ユニバーサルポスト 創業時から変わらない、株式会社ユニバーサルポストの存在意義、Truepress Jet520HD+が描く「One to One」サービス

 1947(昭和22)年に広島県で創業した、株式会社ユニバーサルポスト。創業者の尾山卓造は、戦後の焼け野原になった広島を復興させるという想いを持ち、商業印刷で経済を動かす仕組みをつくることを目的に印刷会社を発足させた。日本の高度経済成長時には、モノは作れば売れていき、広告は多くのお客さまに同じメッセージを届けることで、ビジネスを成長させることができた。現在はモノがあふれてしまい、お客さまも多様化しているため、一つ一つの商品価値について個々のお客さまにメッセージを届けて、初めて差別化できる時代へと変化。ユニバーサルポストは2019年に「Truepress Jet520HD+」を国内初導入し、「印刷技術で「個」の革新。」をスローガンにビジネスを展開している。同社の前田尚子取締役、ブランド本部ブランド室の前田優林係長にお話を伺った。

前田尚子取締役









◀Truepress Jet520HD+

お客さまのパートナーとなる印刷会社を目指して

前田優林係長

 印刷を依頼するお客さまは、売り上げを上げるためにプロモーションを企画し、そのツールとして印刷物を発注する。経済が成長していた時代は、お客さまの言われたとおりの印刷物をきれいに印刷することで、印刷物そのものが付加価値となり、お客さまの満足度が得られていた。
 しかし現在は、あの手この手で販促企画を考え、売り上げの向上を目指しているが、昔のように簡単には運ばず、印刷会社が作る印刷物だからといって、お客さまの満足は得られない。ユニバーサルポストは創業当時から「お客さまのお役に立つ」を企業理念に掲げており、これからの時代、お客さまの企業や商品のブランド力を高めるプロモーションがお客さまのお役に立てる活動になると確信し、全部門・全社員で「One to One」をキーワードにさまざまな取り組みを実践している。
 

 一般的に印刷業界では、「One to One=バリアブル印刷」と考えられている。しかしユニバーサルポストでは、消費者の“こころ”をターゲットにした考えを「One to One」という言葉で表現している。消費者は、たとえ1つの商品でも100人いれば100通りの感じ方があり、あるチラシを見て“こころ”に響く人もいれば響かない人もいる。また、チラシのメッセージやチラシを出すタイミングが変われば、それまで響かなかった人にも響く結果に変わったり、その逆も起こったりする。これは、従来の印刷物を作るサービスでは不可能なことであり、お客さまの売り上げに貢献するプロモーション企画のパートナーとしてサービスを提供することで実現できる。このサービスを提供するには、社員がユーザー視点での分析力を持つこと、そしてお客さまから顧客データや販売データなどを頂くことが不可欠である。つまり、お客さまの売り上げを上げるプロモーションの仕組みづくりをお客さまとユニバーサルポストの間で構築することで、初めて実現する。この関係を築くまでの営業活動は大変だが、現在では営業担当者が「One to One」の考えを理解し、お客さまの販促課題を仮説立てし、提案型の営業に変わりつつある。お客さま自身もさまざまな販促を考えて実施するが、効果的な販促につながらないことが課題であり、ユニバーサルポストが考えるサービス提案に耳を傾けるお客さまも増えているという。

ユニバーサルポスト企業理念

実際の営業現場では

 ユニバーサルポストの事業は、既存事業、主力事業、未来事業の3つのカテゴリーに分かれている。未来事業は、「Oneto One」サービスを主体とする、お客さまの売上貢献に寄り添う事業モデルである。簡単にいえば、既存事業と主力事業は印刷物の提供がゴールになるが、未来事業は印刷物の提供がゴールではなく、お客さまの売り上げへの貢献がゴールに なる、難易度の高いものとなる。未来事業では、先鋭な人材を集結させたブランド本部が主体となって、サービスプログラムやプロモーション企画をデザインし、一般営業と一緒に市場を開拓する。営業担当者は、既存事業・主力事業での成績が良くても、未来事業への貢献がなければ評価されない(個人のスキルによって評価配当のバランスは異なる)。このようなチーム編成や営業活動の仕組みによって、誰もが「One to One」サービスを主体とする未来事業への営業に携わることになる。結果的に、一般営業も提案型の営業スタイルに変わり、お客さまも「Oneto One」型プロモーションの大切さを理解し、将来への移行を考えた上で既存事業型で発注するケースも多く、既存事業の落ち込みも少ないという。

2拠点の生産工場と企業理念

 ユニバーサルポストの印刷工場は、オフセット印刷機が稼働する「カラボ・プロダクションFactory」(本社工場)と、「Truepress Jet520HD+」をはじめデジタル印刷機が稼働する「One to OneメッセージFactory」(大州工場)に分かれている。主力事業と未来事業を担う大州工場では、新たなデバイスやシステムを導入して「One to One」型プロモーションの商材を開発している。一方、本社工場でのオフセット印刷は、既存事業で収益性を高めるためには重要である。両方の工場がうまく稼働することで3つの事業が成り立つとして、「より良いを目指す」「相互理解を行う」「未来志向で考える」の3つのバリュー(行動規範)を社内に展開し、工場の生産性を高めている。 

