【紙の力:紙のプロからの提案】キングコーポレーション SDGsをビジネスにするための紙の提案、面白いだけでは終わらない、持続可能な社会に向けたビジネス展開

株式会社キングコーポレーションは封筒・名刺・はがきなど各種紙製品の製造や、オフィスに最適なOAシステム環境の提案・販売をしている。近年はSDGs等の取り組みに参加したいと考えている印刷会社やその顧客を中心に、SDGs関連製品の需要が生まれていることから、紙製「ペーパーホルダー」や、通常のパルプに加えて廃棄コットンを50%使用した

「サーキュラーコットンペーパー」を使用した封筒・名刺を始め、持続可能な活動に関わる製品の開発、販売も行っている。SDGs需要に対して同社代表取締役社長の棚橋俊仁氏、企画部課長の関英太郎氏に話を伺った。

株式会社キングコーポレーション 代表取締役社長 棚橋俊仁氏(右)株式会社キングコーポレーション 企画部課長 関英太郎氏(左)

SDGsから始まる新しいビジネス

キングコーポレーションでは社会的なSDGsへのニーズの高まりに応じて、エコマーク関連商材や脱プラ活動を推進する製品をSDGs関連商材として提供している。例えば「ペーパーホルダー」は、従来プラスチック素材を使用していたクリアファイルを紙で製作した脱プラ製品。紙のみで作られているため、内容物を分別せずそのままシュレッダーにかけることもでき、廃棄する時の分別も不要など、紙で作られていることを活かしたファイルになっている。
従来のクリアファイルは、印刷の際に専用の機械が必要になること、一度の印刷で500部製造しなければならないなどのことから印刷コストがかかり、在庫を抱えるリスクがあった。一方で「ペーパーホルダー」は紙製品であるため、プリンターでも直接印刷できると同時に、小ロットで生産が可能なため、すぐに印刷して提案したり、オリジナルデザインをプリントして販売もできることから、印刷会社からも好評を博している。
「ペーパーホルダー」は現在、地方自治体や病院、学校等でSDGsに関連した製品であることが認められ、導入が進んでいる。地方自治体等と接点のある印刷会社であれば、プラスチック製のクリアファイルから変えるだけでもSDGsに貢献することができる“今すぐできるSDGs”として提案が可能。そのため、「SDGsを始めたいけれど何をすればよいか分からない」と悩んでいる顧客に対して気軽に提案できる商材として評価を得ている。
また、今年からSDGs関連商材として、一般社団法人サーキュラーコットンファクトリー(CCF)が提供する用紙、「サーキュラーコットンペーパー」を使用した製品の販売も開始した。「サーキュラーコットンペーパー」は廃棄コットンを50%使用した再生紙。仮に200㎏抄造すると100㎏の繊維ごみのを再利用するので繊維ごみを削減し100㎏のパルプの消費も防ぐことができる、環境に優しい紙とされている。そのため、一般紙と比較してもかなり割高になるが、社会に貢献したい、SDGs活動を行いたいと考える顧客からの需要に繋げることができる。

ペーパーホルダー
ペーパーバッグ
サーキュラーコットンペーパーを使用した卓上カレンダー

「サーキュラーコットンペーパー」は、CCFに所属している企業から「サーキュラーコットンペーパーを使った商品を作ることはできないか」と相談を受けて、製品化に至った。現在販売している製品は封筒、名刺、名刺ケース、一筆箋のほか、カレンダーにも「サーキュラーコットンペーパー」を使用したものが加わる。なお、封筒のフタの部分にはCCPマークの浮き出しが付与されており、単にSDGsをアピールするのではなく、おしゃれなデザインにすることで、多様なニーズで採用されることを期待している。
印刷会社が「サーキュラーコットンペーパー」を購入し、それを使用した紙製品を顧客に提供することで、印刷会社や顧客もCCFの活動に協力することができるようになる。
主に学校や環境問題に対して高い意識を持つ企業のほか、環境問題に関わる活動をしているアーティスト、保護犬保護猫に関わる団体をはじめ、意識の高い企業が採用し始めている。印刷物にCCFが公開している認証マークを付けることができ、認証マークが入った製品を使用できるということもエンドユーザーに対してアピールできることから、採用した企業にとってのメリットに繋がり、価格とは異なる価値を消費者であるエンドユーザーに提供することができる。

SDGsを継続的なものにするために

SDGsという言葉が世間に認知される中で、SDGsを意識した新しいビジネスも生まれている。特に社会に貢献し、環境に配慮した紙製品は、これまではただ面白いで終わっていたものが、より実用的な用途での採用へ変化している。
ただし、SDGs関連製品は既製品と比較して若干高くなってしまうという課題を抱えている。そのため同社では、付加価値の向上を通して、顧客にSDGs製品を選択して貰える努力を進めている。

例えば同社の企業風土、“面白そうであればまずやってみよう”を反映した商品開発を行っている。2024年版から販売を開始した「サーキュラーコットンペーパー」を使用した卓上カレンダー「POD卓上カラフル」には、満月の周期を入れるというアイディアが採用されている。“面白そうであればまずやってみよう”という企業風土から生まれたもののひとつである。
キングコーポレーションでは、SDGs関連商材を普及するためには印刷会社からの協力も不可欠であり、印刷会社がSDGsに参画したいと考えている企業にアイディアを提案することも重要であるという。棚橋俊仁社長は「SDGsの活動を継続するためには、ただ提供するだけではなく、提案することが必要だ」と語る。
「SDGsとして何をすれば良いか分からないという企業や団体が多くあると思います。そうした所へ気軽にSDGs活動ができるツールとして提案することでパートナー企業としてお手伝いできるグッズになります。SDGsに配慮した製品は以前と比較して、面白いねで終わらずに、採用されるケースが増えているように思います。SDGsを進めるには商売へ繋げる必要がありますが、印刷会社さんならそれができますし、我々もそのための商材を提供していきたいと思っています。社会に価値のある提案ができる産業となることで、印刷産業そのものの価値になると期待しています」と語っている。

株式会社キングコーポレーション
URL:https://www.king-corp.co.jp/

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