太陽インキ製造 次世代高速通信基板向け新素材が第22回JPCA奨励賞を受賞 低誘電性と信頼性を両立した穴埋めインキでより安定した品質を実現
太陽インキ製造株式会社は、6月10日~12日、東京ビッグサイトで開催された電子機器トータルソリューション展「JPCA Show 2026」第55回国際電子回路産業展に出展した。なお、同社の新材料である「次世代高速通信基板向け穴埋めインキ」が第22回JPCA奨励賞を受賞した。
高速通信市場のニーズに応える新素材を開発
近年、生成AIをはじめとする高度情報処理技術の普及に伴い、取り扱われる通信データ量が増加し続けている。このような背景のもと、サーバーや通信機器に用いられる基板材料には、高速伝送性と低誘電性を両立し得る高周波対応特性が強く求められており、穴埋めインキにも適切な設計及び制御が不可欠となっている。穴埋めインキとは、多層構造のプリント基板で、層間の電気接続のために作られる、銅メッキを施した導通穴(スルーホール)内に充填する絶縁材料。 スルーホールの内壁を保護し信頼性を高める役割を持つ。
また、伝送損失の一層の低減を目指すサーバー用途などの高多層基板では、スルーホールに対して、バックドリル工法(高速多層基板で、不要なビア部をドリルで除去し、伝送損失や信号の反射を大幅に低減するための技術)を採用する例が増加している。この工法では、バックドリル部に穴埋めインキを充填する場合、熱硬化時に基材から発生するガスの影響でボイド(小さな空洞)が発生する不具合が生じることがある。そのためバックドリル工法に適応した材料の使用が望ましいとされており、今後も、高速通信基板向け材料の需要は一段の拡大が見込まれる。
太陽インキ製造では、このような市場ニーズに対応するため、低い誘電率とバックドリル工法への適応性を持ち、印刷性と研磨性にも優れたスルーホール穴埋めインキ開発した。
同社は、バックドリル工法を適用した基板を用いて、従来品と開発品の性能比較試験を実施した。その結果、従来品ではスルーホール内部に多数のボイドが確認された一方で、開発品ではボイドの発生が大幅に抑制されていることが明らかになっている。
これにより、同開発品は、高速伝送に必要な低誘電特性(Dk≦3.0)を備えると同時に、バックドリル工法を適用した高多層基板でも、より安定した品質と高い信頼性を実現できることが示された。

量産化実現にも期待が寄せられる
JPCA賞は、参加企業の中から、応募のあった発表内容の『独創性(独自性・オリジナリティ)』、『産業界での発展性・将来性』、『信頼性』、『時世の適合性』を審査基準として、学術界、電子回路業界、専門誌編集者等の有識者から構成される選考委員会が厳正な審議を行い、電子回路技術及び産業の進歩発展に顕著な製品・技術へ表彰を行う制度。2005年より実施されている。
今回、同社の「次世代高速通信基板向け穴埋めインキ」は、第22回JPCA賞で奨励賞を受賞した。選考委員会からのコメントは下記の通り。
◆ 受賞理由(JPCA賞公式サイトより)
高速通信基板向け材料として、バックドリル工法に対応し開発した低誘電穴埋めインキの紹介。バックドリル工法への高適合性に加え、低誘電特性および高い信頼性・生産性を両立している。今後の量産化実現に期待したい。