Truepress Jet520HD+をオペレーションするドラハン・レイシャさん

これらのバリューは、企業理念である「お客さまのお役に立つ」を将来の事業を見据えたミッション、ビジョン、パーパスとして定義し、組織力を強化し、お客さまから信頼を得ることにつながっている。

[ミッション] パーソナライズ・「One toOne」市場において、リーディングカンパニーとして経済・社会の発展を牽引していく。
[ビジョン) 生活者一人一人がピンポイントなコミュニケーションで企業とつながり、行動を後押しされ、より便利で豊かな暮らしと経済の活発化が実現する。
[パーパス] 創造性を通じて人々に感動や幸せを届ける。

Truepress Jet520HD+の製品サンプル

パーソナルメッセージ

 「2019年にTruepress Jet520HD+を導入したときは、次世代の事業を創っていくという目的で喜瀬清代表取締役社長は導入を決めました。そこから、One to One型プロモーションサービスを創るまでが大変でした。」(前田取締役)

 「Truepress Jet520HD+」の導入だけでは「One to One」型プロモーションサービスの実現は難しく、高速輪転印刷機で印刷された用紙に対してバリアブルで中綴じ加工、製袋加工、無線綴じ加工を行うシステムを構築して、初めて商材にすることができる。一方、上流側では、バリアブル化するデータを作る仕組みや、お客さまの分析データからバリアブル印刷を行うためのリストデータを作成する仕組みが必要となる。これらの仕組みがそろうことで、バリアブル印刷の商材を作ることが可能になる。このようなシステムに加え、お客さまの商品データ分析と人間の感性で総合的にデザインすることで、初めてパーソナルメッセージが創り出される。パーソナルメッセージを含んだデザインを創り出すことが、同社のブランド本部ブランド室の役割であり、お客さまの役に立つための要となって「One to One」サービスを推進している。

 例えば、紙を使わずにLINEサービスなどで、個々の消費者にパーソナルメッセージを届けることもあるという。また、紙を使う場合でも、無版の「Truepress Jet520HD+」を使うことによって1部何円という価格設定へと変更し、お客さまにとって分かりやすくしている。最近は用紙価格が高くなったこともあって、効果が得られやすいユーザーに絞ることで部数を減らして、代わりにヒット率を高くする(販売効果を向上させる)提案が成されている。つまり、客層と全く異なる消費者にはプロモーションを行わないことで、値引きしなくてもお客さまの販売価格と作る側の原材料コストを抑えられ、かつ、紙資源を無駄に使わないといった環境配慮の活動にもつながるという。

「Truepress Jet520HD+」がもたらした変化 

 「Truepress Jet520HD+」が持っているポテンシャルは、無版でオフセット印刷機のようにコート紙に生産性高く印刷できるだけだと思われがちである。しかしユニバーサルポストにとって、「Truepress Jet520HD+」の存在が未来の印刷会社の姿を描くきっかけとなった。そしてビジネススタイルの根本からの変革につながり、それに合ったビジネス開発を推進することで“創注”につながっている。
 また「Truepress Jet520HD+」のメインオペレーターは、ウクライナからの避難を余儀なくされ、いつ帰ることができるか分からないドラハン・レイシャさんが担当している。ユニバーサルポストは、広島に避難している人の仕事がないという話を耳にして、すぐに県に連絡を取り、1週間後には働いてもらえるようになったという。
 前田取締役は、「いずれウクライナは復興する。そのときに自国の経済発展を印刷技術で支えるようになれるのなら、戻ったときに彼女の励みになる」との想いで受け入れたと語る。

ドラハン・レイシャさん

 オフセット印刷機を操れるようになるには、通常1~2年は必要になるが、操作が比較的簡単な「Truepress Jet520HD+」のオペレーションなら可能と判断し、週3日働いてもらっている。受け入れ側も受け入れられる側も、全てが最初から問題がなかったといえばうそになる。最大の課題はコミュニケーション。しかし、それは言葉が通じなければ当然のことで、お互いに寄り添う気持ちで、自然な流れからさまざまな工夫を行った。3カ月後には、レイシャさんは「Truepress Jet520HD+」のオペレーションをマスター。教える側も教わる側も苦労はなかったと話す。
 そして、レイシャさんはこの7月に正社員になる。社内では、良い意味でさまざまな人々と仕事をするという障壁は低くなった。ユニバーサルポストでは今後、外国人はもちろんのこと、障害者雇用も進めていくとのことだ。

株式会社ユニバーサルポスト
住所:広島市西区商工センター7丁目5-52
https://www.u-post.co.jp/

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