田中手帳 本の天地と小口にインクジェットでエッジ印刷「D-EDGE」サービスを全国展開 書籍や本に新たな付加価値をもたらす「D-EDGE」はページの外側から宣戦布告
思わず手を伸ばしたくなるエッジ印刷、プラス1の魅力を本の外側に作る
田中手帳株式会社(本社・大阪市住之江区平林南、田中尚寛社長)は、本の天地や小口にインクジェットで印刷する新サービス「D―EDGE(ディーエッジ)」が注目を集めている。本の小口に職人が手作業で装飾する「小口染め」は古くから知られているが、近年では小口そのものをキャンバスに見立て、フルカラーの絵柄を印刷することで、書籍やノートに新たな価値を付加する取り組みが広がってきた。田中手帳の田中尚寛社長は、「D―EDGE(ディーエッジ)」は、紙の束が自己主張し、思わず手を伸ばしたくなるエッジ印刷です。本の作り手はプラス1の特別を求めています。他よりも目立ち、見つけた時に思わず手が伸びてしまう。視覚的に面白いもの。D-EDGEはプラス1の魅力を本の外側に作ります。紙の束が自己主張します」と書籍や本に新たな付加加価値を追求するエッジ印刷の市場開拓を出版・印刷業界に呼び掛けている。
紙の束が自己主張する、思わず手を伸ばしたくなるエッジ印刷
田中手帳は長年にわたり培ってきた手帳製本技術とデジタル印刷を融合させることにより、高精細な断面印刷と量産性を両立させた「D―EDGE(ディーエッジ)」(商標登録)を商品化した。「D」はデジタル、「EDGE」はエッジ印刷を組み合わせて商標登録し、6月に開催されたコンテンツ東京2026のライセンシングジャパンに出展し、「D-EDGE」技術を紹介。本の小口を複数冊並べることで一枚の絵柄が完成する独自の表現が来場者の注目を集める新たな本づくりの可能性を示した。
本の小口そのものをキャンバスに見立て、フルカラーの絵柄を印刷することで、書籍やノートに新たな価値を付加する取り組みが広がる中で、同社の「D―EDGE」は、小ロットから大ロットまで対応する生産ラインを確立したところに大きな特徴がある。
本の天地と小口をインクジェットのエッジ印刷で新たな表現面が可能に
田中手帳の田中尚寛社長は「書籍や手帳の小口は、通常は装飾の対象として意識されにくい部分ですが、D-EDGEは、その小口に絵柄やロゴ、広告などを印刷し、製品の視覚的な訴求力を高める加工技術です。当社のD-EDGEは『ユナイテッドイメージ』と『ソロイメージ』の用途が異なる二つの方式を使い分け、単体の冊子だけでなく、複数冊を一つのアイテムとして見せています」と独自の商品展開を説明する。
複数冊で一枚絵を構成する「ユナイテッドイメージ」大量生産に対応する「ソロイメージ」
「ユナイテッドイメージ」は、複数冊を一グループとして扱い、それぞれの小口に絵柄を分割して印刷する方式である。冊子を並べると一枚の絵柄として見えるため、複数冊を一セットの商品として販売する際に、新たな付加価値を加えることができる。
「D-EDGE」天地と小口にインクジェットフルカラー印刷
この方式を支えるのが、田中手帳が長年培ってきた糸綴じ製本の技術である。一般的な無線綴じでは、背の高さが小口より約0.5~1ミリ高くなるとされ、冊数が増えるほど高さの差が積み重なる。複数冊をそろえて絵柄をつなげる装飾では、この差が課題となる。しかし、同社の糸綴じ製本は、本の高さと小口の厚みの差がほとんどないため、複数冊を組み合わせた表現に適している。
もう一つの「ソロイメージ」は、単一の絵柄を各冊に均一に印刷する方式で、小口にブランドロゴや広告を入れる用途を想定し、同じデザインの製品をまとまった数量で生産することに特化している。小口装飾は専用の職人を必要とし、生産数に限界があったが、D-EDGEは1日3000冊以上のD-EDGE加工が可能で、本や万単位で製造するノベルティやノートの注文に対応する。
D-EDGEの可能寸法と印刷仕様
加工可能なサイズは最小80×80ミリ、最大300×300ミリ。厚みは5~250ミリに対応し、HP製インクジェットインクを装備する。こうした仕様により、手帳や冊子のサイズ、厚みに応じた小口印刷を提案できる。
D-EDGEは、製本技術を基盤に、小口をデザインや情報発信の場として活用する取り組みである。ユナイテッドイメージによるセット商品の差別化とソロイメージによる量産対応を使い分けることで、従来の小口装飾が抱えていた生産面の制約を緩和し、印刷・製本製品の付加価値向上につながるとみられる。
drupa2018から着目、2024drupa後の2025年に1号機導入
