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IDTechEx社予測 世界のRFID産業は2018年に110億ドル規模の市場に成長か

2019.3.8

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IDTechEx社は、調査レポート「RFID -フォ―キャスト、プレイヤー、ビジネスチャンス 2018年-2028年」を発表している。

同レポートは18年間におよぶRFID市場の評価実績や、サプライチェーン全体のベンダーからの直接情報に基づき、過去2005年からの詳細な売上高、今後2028年までの市場予測についてまとめたもの。

それによると、RFID業界は2018年に総額で110億ドル相当の産業規模になると予測している(うちパッシブRFIDタグは50億1000万ドル、RFIDリーダーは28億5,000万ドル)。2018年の販売枚数の見通しとして、RAIN RFIDタグ(対応周波数が900MHZ以下のRFID)が115億枚だが、HF帯RFID(対応周波数が13.56MHのRFID)は40億枚で、ICからタグへの移行期間と現有在庫を考慮し、2018年はRFIDタグよりもICタグの販売数が伸びる見通しとなっている。


RAIN RFID: ハイライト

RFID市場の短期予測(Source: IDTechEx Research )

RFID市場の短期予測(Source: IDTechEx Research )

アパレル産業におけるRAIN RFIDの普及率は、2018年に小売り衣料品のタグ付けの最大市場規模、TAM(年間800億枚と推定)の約10%に達する見込み。2023年までには210億枚に伸びると予測している。

特に飛行機の手荷物にタグを付けることが強く期待されている。2018年、主要な業界団体であるIATA(国際航空運送協会)は、2020年の実用化を目途とした手荷物のタグ付けに関するRFID規格を策定中であると発表。デルタ航空は、こうした流れにいち早く反応し、対応を進めている。なお、航空業界におけるRFIDタグのTAMは年間36億枚。

このRAIN RFIDは、様々な産業で導入されている。案件毎の規模は小さいが、世界全体としての規模は拡大が進んでおり、IDTechEx社では2018年単体でも全体で20億枚のRAIN RFIDタグが資産追跡に使用されると予測している。

なお日本の経済産業省は、2025年までに1,000億個の小売品目の電子タグ化を目標に掲げており、設定された目標単価が1円という点は楽観的すぎると思われる。

 

HF/NFC RFID: ハイライト

電子決済、セキュアなアクセス、交通系に用いられているHF帯RFIDは、高い安全性が要求される。そのため平均販売価格はRAIN RFIDより大幅に高い傾向となっており、2018年は交通系や電子決済等の伸びを受け、21億5千万枚の非接触型カードの販売が見込まれている。

HF タグの用途のうち、金額ベースで2番目に大きい市場であるパスポート用のタグについては、2018年単体で4億4,200万ドルの売上が見込まれている。

HF帯NFCの電子決済以外の用途は、2018年に数億枚規模に成長する見通しだが、ほとんどの用途は、導入規模が比較的小さい状況が続いている。最大規模の機会とされる、現段階では定義が難しいスマートパッケージングのネックとなっているのが価格である。なお長期的にはフレキシブルIC等の新しい技術が価格を押し下げるかもしれません。

 

Active RFID in Flux

「RFID -フォ―キャスト、プレイヤー、ビジネスチャンス 2018年-2028年」では、様々な新しいテクノロジーの選択肢を受けて、アクティブRFIDが極めて流動的な状態にあると指摘している。

アクティブRFIDの利用については、軍隊における歴史的な大規模利用から、小規模ではあるものの収益性の高い製造や資産管理での多種多様な利用へと変化してきた。費用が高く問題のあるアクティブRFIDリーダーは、低電力で数キロメートルにも及ぶ広域ネットワーク(LPWAN)という新たな選択肢に取って代わられている。

利用可能ないくつかの選択肢の中でセルラーネットワークをベースにしたものの一部は第5世代移動通信(5G)規格としてまとめられた。各国政府は各種LPWANソリューションを支援しており、例えば中国政府は2018年までに1億5,000回のこうした「接続」を目標に掲げている。Active RFIDのビジネスモデルは、タグの販売から有料制の資産追跡サービスの提供へと変化する。

 

競争による脅威

いくつかの新しい技術が、RFID市場の成長に影響を与える可能性がある。マシンビジョンは、複数の企業が妥当な距離に置かれた物体を特定するために安価なカメラを使用できるところまで改善されている。そのハードウェアやソフトウェアの技術開発は、自律型車両のセンサーや携帯電話のカメラ等、他の産業からの資金で賄っており、アイテム識別の技術が潜在的に享受できるような技術の基準を構築している。

そしてBLE(Bluetooth Low Energy)とその巨大なリーダーネットワークとの連動も現在進行中である。 「RFID -フォ―キャスト、プレイヤー、ビジネスチャンス 2018年-2028年」ではこれらについて評価している。

 

*IDTechExの調査レポート 「RFID -フォ―キャスト、プレイヤー、ビジネスチャンス 2018年-2028年」は、IDTechEx日本法人 アイディーテックエックス株式会社から購入できる。