TBM ベトナム大手FPTと脱炭素経営支援で戦略的協業に関する覚書を締結 排出量の可視化から削減までサポート
株式会社TBMは、ベトナム最大級のITコングロマリットFPT Corporationの子会社であるFPT IS Company Limitedと、企業の脱炭素経営を包括的に支援するための戦略的協業に関する覚書(MOU)を締結した。両社はそれぞれのソリューションを統合することで、ベトナムをはじめとする国内外企業のGHG(温室効果ガス)排出量削減とネットゼロ目標達成を支援する体制を整える。
規制強化が進むベトナム市場
気候変動対策として「2050年ネットゼロ」を掲げる国・地域は150を超え、各国で企業のGHG排出情報開示が義務化されつつある。ベトナムでは2025年から年間3,000t-CO₂以上を排出する事業所にGHGインベントリ報告が義務付けられ、2026年には国内カーボン取引市場(CTX)の開始が予定されている。
一方で、サプライチェーン全体が企業排出量の約70%を占めるにもかかわらず、正確な算定や削減計画の立案が困難という課題が顕在化している。こうした背景から、両社は強みを生かした協業に踏み切った。
協業の内容
FPT ISが提供するGHG排出量管理プラットフォーム「VertZéro」は、ISO 14064やGHGプロトコルに準拠し、AIやOCR技術を用いて排出データ収集の約80%を自動化。排出量の追跡・可視化・報告を一気通貫で支援できるクラウド型ソリューションとなっている。
一方TBMの「LIMEX」は、石灰石由来の炭酸カルシウムを50%以上含有し、プラスチックや紙の代替となる素材。採用することで石油由来プラスチック使用量や製品ライフサイクル全体でのCO₂排出量削減が期待できる。
今回の協業では、両社が顧客企業に対して共同でソリューションを提案する体制を整え、排出量の算定から報告、さらに削減の実行に至るまでを包括的に支援する。また、TBMが開発を進める「LIMEX Sheet」を基材とした環境配慮型フィルムセンサーデバイスを、FPTの「VertZéro」で使用されるセンサー半導体に導入する構想もあり、実現すれば「VertZéro」の導入自体がGHG排出削減につながる仕組みとなる。
ベトナムからグローバル市場への展開
今回の連携は、TBMにとっては海外でのLIMEX普及拡大の契機となり、FPTにとっては日本企業との連携強化や脱炭素対応力向上につながる。
両社は、規制強化が進むアジア市場において、企業のサステナビリティ経営を後押しする包括的な支援体制の構築を目指す。