日販 PODを用いてPHP・大日本印刷と受注出荷率90%実現

日本出版販売(日販)は、PHP研究所と大日本印刷とともに、デジタル印刷技術(POD)を用いた商品供給体制を構築し、受注出荷率90%を実現した。

同社は持続可能な出版流通の実現を目指し、出版流通改革に取り組んでいる。これまでも、書店・出版社とともにアドバンスMD(※1)やリリーフA(※2)といった商品供給サービスを作りながら、店頭売上の最大化や返品率の削減を図ってきた。しかし、ジャンルや商品によっては書店の注文に応えきれず、潜在的な注文も含め機会損失を発生させていた。

2021年5月からは書店店頭の欠品防止による売上拡大、および返品や製造ロスが極力発生しない商品供給の実現を目指し、大日本印刷のPODを用いて、PHP研究所と受注に対する受注出荷率の改善に着手。PHP研究所は2021年1月から、書店の収益改善を目的とする同社の施策「PPIプレミアム」にも参画している。

3社はPHP研究所の商品ジャンルのなかでも、とくに受注出荷率が低い傾向にあった文庫・新書でPODの取り組みを実施。今回のPODでは、1冊単位での製造を行うオンデマンド方式ではなく、市場在庫が僅少な商品を対象に、必要数を事前に予測して製造と供給を行う少部数製造方式となる。具体的なフローは、

①日販からPHP研究所へ、受注・売上動向を元に2週間分の需要予測を行い、必要数を発注

②PHP研究所から大日本印刷へ、出版社在庫が欠品する前に必要数が満数供給されるよう、POD製造を依頼し、倉庫へ納品

③PHP研究所の倉庫から日販に必要数を満数納品、日販から書店へ出荷

④受注に対する出荷実績を日販よりPHP研究所に提供

2022年2月現在、上記のフローは安定稼働し、受注出荷率が2020年12月の53%から、2021年12月に90%に改善した。また、出荷金額に換算すると対前年138%と大幅に増加した。

※受注出荷率は「出荷金額÷受注金額」で算出

(※1)新刊を対象に書店の申込数を初回満数出荷するサービス

(※2)既刊を対象に、日々の店頭在庫を元に、全国POS店ランキング並びに、日販・出版社推奨銘柄の欠品・追加発注を代行するサービス

今後目指していく製造・流通の改革 スキーム全体イメージ
今後目指していく製造・流通の改革 スキーム全体イメージ

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