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日印産連 「デジタル印刷の現状と展望」報告会開催 印刷ビジネスのデジタル化へ

2021.3.31

受注品目の将来性ランキング

受注品目の将来性ランキング

日本印刷産業連合会デジタルプレス推進協議会は3月30日、「『デジタル印刷の現状と展望』に関する調査報告会」を開催した。報告会の前半は、日印産連デジタルプレス推進協議会座長で日本印刷技術協会(JAGAT)専務理事の郡司秀明氏、JAGATの花房賢担当部長が調査の詳細や傾向などを紹介した。

 

同調査では、印刷業界の10団体とJAGATから抽出した700社にアンケートを実施し、212社から回答を得た。調査によると、デジタル印刷機保有企業の売上全体に占めるデジタル印刷の割合は平均12.8%となり、前年度の14.4%から1.6ポイント減少。一社平均の保有台数は3.96台で、前年度の3.88台から 0.8ポイント増加した。

オフセットなどの従来印刷を超える時期を尋ねた設問では、「超えることはない」が59.6%で、昨年の61・4%から1.8ポイント減少し、この5年の調査で初めて60%を下回った。

パネルディスカッションの模様

パネルディスカッションの模様

デジタル印刷の売上上位受注品目は、1位が事務用印刷、2位がチラシ、3位がDMとなった。成長率、将来性についは、ナンバリング(前年11位)、DM、大判出力の順だった。印刷物のQRコードを起点にWebへ誘導し、細かいセグメントごとに情報を取るという動きも進んでいる。印刷物の良さを活かしつつ、デジタルメディアとの融合を図る試みは今後も増えていくとみられる。

受注1件あたりの平均ロットは100枚未満の層が28・4%、3000枚以上の層が 29.5%で拮抗している。「大ロットバリアブルの仕事を狙いたい」というコメントもみられ、「デジタル印刷=小ロット」とは言い切れない傾向が進んでいる。

デジタル印刷の顧客への訴求ポイントは「極小ロット対応」(75.0%)、「短納期」(69.0%)、「1枚1枚内容を変えた印刷ができる」( 53.6%)の順となり、5年連続で上位3つを占めている。上昇傾向にあるのは「エコロジー(ムダな廃棄がない)」で、環境配慮の高まりを反映している。

デジタル印刷関連の売上構成比が全体の30%以上を占める企業は、「従業員50人未満」が70%以上を占めている。小規模企業の方がデジタル印刷への移行が容易という傾向が続いている。一方、デジタル印刷機による印刷枚数が多い企業は従業員100人以上が約6割を占め、規模相関の傾向が強まった。顧客への訴求ポイントを見ると「短納期」と「在庫レス」は、印刷枚数が多いグループとそれ以外のグループで10ポイント以上の差が出た。

「社内の実施策」として自動化やシステム化に取り組む割合は、ことごとく印刷枚数の多いグループがそれ以外のグループを大きく上回っている。Web to Print、自動化、AI・IoT活用など、印刷工程のデジタル化のみならず、「印刷ビジネス」のデジタル化の必要性が求められる結果となった。

 

報告会の後半は、「アフターコロナの印刷はどうなるのか~デジタルは切り札となり得るか~」をテーマにパネルディスカッションを実施。㈱マーケティングサイエンスラボの本間充代表取締役、㈱研文社の網野勝彦代表取締役社長、JAGAT客員研究員の山口実氏、㈱廣済堂の佐々木徹郎氏をパネリストに、郡司氏がモデレーターを務め、アフターコロナの印刷業界の変化や今後のデジタル印刷機の位置づけについて、活用事例を交えながら議論した。