テクノロール 東北地区で初開催「第１回印刷志の会in仙台」 電気対策＆検査装置の将来展望 オフィス知識・知識三富氏ジクス高原亮介氏を講師に
ゴムロールや自動走行ラックのテクノロール(株)（本社・大阪府和泉市テクノステージ、畑中一辰社長）
は７月４日、宮城県仙台市の宮城県印刷会館で「第１回印刷志の会in仙台」を開催した。これまで関東で71回、関西で23回の実績を重ねてきた同会は、東北地方で初の開催となり、印刷業界の現場で求められる知識や課題解決の糸口を提供する場として開催し高い評価を受けてきた。今回は東北営業所開設５周年を記念し、オフィス知識の知識三富代表取締役が「まったく新しい除電方式の放射型除電装置＆事項放電除電装置」、検査装置のジクス(株)高原亮介代表取締役が「検査装置の現在のトレンドと将来の展望」をテーマに講演した。
テクノロール東北営業所今川堅太郎所長の開会挨拶の後、冒頭に畑中一辰社長は「2008年4月にスタートした印刷の志の会は、印刷オペレーター技術レベルを高めるためにようという目的で活動してきた。これまで東京で71回、大阪で23回、延べ９０回以上を数えた。今回は東北営業所が中心となって仙台で『第１回印刷志の会in仙台』として37名の参加をいただいた。勉強会後には情報交換の懇親会い、翌日にはゴルフコンペで交流を深めて頂きたい。印刷志の会は懇親会で１名５００円の会費を積み立て赤十字に何度か寄付を行った。社会活動により何度か表彰状もいただいた。今回の東北開催は新しい出発であり、第2回、第3回と続けていきたい」と今後の活動に強い意欲を表明した。
講習会は「印刷現場における生産と品質管理・静電気対策」をオフィス知識の知識三富社長、「検査装置の現在のトレンドと将来の展望」をテーマに行った。
講演 「まったく新しい除電方式の放射型除電装置＆事項放電除電装置」 オフィス知識・知識三富社長
「全く新しい除電方式の装置」ならびに「放射型除電装置と自己放電除電器」を開発した。放射式除電装置は印刷現場における静電気の問題を解決した。除電装置は電気力線を電極部から放出し静電気を中和、除去する。
従来のイオライザー除電と比較すると、効果の範囲が広く、電極の消耗がなく、微風を必要とせずメンテナンスが容易で、印刷物にホコリの付着が無い。放射式除電装置を導入は生産物の品質向上、生産効率の改善と安全性が確保できる。
除電放電では電気力線が大きな役割を果たす。放射式除電装置は広範囲の除電が可能で、耐電物よりも１５０㎜～２００㎜で非接触の除電を行うため省電力を実現し、２Ｗ～５W出力の省エネで乾電池並みの戦力消費となる。電気力線は２ｍ～3ｍ先まで放出できるため風の必要が無い。また、電極部が強制放電にとりオゾンが発生しない。帯電物は両極同時に除電が出来る。
電気力線は①空気分子と接触しイオン化され電気力が通りやすい道が掲載され遠くまで届き、風を使用しないで除電が可能②立体物の裏側まで除電が可能③オゾン発生が無い④逆帯電が無い⑤高真空層中の除電⑥高真空層の除電⑦高速移動物の電荷物に瞬時に除電が可能⑦電極より離れた電荷物の除電が可能で電気力は離れた電荷物まで除電する。約３ｍ離れた場所まで除電効果により除電シーズニングに使用されている。
放電式除電装置はオフセット印刷機のフィーダー部、デリバリ部のファン間、両面機の給紙部、オフ輪のシーター部、枚葉給紙部PET、シーター部、ラミネート機、シルクスクリーン機等の印刷・製本機に導入されている。
講演 今後の検査装置のトレンドと未来展望について ジクス・高原亮介社長
品質検査装置は単に検査するだけでなく、検査結果を製造工程の上流にフィードバックしてオフセット印刷の生産性を改善することを目的としており、検査装置は生産性を高める装置となった。
オフセット印刷は複雑な製造工程で必ず潜在的不良が存在する。潜在化しているものを顕在化して「見える化」する装置が品質検査装置の重要な機能である。
品質検査装置が目的を果たす条件は、①技術スタッフと研究熱心なオペレーターの存在②検査装置をオペレーターの第三の目として使用する③オフセット印刷は「人」を介在させたクローズド・ループ制御であり優秀な技術スタッフにより検査装置運用フローが拡大する⑤インライン検査装置は欠陥を無くす装置ではなく、欠陥を無くすのは人間である。
実際に大幅な品質改善と生産性の改善を実現した会社が行った手法は、不良が発生した時に４Mに分類して対策を行った。４Mとは①設備に起因しているか②作業方法に起因しているか③オペレーターに起因しているか④使用材料に起因しているかであった。
労働力不足は、技術スタッフや研究熱心なオペレーターが出来ないことや働き方改革がもたらした。現在の製造現場は労働力不足により印刷作業に追われる製造現場になっている。
働き方改革は技術伝承・技術力向上の環境が減少するという結果をもたらした。
品質検査装置を取り巻く環境は、技術スタッフや研究熱心なオペレーター不在という環境が普通になってきた。
検査装置は見える化（潜在不良の解消）してオフセット印刷の品質を安定させる設備に進化している。作業の進化、使用材料の進化が標準化と資材メーカーの開発により改善されてきた。印刷機械メーカーは印刷機のオプションとしてメーカー純正の品質検査装置を装備するようになってきた。
今後の品質検査装置が求められるニーズは、検査装置の設定レスでオペレーターのスキルに左右されず機能を発揮できる検査装置、検出したい欠陥だけを知らせる検査装置がニーズとして求められる。
検査装置の設定レス化とは瑕疵を見つける検査装置の機能を追及し、欠陥だけを知らせる検査装置、スキル不足を補う検査装置のオプション装置が求められる。
AIとの連携と印刷検査の活用は①AIはどののようなメカニズムか②A1はディープラーニング(深層学習)を行うワークプログラムである。従来の検査方法とAI検査の違いは、従来の検査方法が「ルールべース検査」と呼ばれていたのに対して、AIの検査方法は結果を最初に学習してルール(特徴定義)は可変、検出したい欠陥を学習させることで設定値はAIによりセットされる。
今後の検査装置のトレンドと未来展望は、印刷機械メーカー製の検査装置は欠陥検出機能を持ち、色調コントロール、見当調整等の自動運転装置の方向に向かう。これに対して検査装置メーカーの検査装置は印刷瑕疵を検出する装置の方向と設定レス・検出したいものを検出する技術、すなわちディープラーニングとAI技術が支えると思われる。
講演会後には出席者から質問が寄せられ、活発な「第１回印刷志の会in仙台」となった。