日本生産性本部 第2回「生産性白書」を刊行 人口減少社会におけるAIとの共生と付加価値増大による改革を提言
公益財団法人日本生産性本部は「人口減少社会の生産性改革~人とAIの共生~」と題した第2回「生産性白書」を刊行した。深刻な労働力不足など課題を抱える日本社会において、付加価値増大を軸とした生産性向上と賃上げの好循環を実現するための具体的な指針をまとめている。
高付加価値経営
今回の白書では、人口減少による国際競争力の低下に抗うため、投資の拡大を通じた一人当たり付加価値の抜本的な増大が不可欠であると指摘している。2040年の日本の人口は1億1,284万人と、2020年(1億2,615万人)比で約1割減少し、労働力人口は6,002万人(2022年比▲900万人)とそれ以上の割合で減少する見込みとなっており、全ステークホルダーのために付加価値を成長させることが経営者の本務であるとした。
低生産性部門の経営改革となる変革促進の施策としてデジタルリテラシー向上支援、AI導入に係る伴走型コンサルティングの拡充と、業界横断的なデータ共有基盤の整備を求めた。これは大企業や世界との生産性格差を一気に縮小し得る好機だと示している。
AI開発の遅れと日本の戦略
AIの役割については、欧米で懸念されるような「雇用喪失」の側面ではなく、日本では労働力を補完し、生産力を維持・向上させるための「パートナー」として定義。AI時代における経済社会のあり方として、人は社会の中でAIと協働・共生し、自らは人間らしい仕事をし、ウェルビーイングを高める価値創出を先導する必要があると示した。AIをパートナーとして心や感性で新しいアイデアを創造し、人間にとって新たな価値と豊かさを生み出すウェルビーイングという広い視点から生産性を問い直す必要性があると指摘している。
人材投資の拡大と労働市場の構造改革
付加価値創出の主たる源泉を「人材」と位置づけ、企業に対して賃金改善とともに人材投資の拡大を求めている。労働力不足時代には、能力開発機会の乏しい企業は働く人に選ばれない。労働者が自ら職業能力を身につけ、自律的にキャリアを選択できる環境を整備し、多様で柔軟な働き方を推進する労働市場改革の必要性を強調した。
生産性運動三原則
経営者、労働者、および学識者の三者構成により生産性運動は推進されてきた。その基盤になるのが「生産性運動三原則」となっている。
生産性運動三原則
- 1.雇用の維持・拡大
- 人間とAIの協働・共生により人間の価値を高める仕事を創出する。新しい技術の開発と普及を通じ、誰もが能力を最大限発揮できる環境の実現を
- 2.労使の協力と協議
- AI普及に伴う職場や働き方のあり方について、人間尊重と相互信頼の下で労使が協力・協議し解決する。社会経済課題について、労使が産業横断的に協議する体制を
- 3.成果の公正な分配
- 公正分配は経済全体にとっても個々の企業にとっても成長と分配の好循環の礎である。将来の付加価値の源泉として、未来に向けた研究開発や人材投資を
生産性運動が発足以来70年を迎え、今日的意義を再確認する。
国際秩序の変動に対応する日本経済の指針
世界経済は技術革新、グローバル化と新興国の台頭、労働市場の構造変化に伴って拡大した所得格差などを背景に、自国第一主義を掲げる保護主義的な動きが強っている。国際経済秩序が揺らぐ現状を踏まえ、日本経済が力強さを取り戻すための道筋を提示している。所得の減少や格差の拡大、カーボンニュートラル社会の未達といった多岐にわたる課題に対し、生産性と経済社会のあり方を論じている。
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