武蔵野美術大学 国立印刷局工芸官による特別講義を開催・学生たちが紙幣印刷の超絶技巧を学ぶ

武蔵野美術大学は4月21日、鷹の台キャンパスで国立印刷局による特別講義を開催した。講義では印刷局の工芸官を講師として招き、紙幣・パスポートに扱われる最先端の印刷技術、エングレーヴィングと呼ばれる銅版画の技法が紹介された。

前半は、国立印刷局が取り扱う製品(パスポート、切手など)と、その製造過程で重要となる偽造防止技術について講義が行われた。また、肖像部分などの模様をビュランという彫刻刀で銅板に画線を刻み込む凹版彫刻や、工芸官が現職に就かれた経緯が解説された。

後半は凹版具日彫刻の実演・指導講義。実際の現場では1日に何回も行うというビュランを研ぐ作業や、銅版に彫刻する流れが実演された後、約20名の学生がビュランの研磨を体験した。講師の指導の下、学生たちは実際に銅版を彫ることで、高い技術力と時間を要する作業であることを実感したと言う。

担当教員である高浜利也教授(油絵学科版画専攻)は、「学生たちにとって版画専攻で学ぶ銅版画、とりわけエングレーヴィングの技法が、国立印刷局での凹版彫刻に用いられていると知ったことは大きな驚きであったと同時に、グラフィックアーツとして版画の様々な特性が社会の中で実際に機能していることを体感することができるまたとない機会となりました」と、本講義の意義を語った。

前半の講義解説
後半はビュラン研ぎを体験。

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