田中尚寛社長が小口印刷に着目したのは2018年drupaだった。しかし、当時は印刷品質が求める水準に達しておらず、導入を見送った。その後のdrupa2024ではインクジェットの画質は大きく向上していた。田中社長は「これなら製品として提供できる」と判断し、2025年2月に1号機、翌2026年に2号機を導入し、生産体制を確立した。
導入した「D―EDGE」機は、スイスのインメンゼーに本拠を置く、Durrer Spezialmaschinen AG 社が開発。同社は印刷加工およびポストプレス(製本・後加工)分野の特殊機械メーカーで、1949年の創業以来、70年以上にわたりグラフィック産業向けの高精度な自動化ソリューションを提供している。特に手帳やカタログのインデックス(見出し)加工、デジタル印刷を用いた書籍の天金・小口染め加工、カレンダー製造ラインなどの分野では世界のトップメーカーとして知られる。
田中手帳は1992年にDurrer社からインデックス加工機の1号機を導入して以来、計9台を導入しており、同社とは34年にわたり深い絆で結ばれている。導入したデジタル小口印刷・カラーリング「Digital Printing DIGI-B」は、 書籍やパンフレットのブロック(小口)4面にインクジェットでデジタル印刷を行う産業用全自動マシンで、パーソナライズされた製品や、エッジへのカラーリングを効率的に行い、欧州市場で実績を上げている。
コンテンツ東京2026のライセンシングジャパンに出展 小口へ鮮やかな風景やイラストを印刷した書籍を展示
サービスの本格展開に合わせ、同社は6月17日から19日まで東京ビッグサイトで開催されたコンテンツ東京2026のライセンシングジャパンに出展した。ブースでは、小口へ鮮やかな風景やイラストを印刷した書籍を展示したほか、複数冊を並べることで一枚の絵柄が完成する「ユナイテッドイメージ」のサンプルを展示した。
来場者からは「こんなの見たことない。これは何ですか?」との驚きの声が上がり、「本です」と答えると、さらに興味深そうに手に取る姿も見られたという。小口という、これまではあまり意識されることのなかった部分を表現の場へと変える提案は、多くの来場者の関心を集めた。
田中尚寛社長は「D-EDGEは、デザインの可能性を本の側面まで広げました。本の置き場所は収納ボックスや本棚の中ばかりとは限りません。目を惹く装飾を持つ本は、生活空間においてオブジェにもなり得ますし、人生の節目においてのギフトにもなり得ます。例えば愛蔵本や特装本です。42巻の『ドラエモン』の愛蔵本はマニアにとって財産です。特装本も所有者にとって一生持ち続ける本となります。本の作り手はプラス1の特別を求めています。他よりも目立って、見つけた時に思わず手が伸びてしまう。視覚的に面白いもの。D-EDGEはプラス1の魅力を本の外側に作ります。出版、印刷からクライアントに提案していただき、この市場を広げていきたい」と今後の展開を述べる。
企業情報
- 田中手帳株式会社
- 本社・工場: 大阪市住之江区平林南1丁目2-52
- TEL06-6681-8648
- https://www.tanakatechou.co.jp
田中手帳株式会社は昭和12年創業。ビジネス手帳、企業手帳、生徒手帳、ダイアリー、アドレス帳、家計簿などを製造する手帳専門メーカーである。法人、学校、出版社、販売代理店などの用途・対象者・予算・数量に応じ、用紙や装丁素材の選定、サイズ・仕様の提案、デザイン、DTP組版、印刷、製本、付属品の封入、包装、指定先への全国発送までを担う。数百冊の小ロットから数百万冊規模まで対応し、印刷済み資材の製本やセットアップなど、工程の一部のみを受託する生産方式にも対応する。糸綴じ、背均し、見返し貼り、背巻きなどの工程と、独自開発したタナカ・スーパーラインを組み合わせ、耐久性と180度開きやすい構造を作り込む点に特徴がある。 第2の柱は、手帳、アドレス帳、製品カタログ、カラオケ本などを対象とするインデックス加工事業である。抜き型を使わない独自方式により、製本済みの完成本にも加工でき、手帳判からA4判、数十ページから数百ページ、小ロットまで扱う。加えて、手帳カバー、カードケース、ファイル、バインダーなどの装丁品を取り扱う。
自社ブランド「記す手帳」と「記す手帳botanical」はオンラインストアなどで販売し、一般利用者向け商品に加え、企業の周年記念品、社員配布品、展示会ギフト、名入れノベルティとして展開する。botanicalシリーズでは植物繊維紙、FSC認証紙、糸かがり製本、サステナブルインクを採用し、従来品からプラスチックを94.3%削減した仕様を実現。受託製造・加工による法人向け売上と、自社企画商品の法人・個人向け販売を組み合わせた事業構成を持つ。
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