東レ 布にのみ密着する新しい粘着フィルムを開発 “離型紙レス”で廃棄物削減&製品のコンパクト化を実現
東レ株式会社は、粘着面に離型紙を使用せずに布製品へ密着する、新しい粘着フィルムを開発した。フィルム表面にミクロンサイズの微細な凸構造を施すことで、離型紙がなくても粘着面がべたつかず、使用時には布にのみしっかり貼りつく特性を実現。同社は今後、この粘着フィルムをさまざまな用途へ提案していくとしている。
独自の微細構造による選択的粘着性を実現
「貼るカイロ」やゼッケン、医療用パッドなど、布や衣服に貼り付けて使う粘着製品には、意図しない箇所や粘着面同士がくっつくことを防ぐために離型紙が挟まれている。使用時に必ずはがされる離型紙はその多くが廃棄物として焼却処分されており、こうした離型紙ゴミの削減や再資源化の在り方について検討されている。このような背景から、製品の使い勝手を維持しつつ、離型紙を必要としない粘着技術への関心が高まっている。
東レが開発した粘着フィルムは、離型紙を使わずに粘着面を保護できる点が特徴となっている。粘着層の上にミクロンサイズの凸構造(非粘着部)を設けた立体的な表面構造を採用し、この凸構造が粘着層への不用意な接触を物理的に阻害することで、未使用時のべたつきを防ぐ(図1)。
指や金属、プラスチックなどの平滑面では、凸部分のみが当たるため粘着層に触れず、さらさらとした触感が保たれる。一方で、布や不織布などの繊維製品に使用する際は、繊維が凸構造の隙間に入り込んで粘着層と接触し、高い密着性が得られる。こうした表面構造の制御により、布にはしっかり貼りつき、平滑面には付かないという選択的粘着性を備える(図2)。
▶ 同開発材をステンレス板/布に密着させた場合の粘着性比較動画(東レ公式YouTube)
廃棄物削減と製品のコンパクト化に寄与
同開発材を「貼るカイロ」に適用して離型紙レス構成とした場合、年間約247トンの離型紙ゴミの削減効果を見込む。また、既存品に比べ、発熱体を除いたカイロの総重量を約60%、厚みを約38%削減でき、製品のコンパクト化と環境負荷低減を同時に実現する。

同社は今後、2030年度に売上高10億円を目指し、日用品(冷却シート、パッド型おむつ、母乳パッド等)や、医療、アパレル分野への展開を図る。幅広い分野での適用を通じて、環境に配慮した製品づくりと作業効率向上を両立する新たな価値創出を進める見通しとなっている。


