久保井インキ 大阪・関西万博「リボーンチャレンジ」出展  愛・地球博での後悔を胸に誓った挑戦、アートとインキの融合作品で来場者を魅了した7日間

久保井インキ株式会社は、5月20日から26日までの7日間、「EXPO 2025 大阪・関西万博」に出展した。長年の想いを込めた挑戦や、アートとインキを融合させた独自の展示作品など、その取り組みをまとめたレポートを紹介する。

久保井インキ集合写真(後列中央、久保井インキ久保井伸輔社長)

弊社は 5 月 20 日から 26 日までの7日間、EXPO2025 大阪・関西万博に出展致しました。
出展場所は大阪ヘルスケアパビリオン1階の「リボーンチャレンジ」と呼ばれるエリアです。
万博出展を決意したきっけかは幾つかあります。
2005 年に愛知県で開催された「愛・地球博」では、出展されるお客様から、展示用に弊社の特殊インキを無償で提供してほしいというご要望がありました。せっかくの機会でしたが、私の判断でその申し出を辞退してしまったのです。以来ずっと、「あのような大イベントに関われる貴重なチャンスだったのに」と後悔が残り、次に同じような機会があれば、必ず積極的に関わり、協力しようと心に決めていました。

そして月日が流れ、大阪で万博を開催しようという機運が高まり、2018 年 11 月に大阪万博開催が正式に決定しました。「これは絶対に関わりたい。出展するしかない」と強く思い、具体的な計画は何もないまま、2019 年の年頭所感にて「当社は必ず大阪万博にブースを出展する」と宣言しました。

こうして、弊社の新たな挑戦である「万博プロジェクト」が始まったのです。

始まったとはいえ、何から手をつければよいかも分からず、まずは「万博」と名の付くことには何でも関わる意気込みで動き始めました。実際には万博に関係があるかどうかを問わず、省庁や自治体、商工会議所、銀行、メディアなどが主催する事業やセミナーに積極的に参加し、とにかく万博に関する情報を集め、同時に、中小企業が出展するためのヒントを探しながら、「久保井インキ」という存在を関係機関の方々に広く認知していただくことに注力しました。

そうした中、大阪ヘルスケアパビリオン構想において中小企業が出展できる枠組み(通称:リボーンチャレンジ)が設けられるという情報を得て、そこを目指すことに決めました。2022年のことです。
目指すべき先と出展の枠組みが明確になると、どのようなテーマで、どの枠組みに応募するかの決定が重要になってきます。幸いなことに、出展枠を検討していたタイミングで、幾つかの出展母体となる組織から「申し込みをしませんか?」とお声がけをいただきました。さまざまな紆余曲折を経て、最終的に池田泉州銀行さんの枠で出展を目指すことに決定しました。

お声がけを受けてエントリーした後も、書類選考、二次選考、最終選考と段階があり、多くの企業がこの過程で脱落します。弊社は最終選考前に計画のブラッシュアップを求められ、銀行の担当者とともに東京のベンチャー企業を訪問し、大きな刺激を受けました。また、大阪ヘルスケアパビリオンのテーマ「Reborn(再生)」により深く寄り添うために、どのような展示がふさわしいか、多くの時間をかけて計画を練り直しました。

そして 2024 年1月、出展の内定をいただき、3 月 25 日の対外発表をもって、5 年にわたって追い求め、夢にまで見た「万博出展」が正式に決定したのです。

内定前であっても出展の可能性が見え始めると、計画を具体的に形にする作業が始まり、大きく広げ過ぎた風呂敷をどうまとめるかという課題に直面します。SDGs、アート、癒し、インキ、香り、健康という 6 つの要素を、どのように結びつけて表現するか、悩みに悩んで悩み続けました。特に出展が内定してからは、もう後戻りはできません。
また、万博は「未来を見にいく」場であるため、既に事業化されている(販売されている)製品は展示できません。この時の数年間の取り組みを振り返ると、弊社にとって新たな事業展開の大きなヒントと気づきを得る貴重な時間であったと、改めて実感しています。

そして完成した作品がこの2つです。

1、「かおり×おりがみ」

2、眺めて、触れて、癒され、認知機能を向上するアート

どちらの作品も、折り紙作家やイラストレーターといったアーティストの方々に、今回の万博出展のためにオリジナル作品を制作していただきました。

実は弊社は万博出展を見据え、2023 年夏に開催されたアジアの新進気鋭のアーティストが集うイベント「UNKNOWN ASIA」に協賛し、アーティストの発掘活動にも取り組んでいました。そうした活動と経験が、今回の出展において大いに役立ったのです。
実際の出展にあたっては、さまざまな制約やルール、レギュレーションが存在し、出展内容が決定してからは、それらレギュレーションへの適応作業が始まりました。
特に厳しいのが、昨夜まで出展してた会社が撤収を終えた後しか弊社のブース設営、展示物の搬入等ができないにも関わらず、全ての出展準備を翌朝の開門に間に合わせなければならないという過密スケジュールです。
「どうやって?いつ設営するの?」と思うほどのタイトなスケジュールですが、やるしかありません。加えて、セキュリティの都合で使用できる工具にも制限がある中で、お客様にご満足いただける展示方法とブース設計を検討する必要がありました。この時の経験も、今後の事業展開において大きなヒントとなりました。

5月20日、始発電車で万博会場へ向かいました。
大阪ヘルスケアパビリオンのロゴがあしらわれた真新しい万博ユニフォームに袖を通し、AD 証(関係者パス)を手に、関係者入口から誰もいない早朝の万博会場へ。
万感の想いが胸に込み上げる中、私の目に映る誰もいない会場は、朝の光を浴びて神々しいほどキラキラと輝いていました。あの景色は一生涯忘れることはありません。その中でも際立つ存在である「ミャクミャク」のモニュメントを神に見立て、二礼二拍手一礼で万博の成功と無事を祈願し、期待と喜びを胸に、弊社ブースのある大阪ヘルスケアパビリオンへ「出勤」致しました。その後の出展風景や展示内容については、弊社ホームページにて公開しております。ぜひそちらもご覧ください。

久保井インキウェブサイト

出展を終えた今、感じることは、「もっとできたかもしれない」という思いと、「やりきった!」という大きな達成感、そして長年追い続けた夢が終わってしまった淋しさです。
万博出展という目標に向かって走り続けた6年半、本当に夢中でした。その時間と、そして共に走ってくれた多くの仲間たちは、私の人生におけるかけがえのない宝物になりました。

最後に、ご来場くださった多くの皆さま、万博関係者の皆さま、準備をご一緒いただいた協力先の皆さま、貴重なご意見やアイデアをくださった皆さま、そして、かけがえのない機会をくださった池田泉州銀行の皆さま、何より、一緒に挑戦してくれた従業員のみんな、本当にありがとうございました!

以上、ご拝読いただき、ありがとうございました。
万博最高!

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