TOWA G段ダイレクト印刷を強化~Rapida 106菊全7色機を導入・生産性向上、前4胴で薄紙・後3胴で厚紙を印刷

 株式会社TOWA(大阪府東大阪市/高本禎郎社長)は昨年11月、ケーニッヒ&バウアー(KBA)の菊全判枚葉オフセット印刷機Rapida 106 X-7+L SPC ALV3(以下Rapida 106)を導入し、厚紙印刷の生産体制を強化した。同社のRapida 106は7色+コーターの構成。前4胴がCMYK4色の薄紙印刷、後3胴がCMY3色の厚紙印刷の仕立てで、薄・厚の切り替え時間を短縮している。2月9日に開催したオープンハウスでは最高2万回転/時の高速仕様の機能を披露した。

TOWAで稼動するRapida 106

 色替え時間を極限まで短縮

 1983年に創業したTOWAはB2オフセット輪転印刷機を主力とした商業印刷会社として成長してきた。商業印刷需要が減退してきた2008年のリーマンショック以降は〝脱オフ輪〟を目指し、枚葉オフセット印刷、デジタル印刷へと事業領域を拡大。2018年にオフ輪事業を終了し、現在は枚葉オフセット印刷、デジタル印刷、ホテル清掃が各3割ずつというバランスの取れた事業構成となっている。

 同社の枚葉オフセット印刷事業の特徴は厚紙印刷。マイクロフルートボール(Gフルート)、厚さ1㎜までのカード紙印刷が可能で、パッケージのデザイン、設計、サンプル作成から受注している。

 今回の設備投資では省エネ補助金を活用し、Rapida 106に厚紙印刷用の6色機、薄紙印刷用の8色機の生産を集約した。同社の高本禎郎社長は「もともと商業印刷の印刷会社で、B2オフセット輪転印刷を主力としてきた。時代の変遷とともに枚葉機を導入し、パッケージの印刷を開始したが、思い切って商業印刷からパッケージ印刷へとシフトしていく。KBAの機械はテクノロジーの塊で大変素晴らしい」と設備更新の狙いを語っている。

TOWAの高本社長

 導入したRapida 106は、7色+ニスコーターの構成で、乾燥装置にはLED―UVを採用している。ベンダレス刷版自動交換装置、生産と並行してローラー洗浄を可能にしたドライブトロニックSRW、他の準備工程と並行して同時にコーティング版を交換するドライブトロニックSFCなどで、印刷準備時間を約40%削減している。加えて前4胴で薄紙印刷、後3胴で厚紙印刷を実行するため、薄厚の切り替えに要する時間が極限に短縮されている。

 フィーダー部に採用されているDrive Tronic SISインフィードシステムは、紙を掴んだグリッパーバーが左右に動き、シートの位置を合わせる機構で、癖のある用紙、重い用紙、薄い用紙でも印刷速度を落とすことなく給紙することができる。高本社長は、「針飛びがない世界が考えられるだろうか。印刷速度を上げると針飛びのリスクが高まるが、給紙のトラブルで機械が止まらないのが大きなメリット」と評価している。このほかフィーダー部にはフルロジステックス・オートノンストップフィーダー&デリバリーにより、用紙が積まれたパレットが自動で給紙部に運ばれる。これにより大ロットの厚紙印刷でも連続運転を可能した。

 現在、Rapida 106は従来機に比べて2.5倍のスピードで稼動。昨年とほぼ同じ通し枚数だった1月の実績で、今年は前年比で11台多い299台をこなした。しかも24時間・2シフトから8時から22時までの変則シフトとなり、省エネを達成しながら時間当たりの生産性を向上させている。

 2月9日のオープンハウスでは3つのジョブを印刷。TOWAのコーポレートカラーを使用し、Gフルートの菓子箱1,000枚を印刷した後、NBスターアートボード125Kの薄紙で4色チャートを印刷し、最後にKBAのコーポレートカラーで再度、Gフルートの菓子箱1,000枚を刷り上げた。参加者はジョブ間の色替えなどのジョブチェンジの素早さに高い関心を寄せた。

Rapida 106の実力を披露したオープンハウス

 高本社長は「G段の受注を主力に持っていきたい。Rapida 106は柔軟性が高い機械。誰もやったことのない領域に向かいたい」と今後を展望している。

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