を再現したかるたで、読み手が読み上げた魚を、取り札のウロコ模様から当てて遊ぶカードゲーム。千葉印刷は富士フイルムのデジタル印刷機Iridesse™Production Press（以下イリデッセ）のメタリックカラー印刷でウロコの輝きを、独自の盛り上げ加工でウロコの凹凸を再現。さらに耐水性の高い合成紙に印刷することで水場でも遊べる仕様にした。魚の表皮をリアルに再現した「さかなかるた」は、新型コロナウィルスの流行で外出の機会が減った子どもたちに、家の中にいながら自然に触れる体験を提供するカードとなった。

　「さかなかるた」は、イリデッセの表現力に、デザイナーのアイデアがコラボレーションして生まれた商品で、2022年、東京ビジネスデザインアワードに参加したことがきっかけとなって誕生した。同アワードは、都内のものづくり企業とデザイナーのマッチングを目的とした、事業・デザイン提案コンペティション。
　同社はイリデッセのメタリックカラー印刷の表現力で、どんな新しいものづくりができるか挑戦したいという思いから、「42億色を鮮やかに表現する『オンデマンド印刷技術』」をテーマに商品アイデアを募った。

　寄せられた多くのアイデア選ばれたのが、SANAGI design studioの井下恭介氏と増谷誠志朗氏が提案した「さかなかるた」だった。そこから試行錯誤の末、丸一年かけて商品化された「さかなかるた」は、トナーを盛って表現したウロコの凹凸感で多くの人々を驚かせた。この凹凸は、シルバーとCMYKのトナーによるメタリックカラー印刷→クリアトナーで盛り上げ加工という工程で作られる。この技術による表現は意匠登録が認められた。

販売開始後も大反響

　販売開始後も「さかなかるた」は大きな注目を浴び、昨年10月に「グッドデザイン・ベスト100」の「グッドフォーカス賞『技術・伝承デザイン』」を受賞した。
　「グッドフォーカス賞『技術・伝承デザイン』」は、高度な技術や技能によって実現された、特に優れたデザインの製品に贈られる表彰。担当の審査委員は、「印刷会社の技術を最大限に活かした最強傑作。見た目が楽しくそれぞれのテクスチャーも面白い。魚の表皮に着目することで、自然に触れることが少ない現代の子どもたちであっても、直感的に生物それぞれの独自性を知ることができる。視覚と触覚で楽しめる印刷面は思わず見とれてしまうほど美しく、裏面の魚の説明もシンプルで可読性のあるグラフィックに仕上げている。多くの人々がさまざまな場面において楽しめるゲームとして高く評価された」とコメントを寄せている。

　また昨年12月には、しながわ水族館とのコラボレーションイベント「しな水のお正月2023『さかなかるた』探しでオリジナルかるたプレゼント」を開催。来場者は入口で読み札カードを受け取り、書かれたヒントをもとに水族館内で４種類の取り札カードを探す。正解者にはしながわ水族館オリジナル “さかなかるた” をプレゼントした。
　クラウドファンディングで目標金額を達成後も、サイト上のコメント欄には「さかなかるた」に対する多くの反響が寄せられている。「さかなかるた」はデザイン性の高さだけでなく、多くの人々に愛される人気商品となった。

第２弾「さかなかるた　淡水魚版」発売開始
　「さかなかるた」の発売後、1,500名を超える支援者から受けた第２弾の制作を求める要望に応え、「さかなかるた　淡水魚版」が実現した。
　「さかなかるた　淡水魚版」では、イワナやウナギなど日本の魚から、ドラドやノーザンパイクまで世界の魚24種を再現。第一弾から盛り上げ印刷を改良し、より高い品質を実現している。
　また今回は、水生生物に関する本、雑貨や水産加工品も扱う魚に特化した書店「SAKANA BOOKS（サカナブックス）」が監修し、図鑑のようにも楽しめる専門性の高い商品となっている。

会社千葉印刷
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