シリウスビジョン 大量学習不要の“言葉で教えるAI検査” “分類”から“判断”へと役割を広げるAI活用
シリウスビジョン株式会社は11月20日の午前・午後に2回、オンラインセミナー「AIが“判断力”を持った!? “言葉で教える”だけの次世代AI印刷検査」を開催した。講師は株式会社アットウェア執行役員で株式会社UniARTS取締役CTOの矢納正浩氏。従来型の“分類AI”から、人の感覚に近い“判断AI”へと発展させる新手法について解説した。
生成AIの利用状況と日米欧中のギャップ
セミナーではまず、AIや生成AIの利用状況を紹介。2024年度調査では一般の73.3%が生成AIを「使用していない」と回答し、使い方が分からない、必要性を感じないといった声が寄せられている一方、企業での活用は55.2%に達すると説明。また、米・独・中では90%超と大きな差があると指摘した。
印刷分野の“分類型AI”が抱える課題
印刷検査分野のAI活用についても説明が行われ、良品との差異で不良を検知する手法や、不良の種類を学習させる従来の“分類型AI”の課題を整理。デザイン変更のたびに再学習が必要になる点や、稀な不良ほど学習が難しい点が挙げられ、学習データ収集の工夫やモデル設計の複雑化が避けられない現状が示された。
“言葉で教えるAI”「Regulus」を紹介
こうした課題に対しシリウスビジョンは、AIに“言葉”で判断する次世代型の印刷検査システム「Regulus(レグルス)」を提案。大量の不良データを学習させる必要がなく、良品・不良品の特徴をテキストで指示するだけで即時に検証できる点が特徴だという。クラウド上で手軽にシミュレーションでき、熟練者の判断基準をAIに短時間で再現できる仕組みをデモンストレーションで紹介した。
“分類”から“判断”へ AI活用の新たな段階へ
従来の自動化をさらに進め、“分類”から“判断”へと役割を広げるAI活用の新たな方向性を示す内容で、参加者からも注目を集めた。5年後には生産現場の標準になる可能性もあるとして、同社は引き続き技術の普及を図っていく。

