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アグフア キングプリンティングがアジア初の大型インクジェット機 JETI TAURO導入

2021.9.30

キングプリンティング(大阪府堺市)はこのほどアジア1号機となるアグフアのハイエンド・ハイブリッドUVインクジェットプリンター『JETI TAURO』を導入し、稼動を開始した。9月16日、同社と日本アグフア・ゲバルトは大阪府堺市のキングプリンティング本社工場で導入の動機や経緯などを説明。少量多品種のサイン・ディスプレイをスピード生産することで印刷の価値向上を図る。

 

大型印刷市場で付加価値高める

 

キングプリンティングが導入したJETI TAURO H3300LED

キングプリンティングが導入したJETI TAURO H3300LED

キングプリンティングは1917年、手書き看板の工房として創業。映画館の絵看板を中心に受注が拡大し、高品質の看板を効率的に生産するため、紙幣印刷機を改造した大サイズのオフセット印刷機による生産を開始した。1997年には国内初となる5m幅のワイドフォーマットインクジェットプリンターを設備。現在は世界最大級の1.3m×2.0m、A四倍判のオフセット印刷機を主力に、30台の大型から小型までのインクジェットプリンターが稼動している。

 

日本アグフア・ゲバルトの岡本社長(左)から記念の盾が贈られるキングプリンティングの光弘専務

日本アグフア・ゲバルトの岡本社長(左)から記念の盾が贈られるキングプリンティングの光弘専務

主な受注品目は大判の商業印刷物。駅貼りのポスターや屋外ビルボード、商業施設の装飾、店舗・展示会の装飾などを手掛けている。オフセット印刷、インクジェットプリンターを組み合わせ、数量や仕様に最適な生産形態で製品を供給。ワンストップによる利便性が顧客の高い評価を受けている。

 

同社では少量多品種、短納期の需要増に合わせ、インクジェットプリンターの増設で対応してきたが、品質面でオフセット印刷に近づいたインクジェットプリンターの生産性向上による新たなサービスの創出を検討。2年前から高速インクジェットプリンターの調査を開始した。

 

同社専務執行役員の光弘祐紀氏は記者発表で「当初、生産性からシングルパス方式の製品を調査したが、安定性、品質面で優れるマルチパス方式のインクジェットプリンターの方が当社のお客様に合うと思い、発想を変えた」と、高速インクジェットプリンターの選定に入り、「マルチパス方式でオフセット印刷並みの生産性を確保できるオペレーションを様々な角度から検討した。その結果、数字上で可能性が見えてきたので、昨年からJETI TAUROを検証してきた」と導入経緯を説明した。

 

マルチパス方式の高速インクジェットプリンターの中でも『JETI TAURO』を選択した動機は、すでにアグフアのワイドフォーマットUVインクジェットプリンター2台を利用しており、メーカーに信頼を寄せていたためだった。機械の検証に際してはコロナ禍もあり、ベルギーのショールームからのオンラインによるデモや、使用メディアを送付してロングランの出力テストを繰り返し、品質、生産性、安定性の基準をクリアした。

 

近年、サイン・ディスプレイ市場ではデジタルサイネージの採用が進んでいる。市場の変化に対し、光弘氏は「多品種の短納期対応を可能にすることで、印刷メディアが柔軟で利便性の高いメディアだとクライアントに再認識してもらいたい。パフォーマンスが良い印刷メディアはまだまだ戦えると考えている」と『JETI TAURO』に期待をにじませた。

 

最高453㎡/時の高速インクジェット

 

デュアルロールにより2本のロールに同時にプリント可能

デュアルロールにより2本のロールに同時にプリント可能

キングプリンティングが導入した『JETI TAURO H3300LED』はロール印刷ユニットタイプで、マニュアル印刷テーブルによりボード状のメディアにも対応する。リコー製のプリントヘッド60本を搭載し、最大生産力は453平方メートル/時と高速。サイズは最大幅3.3mまでに対応し、デュアルロールにより2本のロールを同時に印刷することができる。インクはCMYKにライトシアン、ライトブラックを加えた6色と、ホワイトインクを搭載している。

 

様々なメディアに出力可能

様々なメディアに出力可能

インクタンクは大容量で長時間の運転が可能。インクボトルを替えながらの連続稼動にも対応する。また、インクの消費量を抑えながら品質を維持するアグフアのシンインクレイヤーテクノロジーを搭載し、低ランニングコストを実現した。

 

ロール紙は直径60cm、700kg・のジャンボロールの装着が可能。一般的な直径36cm、重量100kgのロールに比べて、用紙交換作業の回数を削減し、長時間の連続印刷を可能にしている。シート印刷時には最大4枚までの同時描画が可能。印刷ガイドで基材をセットするため、見当精度も優れている。

 

RIPはワイドフォーマットインクジェットプリンターに最適化した『ASANTI』。プリンターから生産ジョブ数や枚数、消費インク量、消費用紙枚数、生産時間、廃棄比率などの生産情報を可視化し、経営判断に活かすことができる。

 

対象市場は商業印刷やサイン・ディスプレイ、スクリーン印刷、ダンボール、建材装飾。

 

日本アグフア・ゲバルトの岡本勝弘社長は記者発表で「3.2mのハイエンドインクジェット市場でナンバーワンのシェアを獲得するという目標に近いところまでビジネスが成長している。今回、JETI TAUROのアジア1号機を導入して頂いた。サイン・ディスプレイ業界のリーディングカンパニーであるキングプリンティング様に導入頂いたことは光栄。JETI TAUROでビジネスを伸ばして頂きたい」と述べている。

 

また、アグフア本社のグローバルJETIプロダクトマネージャーのレインヒルデ・アラート氏はキングプリンティングの導入に感謝の意を述べ、開発のポイントとして①シンインクレイヤーテクノロジー、②プラスチックや木材など多種多様な印刷基材への対応、③長期稼動に耐える堅牢性、④ロール・シート切り替え時のダウンタイムの減少、⑤『ASANTI』によるプリプレスの自動化を挙げた。その上で「キングプリンティング様のホームページからどのようなお仕事をしているのか拝見させて頂いた。全ての仕事で今まで以上に高品質、かつ高生産性で、サポートできると信じている」と述べた。

 

キングプリンティングと日本アグフア・ゲバルトは11月17日から19日までの3日間、同本社工場で『JETI TAURO』のオープンハウスを開催。ライブデモを実施するほか、導入の効果、狙い、製品の特徴を説明する。19日はオンライン開催。