日本生産性本部 「生産性評価要因の国際比較」を公表、「IT・デジタル化」「教育・人材」「イノベーション」の「付加価値創出力」が日本の生産性を低減

調査研究や提言、実践活動により生産性向上をめざす公益財団法人日本生産性本部は、12月22日、「生産性評価要因の国際比較」を公表した。これは、同本部が2020年9月に発表した「生産性白書」に掲げた論点の一つである生産性の評価要因について、同本部が事務局を務める生産性常任委員会に設置された専門委員会を中心に検討・分析したもの。

現在指標として用いられる「労働生産性」は「付加価値/労働投入量」で測定されるが、付加価値の測り方には限界があることも指摘されている。

たとえば、持続的な付加価値拡大に不可欠な「環境」や生産性向上の基盤である「所得分配」や「サプライチェーン」など、従来の付加価値の枠組みには含まれない要因も存在する。

そこで、「生産性評価要因の国際比較」では、生産性向上の原動力となる①IT・デジタル化、②教育・人材、③イノベーションの3要因と、付加価値創出の持続可能性を問う④環境、⑤所得分配、⑥サプライチェーンの3要因から生産性を評価し、OECD加盟38カ国およびOECD非加盟のG20諸国の合計46カ国を対象に国際比較を行った。

このうち、日本及び米国、ドイツ、中国の主な特徴は以下のとおり。

日本の「教育・人材」は人材投資に課題があるものの米・独を上回った一方、「IT・デジタル化」「イノベーション」はOECD加盟国平均並みにとどまる。

生産性評価要因から日本の現状をみると、「教育・人材」は「人材投資・育成」などに課題があるものの、良好な学力成績などを反映し、米国やドイツなどを上回った。一方、「IT・デジタル化」や「イノベーション」は、今回比較対象とした46カ国の平均こそ上回るものの、OECD加盟国の平均並みとなっている。

また、「IT・デジタル化」「教育・人材」「イノベーション」それぞれにおいて、「付加価値創出力」が46カ国の平均を大きく下回っている。日本の付加価値を創出する力が国際的に低いことが示された。

米国は、「環境」が46カ国の平均を大きく下回り、「所得分配」も平均並みだが、生産性向上に影響する「IT・デジタル化」「教育・人材」「イノベーション」全てで46カ国の平均を大きく上回る。

ドイツは、6要因全てで平均を上回っており、日本や米国とは特徴が大きく異なる。特に「環境」や「サプライチェーン」のスコアが非常に高くなっている。

中国は、「IT・デジタル化」と「イノベーション」こそ良好なものの、「環境」や「教育・人材」で平均を大きく下回るなど、要因によって状況が大きく異なる。日米独いずれのレーダーチャートとも似ていない。
【レポート本文】https://www.jpc-net.jp/research/detail/006715.html

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